56.学院入学(入学式)
学院の試験の結果は、ほぼ満足のいく結果となった。フェアフュアングが主席入学でなかったこと、これが最大の成果である。これには皇女殿下以下前世の妻の生まれ変わりは大満足である。これにはタマの功績大である。
まず、フェアフュアングには家庭教師をつけなかった。これは彼が求めなかったこともあるが、どうも彼は前世の怠け癖を受け継いでいるようで、本来は優秀なのだが、女を口説くこと以外は自分からは積極的に動かないようである。それで、皇女殿下が使っているテキストを事前に見せただけである。それでもテキストを見ただけでAクラスは表彰者である。若し、家庭教師の先生について必死に勉強したらと思うと空恐ろしくなってくる。
何故、タマの功績大かと言うと、皇女殿下たちが必死になって勉強している間、タマにフェアフュアングの相手をしてもらったからである。最初タマは皇女殿下たちと一緒に勉強していたのだが、すると、フェアフュアングが暇を持て増し気味になったので、急遽タマにフェアフュアングの相手をしてもらい、フェアフュアングが勉強しないように仕向けたのである。
主席合格者は皇女殿下であった。次席がマリア伯爵令嬢、そして3位がヘレーネ子爵令嬢であった。そして、ズウォレタット王国出身のアロイジア男爵令嬢が10位、ここまでがAクラス、次いでBクラスにシャルルランス王国出身の食堂の娘マルレーヌ、元孤児のマヤ、そしてCクラスにパーペンランド王国出身で冒険者のルナ、冒険者のカルナ、トリスタント王国出身で元奴隷のリッカルダ、そして、問題のフランツィスカ伯爵令嬢であるが、魔法の成績を評価されてFクラスでなくEクラスに滑り込んだ。Fクラスだと寄付金が必要であったが、Eクラスだったので、寄付金は求められなかった。これには伯爵も大喜びであった。「うちの娘が初めてテストで合格点を取った」と泣いて喜んだそうである。
このように皇女殿下以下前世の妻たちが高得点を出せたのは、学院は元々強い魔法士や剣士を生み出すのが目的で設立された経緯があり、学院の入学試験においては魔法や剣術に優れたものが高評価を得るようになっている。そのため、転生者得点で、魔法や剣術の能力が著しく向上した皇女殿下たちは2日目の実技試験で軒並み最高点を連発したのが大きかったようである。
この結果を聞いた皇帝も大満足であった。とにかく主席合格者がフェアフュアングでなかったのである。フェアフュアングの甘美の香りの効果は護衛のスチフールの起こした事件や猫のタマまでも引き寄せるという報告を受けてからはもう恐怖の対象でしかない。とにかく、フェアフュアングは入学式で挨拶する必要がないのである。
しかしこれはまだ始まったばかりである。とにかくまだ、「白馬の浮気男」の小説はいまだに帝国を席巻しており、その人気は衰えることを知らない。2年間にもわたってベストセラー記録を更新中である。ある意味異常である。
そして、問題のフェアフュアングにつける魔道具である。これも、何度も試作品が作られては、改良に改良を重ねている。現在も更新中である。入学式で、効果が薄ければその改良を図る予定である。そのために入学式には宮廷の魔法士も来賓席に並んでいる。
このような様々な人々の思惑を秘めながら、入学式が厳かに始まった。
在校生や来賓が席に着いた後、司会の言葉が講堂に流れた。
「新入生入場」
新入生がFクラスから順番に入場してくる。最後はAクラスである。Aクラスの学生が順番に講堂に入って来る。
すると、
「キャー」
という悲鳴が聞こえる。
どうも、フェアフュアングの姿を見た女生徒が興奮して倒れたようである。
「しばらくお待ちください」
司会の冷静な声が聞こえる。
倒れた女生徒を担架で運び出してから、式が再開された。
「校長挨拶」
司会の声が続く。
校長の挨拶が長々と続く。
「来賓あいさつ」
皇帝が来賓の挨拶を行う。
生徒会長の挨拶の後、入学生を代表して主席合格者である皇女殿下が今後の抱負を述べて入学式は終了した。




