30.シャルルランス王国での調査
次の日、ヘレーネとアリーナは、貴族年鑑の保管されている部屋に案内された。順番に貴族の家族の中にヘレーネと同じ7歳の子供がいないか。いた場合は誕生日がいつか調べていった。もう調査も4か国目、手順も慣れたものである。アリーナも手伝ってくれるし作業は順調、しかし、結果は対象者なしである。
今回もヘレーネ以外の特使一行は歓迎パーティーへ、護衛を廊下に追いやって、やっと1人になる時間ができた。そこで、ヘレーネはかねてからの懸案事項である転移魔法を試してみることにした。部屋の隅に行って、中央にいる自分を思い浮かべて、「転移」と唱えた。すると、一瞬目の前がグニャとした感じがして次の瞬間、自分の体が中央にいた。出来た。やっぱり転生者得点で魔法の能力が上がっている。しかし次の瞬間、胸が苦しくなった。「ああ、これは魔力切れだ」と思った。転移魔法は魔力をすごく消費するようだ。そんな簡単にできるものではないなと思った。
いつものように魔力結晶の包蔵容器のふたを開けて、皇女殿下を呼び出した。
「シャルルランス王国の貴族には転生者らしき人はいませんでした。それから、私、魔法の能力が上がっているみたいです。生活魔法なのに火魔法や水魔法のようなことが出来るし、索敵も転移もできます。ただ、転移は魔力の消費が激しくて少ししかできません。もし、これが転生者得点なら、早く他の転生者を探さないと、戦争の道具にされると大変です」
時間がないので手短にまとめてしゃべった。すると皇女殿下が
「私も、能力が上がっているみたいだし、他の転生者にも聞いてみる。それでは帝都に戻る」
そう言って、皇女殿下は転移していった。
今日の予定は終了。魔力切れで苦しい体に鞭打って、廊下に行って護衛を部屋の中へ招き入れた。そして、
「今日は疲れたので寝る」
と言って、ベッドへ横になった。
一方、皇女殿下は今日もすんなり帝都には戻らなかった。そう、今日も奴隷商のところへ行って、適当な奴隷を購入して、店を開く準備である。そこで、少し色気が出た。「マッチョな筋肉質な男奴隷を購入したら、それに引き寄せられて女性が来るのでは」と思ったのである。奴隷商に
「追加でマッチョな男奴隷を1人購入したい」
と言うと、奴隷商が
「お嬢さん、その手の趣味がおありで。わかりました最高の男奴隷をご覧に入れましょう。あそこの大きさは折り紙付きでございます」
なんか変な方向へ行ってしまった。
男に抱かれたのは前世にライムに抱かれて以来ない。見るくらいならいいだろう。なんか思考もおかしな方向へ行っている。これも転生者得点だろうか。なんか違うような気もするが、などと割としょうもないことを考えていると、奴隷商が1人の男を連れてきた。
男は皇女殿下を見ると、ニヤと笑って、力こぶを作った。そして、あそこを強調しようとしたが、「ライム以下だ」と思った皇女殿下は
「却下、いらない」
と言った。
すると、奴隷商は
「お気に召しませんでしたか」
「ううん、知っている人の方が良かった」
「そうですか、お嬢さんは小さい割には経験豊富なのですね」
結局、正攻法で女性奴隷を何人か購入して、奴隷商を後にした。そして宿をとると、その日は奴隷を宿に泊まらせた。そして、帝都に帰った。
次の日、帝都から転移してきた皇女殿下は、前回同様、商業ギルドに行って適当な店舗兼住居を購入して、お店の開店準備を始めた。今回は、前回にマリアに指導してもらった教訓を生かして、うまくやる。私は学習する人。単価の安い木の食器や素焼きの土器などを並べていった。アクセサリーなども小さい小物を中心にして、並べていった。そして店の看板も作った。
そこで色気が出た。パーペンランド王国の店と全く同じ商品ではつまらない。そこで、「ライム人形を作ったら女性に売れるのでは」と思って、木彫りのライム人形を作った。そして、服はどうしようと思った。服は高価である。たとえ人形といえども、服を着せればそれなりの金額になる。それで、最低限あそこさえ隠せばいいかと思って、パンツだけ穿かせた。かなりマニアックな人形の出来上がりである。これを大量に作った。
これを見た奴隷たちは最初
「こんな人形売れるんですかね」
と言っていたが、なぜか、その人形を凝視すると、
「私も1つほしい」
と言い出した。
恐るべきライムの能力。人形になっても女性を引き付けるのだ。「前世で私がとりこになったのも仕方がないな」と思う皇女殿下であった。




