43.周りから攻めろ
皇女殿下とヘレーネとアロイジアは帝都に戻って、再度検討会を開催した。
「昨日見てきた結果を報告します。」
「フェアフュアングはライムの生まれ変わりで間違いない。そして、生活魔法、言語理解、鑑定、空間魔法、甘美の香りのスキル保持者。甘美の香りとは、異性を異常に強く引き付けるスキルです」
「フェアフュアングの家族は父と母と兄と姉と妹がいる。全員美形だ。生活態度は至って普通である。以上」
「この結果をもとに皆さん意見をどうぞ」
「やはり、皇女殿下が、フェアフュアングの生まれた村の領主になって、家族を人質に結婚を迫るしかないと思います」
「皆さんどう思いますか」
「あんなに女にちやほやされていたら、私たちを探そうとはしないでしょう。やはり、ルナさんの言うとおり、家族を人質にするしかないと思います」
「皆さんも同じ意見ですか」
「はい」
「わかりました。その方向で、皇帝とも協議します」
その夜、皇女殿下は皇帝と皇后と協議した。
「ブレンブルグ王国の北の町のタールブッケン町にフェアフュアングと言う男性冒険者がいます。鑑定の結果、彼は転生者です。彼は超が付くぐらいの美形です。そして、女性冒険者が、腐った肉に集る蠅のように付きまとっています。
冒険者ギルドでは「顔だけのハニー」と呼ばれています。彼には生活魔法、言語理解、鑑定、空間魔法、甘美の香りのスキルがあります。甘美の香りとは、異性を異常に強く引き付けるスキルです。
彼の生まれた村は、タールブッケン町から南に半日ほど行ったところにあります。そこに父と母と兄と姉と妹がいます。彼の家族は至って普通のようです。
そこで、前世の妻たちの生まれ変わりとも協議したのですが、私が、その村の領主になって、家族を人質に彼に結婚を迫るしかないという結論に至りました。私が他国の領主になれるでしょうか」
「家族を人質とは少し過激ではないか。もっと穏便な方法はないのか」
「それはライムの性格を知らないから言えるのです。あいつはクズです。女の敵です。すぐに女をひっかけてくる。後始末はすべて私、ああもう、思い出したら腹が立ってきた」
「抑えて、抑えて、もっと冷静に。わかった、お前が他国の領主になるのを認める。しかし、ブレンブルグ王国は我国の友好国である。私からいきなり、お前をその村の領主にしろとは言えないぞ」
「では私が、私のやり方で、ブレンブルグ王国の国王と協議して、円満にその村の領主になることが出来たら問題ないのですね」
「エルネスティーネが個人的にブレンブルグ王国の国王と協議して、その村の領主になることが出来たのなら問題ない。帝国は関与しないことだ」
「では、そのように対応します。そのため、お願いなのですが、私を特使、ヘレーネを副官としてブレンブルグ王国に派遣してもらえませんか」
「それぐらいなら、たやすいことだ。わかった。出発はいつだ」
「早ければ、早い方がいいのですが。準備の時間も必要ですので、来週では」
「それは無理だ、一応護衛やお付きのメイドも付けねばならぬ」
「お付きのメイドは事情を知っている方がいいのでフランツィスカ伯爵令嬢とマリア伯爵令嬢にしてもらえませんか」
「わかった、その方がいいのならそうする。それなら、護衛の選定と宰相に図るだけだから、来週の出発でいいだろう」
このようにして、急遽ブレンブルグ王国への特使の派遣が決まった。この特使一行にフランツィスカ伯爵令嬢が選ばれたということで、いつもはクズと思われていたフランツィスカ伯爵令嬢の株が上がったのは言うまでもなかった。




