47.馬車は進む、しかし妙案は出でず
前日に引き続いて馬車の中での対策会議である。昨日問題になったのは、「フェアフュアングの浮気対策」である。超ハイスペックな容姿とユルユルの下半身。これをどのように対策するか。これが今日の議題である。
いつものように議長を務める皇女殿下が開会のあいさつをする。
「それでは、昨日に引き続いて対策会議を始めます。昨日問題になったのは、フェアフュアングの浮気対策です。これについて皆さん忌憚のないご意見をどうぞ」
「はい」
「マルレーヌさんどうぞ」
「私は、ライムの浮気癖はもう治らないと思います。もし、浮気自由とかで転生したのなら、神もそれを認めたのだから、それを規制するのは神に背くことになると思う。それに、甘美の香りなんて厄介なスキル、たぶん前世は持っていなかったと思う。前世は、そこまで浮気性じゃなかった。少なくとも妻は私たち10人だけだったわけだし。今世は生まれた村でも女を侍らせ、そして冒険者になってからも女を侍らせている。こんなクズ男、ああ、もう腹がたってくる。ライムのバカ」
「抑えて、抑えて、マルレーヌ」
ここで会議は小休止である。
しばらくして、
「それでは会議を再開します」
「マルレーヌさん続けて」
「先ほどは失礼しました。それでは続けます。甘美の香りが神から与えられたスキルなら、神もこの状況を楽しんでいるではないのでしょうか」
「神がいたずら好き」
「そうかな、神は神聖なものだと思うけど」
「だったら、どうして、ライムのような浮気男に、こんな厄介なスキルを与えたと思う。まるで『もっと浮気しろ』と言っているみたいじゃないの」
「そうね、それも当たっているかもしれないわね」
「すると、フェアフュアングに浮気を許容することになるけど」
「そんなの、いや。また前世の二の舞じゃないの。ライムの浮気に頭を悩ませ、次々とやってく女と、生まれた子供の対応をする、私の苦労がぶり返すじゃないの。私は浮世の政は忘れて庭園でお茶を飲みながら優雅に清談に花を咲かせるの。面倒ごとはすべてフェアフュアングにやらせるの。それが、今世の夢」
「皇女殿下の夢は分かったけど、たぶんそれは無理。そんなことしていたら、再現なく女がやって来て、いっぱい子供が生まれる」
「私たちも協力するから、フェアフュアングの浮気を管理する方向で話をもっていかないと」
「あなたたちも協力してくれる。絶対よ。私だけに任せたりしないでね」
「それはもう、私たちは皇女殿下の、忠実な部下そして同志です」
「ありがとう、みんな」
「それではフェアフュアングの浮気は管理するということで、では実際どうやって、フェアフュアングの浮気を管理するのか。彼は転移魔法が使える。一瞬でいなくなる。
そして、転移した先に女がいたら、甘美の香りで一瞬でフェアフュアングを好きになる。問題は、フェアフュアングが口説かなくても、女の方から好きなるということです。これに対して有効な対策はありますか」
「はい」
「リッカルダさん」
「はい、フェアフュアングを監禁して、私たち以外と接触できないようにしたらどうですか」
「フェアフュアングを監禁しても、転移魔法で逃げられるのよ」
「そうか、転移魔法で逃げられたら、対処のしようがないわね」
「それでは、フェアフュアングに女性が接触できないようにしたら」
「どうやって」
「うーん。無理かな。」
「フェアフュアングが女性を口説かないように言い聞かせたら」
「それ、納得すると思う。それに、フェアフュアングが口説かなくても、女性の方から口説いてくるんだもの」
「無理ですね」
ここまできて、会議の参加者は、フェアフュアングが無敵なのを悟った。フェアフュアングが悪いことをしているわけではない。ただ、そこにいるだけ、それで女が貢いでくる。そして、ユルユルの下半身。絶望的な未来しか見えない。
そこはやはり、フェアフュアングの家族と生まれた村を人質にして彼を縛るしかないだろうという結論に達した。すると、皇女殿下と妻たちはフェアフュアングに恋する女性を邪魔する悪女になる。
「ああ、もういや、神様何とかして」
結局結論を保留して、あとは神にすがるだけであった。




