76.外国旅行(シャルルランス王国のマルレーヌ生まれ故郷とやっかいなフェアフュアングの魅力)
次の日はシャルルランス王国のマルレーヌ生まれ故郷に行くことになった。今回行くのは、皇女殿下とフェアフュアングとマルレーヌとヘレーネとタマである。タマはみんなのところへ行きたいらしい。
一行は皇女殿下が買った商店に行った。一瞬で商店の倉庫に転移した。倉庫から出て、商店に行くと、奴隷の店員はマルレーヌのことは憶えていたが、皇女殿下のことは知らないような感じである。不思議そうな顔をしている。
「私は、以前貴方たちを買ったご主人様です」
「でも、確かご主人様は、顔に痘痕が出来ていたと思うのですが」
「わたしの顔の痘痕は、こちらのフェアフュアング様に治してもらいました」
すると奴隷の女性店員が一斉にフェアフュアングを見た。皇女殿下が
「まずい」
と思った時には遅かった。
「素敵、なんてりりしいお姿。私を愛人にして」
と口々に言いだした。
すると、フェアフュアングが
「おい、エルネスティーネ。奴隷にしつけぐらいちゃんとしておけよ。俺は初対面の人を愛人にする気はないぞ」
「すいません、旦那様、以後気を付けます」
「貴方たち、こちらは私の婚約者、将来の私の夫になる人です。私の夫になる人に言い寄ることは許しません。これはご主人様命令です」
「そんなあー、少しぐらいいいじゃないの、別に減るもんじゃないし」
「ダメ、ダメったらダメ、この命令は絶対です」
そんな不毛な言い争いをしていると、フェアフュアングが近くに置いてあった木彫りの人形を手に取った。
「これは何だ、何となく顔が俺に似ているのだが」
「それは旦那様の人形です」
「こんな物売れるのか。それに服がパンツだけというのもかなりマニアックだぞ」
すると店の売り子が
「それ、この店の一番の人気商品で、特に若い女性に人気なのです」
「こんなものが売れるのか、なんかの間違いではないのか」
「間違いではございません。それに人形だけでなく、本物がその何倍もいい男だだったなんて、おお神よ。私はあなた様に永遠の愛を誓います」
「やめてくれ、俺は初対面の女に愛をささやかれても迷惑だ」
「そんなー」
再度不毛な争いが始まった。
収拾がつかなくなったので、商店を後にして、マルレーヌの父親が経営している食堂に行くことにした。食堂に行くと多分昼食をはさむことになるので、商店の裏側に行って、誰もいないのを確認してから、一旦馬車に戻った。
昼食後、再度商店の裏側に転移して、そこからマルレーヌの父親が経営している食堂に行った。
「お父ちゃん、ただいま」
「マルレーヌかい。よくもどったね。元気にしていたかい」
「うん、元気にしていた」
「そうか、それはよかった」
その後、親子の会話が進む。そこまではよかったのだけど、店の客がなぜか女性客が多い。そして、その女性客が全員フェアフュアングを見ている。嫌な予感がして、皇女殿下はすぐにフェアフュアングを店の外に連れ出した。このままフェアフュアングを店の中に置いておくと先ほど悪夢の繰り返しである。
しかし、神はいたずら好きである。そこへちょうど豪奢な馬車が通りかかった。そして、馬車から1人の令嬢が下りると
「運命の人、どうかわたしを妻にしてください」
これにはフェアフュアングもドン引きである。皇女殿下の後ろに隠れると
「俺には婚約者がいる。お前を妻にする気はない」
「そんな冷たいことおっしゃらずに。何も第1夫人にしてと言っているのではありません。第1夫人がダメなら側室でもいいです。側室がダメなら愛人でもいいです」
なんか前世の私を見ているみたい。皇女殿下が変なところで感心していたので対応が遅れた。見ると、令嬢がフェアフュアングの手を取っている。そして、令嬢の護衛がフェアフュアングを馬車に乗せようとしている。
一番早く反応したのはタマであった。タマは令嬢の手に爪をかけると、令嬢とフェアフュアングを引き離した。そして、周りを取り囲んだ令嬢の護衛に火魔法を放った。
その後、我に返った皇女殿下が
「この方は、私の婚約者、勝手に人の婚約者に言い寄るのはやめてください」
すると令嬢が
「何よ、大方権力で無理やり婚約者にしたのでしょう。かわいそうなマイダーリン、私が救って差し上げます」
ダメだこれは、大事になる。そう判断した皇女殿下は
「逃げるわよ」
そう言って、フェアフュアングの手を取って、走り出した。ヘレーネとタマもついてきた。路地裏へ逃げ込むと、そこから馬車に転移した。
ほっと一息ついてから、何かを忘れているような気がした。馬車に戻ってくると、馬車にいた面々が
「マルレーヌがいないけど」
「忘れた。店に置いてきた」
そう言って、またマルレーヌの店に転移した。そしてマルレーヌを連れて馬車に転移した。やっと全員そろった。そして、
「旦那様はこれから人目に付くところではフードを深くかぶって、素顔をさらさないこと」
「わかった。そうする。こんなに、行く先々で女に言い寄られると、疲れる」
こうしてマルレーヌの実家訪問は終わった。




