60.学院生活(授業2日目)
今日は学院授業2日目である。今日は午前中は外国語と魔法理論、午後は魔法実技である。
1限目の講義は外国語である。今日はどうするのかなと思っていると、昨日と同様寝てしまった。すると、教師がわざと、外国語でフェアフュアングに質問してきた
「フェアフュアングさん、いい度胸ですね。私の授業初日から寝るとは」
するとフェアフュアングはその外国語で、
「すいません。昨日あまり寝られなかったもので、これからは気を付けます」
と返した。
するとその教師は、今度はブルヘンハイム帝国の言葉で
「フェアフュアングさん、その言葉はどこで習ったのですか」
と聞きなおした。
「こちらに来て、皇女殿下に教わりました」
と答えた。うそである。これは言語理解のスキルである。
仕方がないので
「はい、こちらに来て、私と一緒に家庭教師に師事しました」
「そうですか。もう外国語はマスターしているのですか」
「はい」
嘘である。離宮ではフェアフュアングも皇女殿下も外国語の教師には教わっていない。言語理解のスキルがあるので不要だったのである。
2限目は魔法理論。これも授業が始まるとフェアフュアングは寝てしまった。こう授業のたびに寝られるとこちらがハラハラしてくる。
「いくらつまらなくても、目ぐらい開けていればいいものを」
と思ってしまう。
職員室でも噂になっているのか、今回は教師は何も言わなかった。しかし、私をきつく睨むのはやめてほしい。
午後は魔法実技である。
魔法実技は初日ということで、教師が各自の実力を把握したとのことである。的に向かって各自好きな魔法を放つように言われた。何となく、学院の入学試験の時のようである。あの時はフェアフュアングはすごく手加減していた。的を壊さないように、最小限の魔法を放っていた。それで、Aクラスなのである。いかに座学の点数が高かったのかと思ってしまう。
さて、「今回も適当にセイブしてくれ」と祈っていると、また、おかしいのがやってきた。魔法士団長の息子ライナーである。
「これはこれは、皇女殿下の婚約者様、私と魔法勝負をしませんか」
これには、皇女殿下が切れた。
「私の婚約者に魔法勝負を挑むとは、いい度胸しているじゃない。ミンチにされたくなかったら去れ。大体あなたの父親も最高の魔道具だと言ってヘンテコな魔道具しか作れないくせして、息子も魔法勝負なんて、おへそでお茶が沸くわ」
いけない。これ前世のライムの口癖だった。
これを聞いて、ライナーはポカーンとしている。
するとフェアフュアングが笑い出した。
「皇女殿下、その言葉はここの人間には理解できませんよ」
「そうだった。思わず叫んでしまった。ゆるせ。とにかくライナーではフェアフュアング様に勝てないということです」
「そこの元平民が魔法師団長の息子の私より強いと」
「あたりまえじゃないの、あなたじゃ私にも勝てないわ」
「そこまで言うのなら、いいでしょう、私と皇女殿下で魔法勝負しましょう」
「いいわよ、でも対戦だと、たぶんあなた死んじゃうから、あの的に向かって魔法を放って、どちらがすごいか教師に判断してもらうというのはどう」
「そうですね、私も皇女殿下に攻撃魔法を放つのは気が進みませんから、そうしましょう」
ということで、順番に的に向かって魔法を放つことにした。クラスのみんなが見つめる中、まず最初はライナーが魔法を放った。と思ったら詠唱をしている。
「え、詠唱するの」
これにはがっかりである。皇女殿下は、詠唱が終わるのを、待つことにした。暇である。詠唱が長い。今は実技ということで、ズボンをはいている。そこで、逆立ちして待つことにした。今世では皇女殿下の体力も転生者得点でかなりアップしている。逆立ちぐらい平気である。
しばらくするとライナーは魔法を放った。的が吹き飛んだ。火魔法を放ったようである。
「どうですか、皇女殿下」
こう言って、ライナーが皇女殿下を見ると、皇女殿下は逆立ちしている。これにはライナーが切れた。
「いくら皇女殿下でも、少しまじめにやってください。負けたのは逆立ちしたからとか言わないでくださいよ」
「言わないわよ。どうせだから、このまま魔法を放つわね。あっ、それから私詠唱しないから」
「詠唱しないと、魔法の威力が弱くなりますが、いいのですか」
「いいわよ、それくらいハンデキャップがないとね。ついでに逆立ちしたまま魔法を放つわね。それじゃ行くわね。えい」
そう言って皇女殿下が魔法を放つと、的どころか的のあった地面が一緒に吹き飛んだ。そして大きな穴が開いた。
これにはライナーどころか教師もクラスのみんなも驚きである。一部フェアフュアングと皇女殿下の取り巻きを除いて。
こうして学院の授業2日目は終了した。




