27.パーペンランド王国での調査1日目と皇女殿下の情報源の確保
次の日、ヘレーネとアリーナは、貴族年鑑の保管されている部屋に案内された。順番に貴族の家族の中にヘレーネと同じ7歳の子供がいないか。いた場合は誕生日がいつか調べていった。パーペンランド王国はこれまでの2か国と違って大国、今日中には終わりそうにはない。そこで、ヘレーネは
「すいません。この期には大国なので、今日中には終わりそうもありません。明日のここで調べていいですか」
と聞くとアリーナが
「あれ、聞いてない。昨日王都で爆発騒ぎがあって、安全を図るため、当分ここ王宮で過ごすことになったのよ。だから私も明日も付き合うわ」
これを聞いて、ネレーネは「たぶん皇女殿下が何かやらかした」と思ったが、「結果としていい方向に事態が進展したので皇女殿下に感謝だな」と思った。
結局その日は転生者は見つからずに夕方になったので、一旦宿舎に戻ることにした。
これまでの2か国と同様、ヘレーネを除く特使一行が歓迎パーティーに出るのを見計らって、護衛を廊下に出すと、ヘレーネは魔力結晶の包蔵容器のふたを開けた。すると、すぐに目の前に皇女殿下が現れた。
「ヘレーネ、転生者らしき人物は見つかった」
「今日は見つからなかった。まだ調べていない貴族もあるので、明日もう一日探してみる」
「そうじゃ、頑張ってね」
「それで、昨日皇女殿下何かしませんでした」
「いや何もしなかったわ。あのあと王都を見て、すぐに帝都へ帰ったから」
「そう、それならいいんだけど、昨日王都で爆発騒ぎがあったみたいだから。犯罪者集団が来ているんじゃないかって言われているみたい」
「そう。それは大変ね。ヘレーネも気を付けるのですよ。それじゃ」
そう言って、皇女殿下は転移していった。
その後、護衛を服の着替えが済んだと言って部屋に入れた。
この日も皇女殿下は真っ直ぐ帝都には帰らなかった。昨日のリベンジ、なんとかこの国に情報源を確保するのだと息巻いている。昨日あれから考えたのだけど、「情報をもらうだけなら、何も暗殺者ギルドに頼らなくても、奴隷を買ってその奴隷に情報を送らせればいい」と考えたのである。
やってきました奴隷商。この国では初めてだけど、帝国では何回も奴隷商に行っている。女性の奴隷を買って、冒険者登録して、罠を帝国やそれ以外の国々に幾つも仕掛けている。潜入させた冒険者ギルドは、その数すでに100か所を越えている。とにかく皇女殿下は金があるのである。有り余る金をいやと言うほど罠に突っ込んでいる。
奴隷商の門をくぐって
「商会を経営できるような奴隷を探している」
すると、奴隷商が「変な客が来た」といぶしがっている。
「私は怪しいものではないぞ。訳けあって名前は言えないが。金ならあるぞ」
そういって、金貨の入った袋を目の前に置いた。ガチャンと重そうな音がすると、奴隷商の顔がほころんだ。手もみしながら
「ご予算はどれほどで」
「そうだな、最低条件は計算ができること。希望を言うなら、かつて商会を経営していたような人間がいいな。金額的にこれで足らなければさらにあるぞ」
そう言って、もう1つ袋を置いた。
これには奴隷商も上機嫌で
「それでは何人か連れてまいります」
と言って奥へ入っていった。
そして、4人の奴隷を連れてきた。
1人目はエッリ10歳、金貨30枚。父親と行商をしていたが、父親が死んで、借金があったみたいで奴隷に売られたそうである。
「10歳」と聞いて、皇女殿下が
「計算ができるのか」
と聞くと
「できる。父親と一緒にやっていたから、商売の仕方もわかる」
2人目はエルヤ18歳、3歳の娘がいるそうである。娘とのセットで購入してほしいとのことである。娘とセットで金貨70枚。商店を経営していた父親が死んで借金の形に売られたそうである。
商店を経営していたというので、ドンピシャだと思ったが、一応どんな店か聞いてみた
「経営してい店は何を扱っていたのですか」
「食器や家の中で使う小物を扱っていました」
3人目はロニヤ15歳、金貨70枚。両親が宿屋を経営していたが、宿が燃えて両親が死んだ。そして、借金の形に売られたそうである。
面倒くさくなってきたので、
「全員買うわ」
と言うと、奴隷商がびっくりして、
「吟味しなくていいんですか」
「構わない。金ならある」
そう言って、金貨200枚を出した。
奴隷商が
「金額が多すぎますが」
「金貨30枚は、お前の口止め料。若し、ここで私が奴隷を購入したことを誰かに喋れば、その時は命がないと思え」
そう言って、魔力を込めた。
すると奴隷商は、口元を抑えて苦しみだした。
「ごめん、少し強すぎたかな。これぐらいだと何ともないと思ったのだけど、今、治癒魔法をかけるね」
そう言って、皇女殿下は奴隷商に治癒魔法をかけた。
奴隷商は元気になると
「死ぬかと思った」
「これぐらいじゃ死なないわよ、この間、殺し屋にこれよりもっと強い魔法をかけたけど死ななかったわよ。気絶しただけだった」
「私は殺し屋よりずっと弱いですから」
「そう、でも横の太さはあの時の殺し屋の倍はあると思うけど」
奴隷商の店を後にして、「今日はもう遅い」ということで、とりあえず宿をとった。そして、宿の部屋に入ると
「これから話すことは口外してはならない。これはご主人様の命令である」
「まず、お前たちを買ったのは、私に『私と同じ年で誕生日が7/7、8/7、1/20,2/3の子供がいたら、その子供の情報を伝える』ためである。明日店を購入して、前たちに預ける。そこで、適当に商品を売って買いに来る客から情報を得ること。私は転移魔法が使えるので、時々見に来る。私のことは決して口外してはならぬ。よいな」
「わかりました」
そう言うと皇女殿下は一瞬で転移した。残った奴隷たちは、あっけにとられた。することもないので、寝ることにした。訳が分からないが、とりあえずひどいご主人ではないようなので安心したのであった。




