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帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)~見つけた夫の生まれ変わりは傾国の美男子、はたしてすんなり結婚できるのか~  作者: @000ーooo


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82.新学期の始まりと学院祭準備

 皇女殿下が旅行から帰って、数日して、公聴会の結果をもとに法務局でいろいろ吟味された細目がやっと発表された。細目については、今回は第1陣ということで、内容が固まったら追加の細目を出すとのことである。


 内容は、おおむね前回の公聴会で出された意見書に沿ったもので、ヘレーネ子爵令嬢とマリア伯爵令嬢の意見書の内容がよく採用されていた。


 今回の細目で、マリア伯爵令嬢が述べた1年1回教会で祈りをささげ、その祈りの内容を司祭に聞いてもらい証明書として法務局に提出する作業が規定されたことで、帝国貴族としては新たな作業が追加となった。


 罰則規定の罰金は簡易なものについては安く、重大なものについては高めに設定された。



 期末休暇も終わって、新学期になった。またいつもの日常の繰り返しである。


 フェアフュアングを囲うようにして座り、フェアフュアングを狙う女子の視線にフェアフュアングをさらさないようにする。これが絶対条件。しかし、彼女たちが会話するぐらいは許容する。これは公聴会でアンネリース侯爵令嬢の質問の回答に沿った対応である。


 しかし、フェアフュアングは大抵寝ているので、令嬢たちも会話の機会は少ないようである。


 そのようにして季節は過ぎていった。学院祭の季節になった。

「旦那様、学院祭はどうします。剣術大会、魔術大会、小物や魔道具の展示など、学生はどれかに参加しないといけないのですが」

「俺は剣術大会、魔術大会には出たくない。俺は元平民、貴族相手に戦うと、後で恨まれるかもしれない。お前たちが何かするならそれに混ぜてくれ」

「わかました。私たちは、小物を作ってそれを販売しようと思います。旦那様も何か作ってください」


「おまえたちが作る小物って、まさかあのへんてこな人形じゃないよな。あれを売るならせめてパンツ以外の服も履かせろ」

「あの人形売ってもいいのですか」

「まともな人形なら構わない」

「でしたら、それも売る品物に追加します。シャルルランス王国やトリスタント王国であの人形が売れていると聞いてもちょっと信じられないので、学院際でも少し売ってみて様子を見てみたいと思っていたのです」


 今皇女殿下たちは離宮で学院祭に販売する小物づくりに余念がない。皇女殿下は得意の土魔法を駆使して、ブローチや髪飾りを作っている。時々監督するマリアから

「皇女殿下、これ、本物のダイヤじゃありませんか。却下、ガラス細工にしてと何度言ったら分かるのですか」

「でも、つい魔力が入り過ぎるとダイヤになっちゃうの。難しいのよ。魔力少な目っていうのは」

「でも、ダイヤだと学生が買えませんよ」

「わかりました。以後気を付けます。それで、これはどうします」

「そうですね、せっかく作ったのだから、セルフホーフェン商会で販売してもらいますか」

「そうね。それがいいわ」


 ライム人形はヘレーネとフランツィスカの担当である。すると時々フェアフュアングから、その人形あそこが大きすぎるとクレームがつく。


 アロイジア、マルレーヌ、ルナ、カルナ、リッカルダ、マヤも銘銘がアクセサリー作りに余念がない。もう猫の手も借りたい忙しさである。


 タマだけ暇そうである。一応人間の姿になってはいるものの元々は猫、人間の姿になってもそれほど器用なことはできない。まして小物作りといった器用なことはできない。仕方がないので、フェアフュアングの体に絡みついている。


 すると、フェアフュアングから

「暑苦しい」

と言われてあしらわれている。


 フェアフュアングは風鈴を作っているようである。さすが文化人。それもかなり凝った物を作っている。部屋に張った綱に吊るして、風を吹かして聞こえてくる音色に合わせて、下につける短冊を工夫したり、気に入らないとせっかく作った風鈴を作り直したりしている。こんな凝った物、学生の模擬店で販売していいのだろうか。


「旦那様、この風鈴、いくらで売るつもりですか」

「わからん。俺が欲しいと思った物を作ったまでのこと」

「そうですね、前世の公爵家にはありましたから、これが風鈴と私たちは認識できますが、この世界の人間にはこれが何だかわからないのではないですか」

「そうか、一度外の護衛に聞いてみるか」


 そういうことで、護衛に聞いてみたが

「これは何ですか。綺麗な音がする。それは分かりますが、何に使うのですか」

「何って、音を聞くだけだよ。風流だろう」

「風流とはどういう意味ですか」

理解してもらえないようである。この世界にはあの有名な俳句「〇〇〇〇の〇の風鈴〇〇〇〇〇」といった世界を鑑賞するような文化的素養はないようである。


 どうしたものか悩んだ挙句、セルフホーフェン商会でいくらで販売するのが妥当か聞いてみることにした。ついでに、皇女殿下たちの作った物についても同様に販売価格を設定してもらうことにした。


 いつものように相手の予定も聞かずに押しかけて、無理やり予定を空けさせた。

「商会長、今日は時間を割いていただいてありがとうございます。今日お伺いしたのは、今度学院で開催される学院祭で、私たちは小物を販売しようと思うのですが、私たちの作った物をいくらで販売したらいいかわからないので、価格設定をお手伝いしてもらおうと思いまして」

「わかりました。皇女殿下のお申し出とあれば喜んでお手伝いしましょう」


 ということで、価格設定の協議が始まった。


 まず、皇女殿下とマリアの作ったブローチと髪飾り、ブローチが小銀貨3枚、髪飾りが小銀貨5枚となった。ただし、時々混ざる本物の宝石は除外である。


 次に、ヘレーネとフランツィスカの作ったライム人形、これは服代がかなりするので、小銀貨7枚となった。


 次に、アロイジア、マルレーヌ、ルナ、カルナ、リッカルダ、マヤの作ったアクセサリー、これは小銀貨2枚とのことであった。


 問題となったのはフェアフュアングの作った風鈴、商会長にも風鈴が理解できないようである。フェアフュアングに言わせるとかなり凝った物とのことなので、小銀貨6枚とすることにした。


 こうして学院祭を迎える準備は整った。

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