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帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)~見つけた夫の生まれ変わりは傾国の美男子、はたしてすんなり結婚できるのか~  作者: @000ーooo


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96.学院の卒業式と卒業パーティー

 このように3年生になってから順調な学院生活を送って、今日は卒業式である。


「卒業生入場」

式の進行役の声が講堂に響き渡る。


 すると、卒業生が入場して来る。


「卒業証書授与」

進行役の声が響き渡る。


 これから卒業生全員に卒業証書が授与される。


 人数が多いので、代表に手渡して終わるという案も過去に出たようであるが、学院卒業と言うのは一種のステータス、これがある限り将来が約束されたようなものである。それを代表に渡して終わりでは可哀そうである。せっかくの晴れの舞台、全員1人ずつ渡すべきと意見が今も大勢を占めている。


 とにかくAクラスからFクラスまで300人である。もう機械的に名前が読み上げられ、校長がこれも機械的に手渡していく。卒業証書をもらう生徒が学長の前まで歩くと時間がかかるので、生徒は立ったまま動かず、校長が動いて順番に卒業証書を渡していく、流れ作業である。


 校長が皇女殿下の前に来た

「エルネスティーネ・ブルヘンハイム卒業おめでとう」

と言って校長が皇女殿下に卒業証書を渡す。

「ありがとうございます校長先生」

1人の生徒にかける作業はこれだけである。


 全員に卒業証書が渡し終った。


「校長挨拶」

校長の長々とした挨拶が始まる。


「生徒会長送辞」

生徒会長の送る言葉が述べられる。


「卒業生答辞、主席卒業者フェアフュアング」

結局、マスクを付けて自重しなくなったフェアフュアングはその後も好成績を収め、その後の試験はすべて学年1位であった。ちなみに皇女殿下は次席卒業者である。


「来賓祝辞」

皇帝が来賓祝辞を述べている。


 このようにして卒業式は混乱もなく、平穏に終了した。学院入学当初はフェアフュアングの「甘美に香り」というスキルのせいでどうなるのかと思われたが、終わってみればいろいろなトラブルも懐かしい思い出である。よく卒業までこぎつけたと感慨にふける皇女殿下であった。


 卒業式が終わると、卒業生を招いた学院主催のパーティーが開かれる。皇女殿下とフェアフュアングは正装して2人並んでパーティーに出席した。婚約者がいるものは婚約者と、いない者は両親や兄弟あるいは友達同士で出席するのが習わしである。


 パーティーでは、校長の挨拶の後、主席卒業者としてフェアフュアングの挨拶もある。フェアフュアングもマスクをつけていると普通の人である。ほっとする皇女殿下であった。


 その後ダンスの時間となった。皇女殿下はフェアフュアングと踊った。3曲続けて踊ったので、フェアフュアングと離れて、料理を取りに来た。他の男子にも誘われたが、婚約者以外と踊る気になれずに断った。皇女殿下として前世のいちずな気持ちのままである。


 フェアフュアングは断り切れずに他の女子と踊っている。料理を食べていると

「皇女殿下。お久しさしぶりです」

声をかけられた。

みると、セルフホーフェン商会のマリアンヌである。マリアンヌとはあれからほとんど交流がなかったように思う。

「久しぶり、マリアンヌ。元気にしていた」

「はい、覚えていてくれたのですね」

「そうね、セルフホーフェン商会に行った時はお父さんに様子を聞いたりしていたから」

「そうなのですか、気楽に遊びに来てと言われてもやはり帝宮は敷居が高いです」

「そうね、平民には帝宮は遠い所よね、出来たら関わり合いになりたくないという」

「そうですね」

「来月、私がフェアフュアング様と結婚したら、宮殿を出て帝都の屋敷に住むから、気楽に遊びに来てね。歓迎するわ」

「ありがとうございます。その時は寄せてもらいます」


 一方マリア伯爵令嬢も声をかけられた。マリアが生まれた男爵家の兄である。

「お前、皇女殿下の側近になったというのは本当か」

「そうですが」

「そうか、どんな汚い手を使ったのだ。汚らわしいメイドの子供のお前が、皇女殿下の側近なんておかしいと思わないのか」


「お言葉ですが、今わたしは伯爵令嬢です。私をひどく言うということは伯爵家も侮辱したことになりますので、お言葉を慎んでください」

「生意気なことを言うな、字もろくに読めない庶子のくせに」

「お言葉ですが、私は学院を3位の成績で卒業しましたのよ。卒業式では成績優秀者の披露もあったと思いますが」

「減らず口を言うな」


 マリアがいじめられていると、フランツィスカ伯爵令嬢がやってきた。

「どうしたの、マリア」

「あ、フランツィスカ、私の生まれた男爵家の兄が色々と」

「そうなの、私はフランツィスカ・メルケンブルグ、伯爵家の長女です。マリアは私の親友、マリアをひどく言うことは私が許さない。皇女殿下に言わせると『私は頭はポンコツだけど、家柄だけは期待している』と言われている。マリアをひどく言うとメルケンブルグ伯爵家が黙っていないわよ」


 マリアの兄は「メルケンブルグ伯爵家」と聞いて顔が引きつっている。メルケンブルグ伯爵家は帝国でも名家である。少なくとも男爵家が敵に回していいものではない、下手すればつぶされる。


 このようにそれぞれの思いをひめてパーティーは過ぎていった。


 ここでは、婚約破棄はない。そんなことをすれば「綱紀粛正の通達」に違反したとして、膨大な慰謝料を請求されるし、他の貴族からの「浮気者」として嘲笑にさらされるのが火を見るより明らかなのである。


 少なくとも婚約中の男女に浮気は厳禁なのである。他の女性に目移りしたなら、一旦婚約を解消して、その後その女性と婚約を結び直すしかないのである。もちろんその場合は既定の慰謝料を払う必要があるが。浮気が出来るのは結婚後、側室を取るという方法によってである。

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