38.パーペンランド王国のアミサンカモ市観光
第9夫人アニカの生まれ変わり、リッカルダが見つかってからほどなくしたころ、アロイジア男爵令嬢は、パーペンランド王国のアミサンカモ市の冒険者ギルドに配置した女奴隷冒険者から連絡を受けた。なんでも、恐ろしく強い女性冒険者がいるとのこと。年は皇女殿下と同じ8歳とのことである。この連絡を受けて、すぐに皇女殿下に連絡を入れた。この連絡を受けた皇女殿下はアロイジア男爵令嬢とともに、アミサンカモ市に転移した。
アミサンカモ市はパーペンランド王国の西部平野の中にある都市である。都市の中央をソンムリ川が流れており、その川から引き入れた運河が市内をめぐっており、運河では遊覧船も運行しており、優雅な船旅が出来る。また、大聖堂のある町としても有名であった。
皇女殿下は、市内に転移すると、まず広場の大聖堂に目を奪われた。ぼうっと見ていたら
「何、見とれているのよ。さあ、早く冒険者ギルドに行くわよ」
「でも、この大聖堂。こんな大きなものはめったにないわよ。見上げていると首が痛くなる。せっかく来たのだからここで見て行こう」
「何観光旅行しているのよ。大体、ここへ来るのは皇女殿下は始めてじゃないでしょ」
「だって、あの時はただ機械的に奴隷商のところへ行って、奴隷を買って、後は冒険者として活動して情報を送れと言っただけで、ろくに市内なんて見てないし」
「ああ、もうわかったわよ、帰りに市内観光する。それでいいわね」
「ありがとう。アロイジア大好き」
そう言って、皇女殿下はアロイジア男爵令嬢に抱き着いた。
冒険者ギルドに行って、配置してある女性冒険者と合流することにした。夕方になれば、その女性冒険者が来るそうなので、それまで待つことにした。名前は、ルナと言うらしい。なんでも半年ほど前に冒険者に登録したばかりなのに、急に強くなって今ではDランクだそうだ。Cランクになるのも時間の問題と言われているそうである。
夕方まで、時間があるというので、先ほどの大聖堂を見に行った。皇女殿下はウキウキである。最近は忙しくてゆったりした時間なんか取れなかった。まして観光旅行なんていつ以来だろう。何となく緊張感に欠ける皇女殿下である。
ウキウキ気分で大聖堂の中に入ると、窓から差し込む光が、講堂にあふれている。中央の祭壇にも惜しみなく光が差し込みとても神々しい。
「神様、この世界に転生させてくれたありがとうございます。どうか早くライムとその妻たちの転生者に会えますように」
この時ばかりは敬虔な信徒となった皇女殿下であった。
これを見ていたアロイジア男爵令嬢や奴隷の女性冒険者もつられて祈りをささげるのであった。
その敬虔な姿を見た司祭が話しかけてきた。
「これは、これは小さいのに、熱心なことで、神に祈りをささげるのはいいことですよ」
「ありがとうございます。今日は人に会いに来ました。まだ会えない人もいるので、その人たちにも早く会えるように祈りました」
「そうですか、今後も神のお導きがありますように」
これを見たアロイジア男爵令嬢が
「どうしたのですか。いつもの皇女殿下と違うような気がする、熱でもあるのですか」
「失礼ね。私も敬虔な信徒になるときもあるのですよ」
「そうですか、それはよかったですね。それでこれからどうします」
「決まっているじゃない、市内をめぐる運河で船遊び」
「ああ、いつもの皇女殿下だ」
「だって、舟遊びなんて、前世でライムとして以来だもの」
「そうね、あの時は楽しかったわね」
ということで、遊覧船のところに行ったのだが、見るとカップルばかり。
「どうします。私たち浮いているように思うのだけど」
「そうね、やはり、その冒険者に会ってからにしますか」
ということで、遊覧船には乗らずに、市内のカフェで一休み。通りを行く人たちを眺めながら時間をつぶした。
その後、冒険者ギルドの、居酒屋で女性冒険者がクエストから戻ってくるのを待つことにした。すると女性ばかり4人ということで、男性冒険者が声をかけてくる。うっとうしいので、皇女殿下はかぶっていたフードを上げた。すると、声をかけてきた男性冒険者が
「げ、病気持ち」
と言って、逃げだした。
すると、アロイジア男爵令嬢が
「皇女殿下はその痘痕、気にならないのですか」
「気になるわよ。でも寄ってくる男を退散させるのはこれが一番」
「そうですか。皇女殿下は強いですね」
「合理的と言ってよ」
何となく開き直った皇女殿下は無敵のようである。




