55.猫の騒動、その後
翌朝フェアフュアングが目を覚ますと、タマは元の猫の姿に戻っていた。しばらくするとフランツィスカがやってきて
「猫知りませんか。昨日からここで飼うことになったんです。名前はタマって言うんですけど」
「タマならここにいるぞ。昨日俺の布団に潜り込んできた」
「ご迷惑かけました。すぐに連れて行きますね」
フランツィスカがタマを連れて行こうとすると、タマが
「シャー」
と言って爪を立てて威嚇してくる。
「こいつ、俺が気に入ったみたいで、ほかのところへは行かないみたいだ。それで後でみんなを集めてくれ。タマのことで話たいことがある」
「わかりました。フェアフュアング様がそれでいいなら。朝食の後、みんなでここに来ます」
そう言って、フランツィスカは戻っていった。
朝食後、前世の妻たちが全員そろった。
「これから話す事は、人に漏らすなよ。まず、この猫は前世のタマの生まれ変わりだ。鑑定をしたら、猫又、つまり猫の化け物と出た。
それに魔法が使える。使える魔法は生活魔法、言語理解、隠密、変化だ。変化を使えは人間の姿にもなれる。それに言語理解のスキルがあるので、人間の言葉も理解できるし、話すこともできる。
それからここからが一番大事なことなのだが、タマは俺のことが好きで、11番目の妻にしてほしいそうだ」
「11番目の妻」と聞いて全員が絶句してしまった。
「おいタマ人間の姿になってみろ。人間の姿になりたい。変化と唱えればできるはずだ」
すると、猫が人間の姿になった。昨日と同じ2歳ぐらいの幼女である。服は着ていない裸である。
「うれしい。また人間の姿になれた。私は前世のタマの生まれ変わり。私はライム様のことが好きなので、どうか11番目の妻にしてください。皆さんにご迷惑はかけません」
目の前で起こっていることが理解できない妻たちは、しばらく無言である。しばらくして皇女殿下が
「私はタマのことが好きです。だから、タマの気持ちはかなえてあげたいけど。私の気持ちが付いて行かないというか。それで、フェアフュアング様はそれでいいのですか」
「俺か、俺も、よくわからん。猫が妻になるというのは、俺も気持ちが付いて行かない」
「それなら、フェアフュアング様や私たちの気持ちが付いて行けるようになったら11番目の妻になるということでいいですか」
「それでいい」
「ありがとう、フェアフュアング様、そして前世の妻の生まれ変わりの方々」
こうして、条件付きながらタマはフェアフュアングの11番目の妻になることになったのである。
それからタマは、常時幼女の姿でいることが多くなった。それで、タマ用の服を作って、人間の姿の時は服を着るようにした。このことは念のため、皇帝陛下にも伝えた。
「前世の公爵邸で飼っていた猫の生まれ変わりが離宮にいます。名前はタマと言います。そして、ここからが大事なのですが、タマは猫なのですが魔法が使えます。そして人間の姿になることもできます。今は2歳ぐらいの幼女の姿をしています。そして一番大事なことはタマが『ライムの11番目の妻になりたい』と言っていることです。『11番目の妻にしてくれないのなら毎晩化けて出る』と言っています。それでフェアフュアングと私たちの気持ちが付いて行くようになったら11番目の妻になることを認めました。報告は以上です」
これを聞いた皇帝は、猫が魔法が使えて、その猫がフェアフュアングの妻になりたいと、甘美の香りとはそんなに強力なスキルなのか。付いていけないな」
もうぼやきしかなかった。
タマの魔法のレベルを確かめるために、フェアフュアングと皇女殿下たちは、誰もいない森に転移した。
「タマ、あの木に向かって魔法を放ってみろ」
「魔法を放つって、よくわからない」
「今から見本を見せるから同じようにするんだぞ」
こう言って、フェアフュアングが火魔法、水魔法、土魔法と、魔法を行使していった。するとそれを見たタマも同じように魔法を行使していった。それを見た皇女殿下が
「タマの魔法は私たちと同じくらいね」
とつぶやいた。
追加で、変化の術がどのくらい使えるか試してみたが、何も考えなければ、いつも幼女の姿になることが分かった。そこで、今度はフランツィスカに化けてみてもらったが、よく見ると違っている部分も多い。大きさもさきほどの幼女ぐらいしかない。他人に化ける難しいようである。今度は、小さな昆虫に化けてもらったが、これは出来なかった。大きさを変えるは難しいようである。
その後、練習のために最初はゴブリンその後オークそしてオーガと狩らしてみたが、余裕で倒すことが出来る。その後、さらに森の奥に転移して、地竜を狩らしてみたが、これもすんなり狩ることが出来た。神はタマにも転生者得点を与えたようである。
そして、このことは再度皇帝陛下に報告された。
「タマの使う魔法は私たちと同じくらいのレベルです。たぶん宮殿の魔法士では太刀打ちできないと思います」
これを聞いた皇帝は
「猫が宮殿の魔法士より強いなんて、転生者とはそれほどか」
とつぶやいた。
その後、タマは、皇女殿下たちに混ざって、家庭教師の先生から講義を受けることになった。言語理解のスキルがあるので、国語と外国語は完璧であった。他の講義はさすがに落ちるが、フランツィスカと同じくらいにはできることが分かった。
これを知った妻たちからは
「猫と同程度って、フランツィスカあなたの頭はどうなっているの」
と言われて、フランツィスカは叱責されるのであった。




