73.期末試験の結果と人間優秀論の急浮上
年が明けて、そのまま期末試験となった。結果は皇女殿下の1位は変わらなかったが、フェアフュアングが2位になった。掲示板に張りだされた結果を見て
「しまった、公聴会がすんなりいったことから気を抜いた。試験前はもっとタマに相手させるべきだった」
後悔が先に立つ。
フェアフュアングに聞くと
「お前らだって、試験2回目だろう、なんで、そんなに出来が悪いのだ」
逆に驚かれてしまった。
これには学院の教師も驚いた。いつも寝てばかりのフェアフュアングが実は相当に優秀であることがまざまざと見せつけられたのである。
これに勇気を得たのがアンネリース侯爵令嬢である。自論である人間優秀論を再度展開することにした。そう自分の小説「白馬の浮気男」の中で、優秀な人間は多くの子孫を残すべし、そうすれば帝国の繁栄につながると力説するのであった。
この理論は、今回の通達の中でも実現可能である。通達には側室の取り方も記載があり、帝国の繁栄のためと言われれば第1夫人も認めざるを得ない。アンネリース侯爵令嬢はそれにかけたのである。物語の中で、今回の通達を引用しながら国の繁栄のために多くの側室をとる主人公を描いた。
これに危機感を抱いた皇女殿下は対応を皇帝と皇后に相談した。
「フェアフュアングが今回の試験で学年2位になりました。すると、優秀な人間は多くの側室を取るべきという理論が復活しました。これでは前世の二の舞です」
「フェアフュアングはそれほど優秀なのか。しかし入学試験は主席ではなかったのだろう」
「あの時は家庭教師をつけませんでした。それに試験の前もタマに相手させて勉強させませんでした」
「家庭教師もなしで、勉強もせずに、Aクラスなのか」
「はい」
「それで、なぜ今回は2位なのだ」
「はい、授業中はいつも寝てばかりですし、離宮に帰ってからもほとんど勉強していませんでした。だから、問題はないと思ってほっておきました。しかし、もともと頭がいいので、なにもしなくても試験になればいい点数がとれるようです」
「フェアフュアングとはそれほどか」
「はい」
「それだと大多くの子供を残すべしというのもわかるな」
「お父様まで、アンネリース侯爵令嬢の肩を持つのですか」
「そういう訳ではないが、難しいな」
「帝国の繁栄のためと言われれば、わしも承認せざるを得ない」
「そんなあー」
「でも実際そうなのだろう、前世でもライムの子供は全員空間魔法が使えたのだろう」
「使えました」
「そうなると、将来お前や前世の妻たちの子供が全員、すごい魔法使いになってみろ、国内どころか外国からでも側室の申し込みがあるかもしれない。今回の通達では判断するのは夫であるフェアフュアングとその第1夫人であるエルネスティーネ、お前だ。フェアフュアングともよく相談するように」
「そんなあー。母上はどう思います」
「私、私はフェアフュアングちゃんのファンだから、フェアフュアングちゃんの好きなようにすればと思っている」
「私の幸せは」
「エルネスティーネちゃんの幸せは祈っているわよ」
「ほんとに。なんか小説の続きを実の娘で見てみようなんて考えていないでしょうね」
「そ、そんなことは考えていないわよ。面白い、なんて考えたことなんてないから」
「ああーダメだ、母上に聞いたのが間違いだった。母上は現実世界と小説の世界を混同している」そう思った。
その後、皇女殿下は婚約者のフェアフュアングのところに来て
「旦那さま、貴方様が学年2位になったので、優秀な人間は多くの側室を取るべきという理論が優勢になりそうなのですがどう思います」
「俺か、俺は種馬は嫌だな、俺の自由にさせてくれるのならいいけど。それと家が壊れると俺が自由にできないから第1夫人であるエルネスティーネ、お前がしっかりしろ。
側室にする条件は、まず、後腐れがないこと。つぎに、俺が気に入ること。それからお前と仲良くすること。この3つだな、これが満たされるなら側室は多くても構わない」
「そうですね、旦那様は最初から浮気自由とか言っていましたものね。側室を増やすのは決定事項みたいですね」
「そうだな、期待しているぜ、第1夫人さん。うまくやってくれ」
段々前世の通りになっていく。今世こそは面倒ごとはライムに押し付けてと思っていたのに、気が付くと前世と同じかそれ以上の現実が見えてくる。たぶんこれは神の悪戯だ。現実逃避する皇女殿下であった。




