19.暗殺者の襲撃
ブレンブルグ王国の宿舎でヘレーネと皇女殿下が話をしていると、皇女殿下は外の様子がおかしいことに気づいた。
「しー。静かに。ヘレーネ。外の様子がおかしい。護衛が倒された。賊が侵入してくるかもしれない。隠れるぞ」
ヘレーネと皇女殿下がベッドの下に隠れると、部屋に黒ずくめの賊が侵入してきた。すると皇女殿下は、その賊に向けて魔力を放った。すると、10人の賊が一瞬で気絶した。
「皇女殿下、この賊どうします」
「ヘレーネが倒したことにしたら」
「私じゃ無理ですよ。2人の護衛が一瞬で倒されたんですよ。それに、外の護衛の手当てはしなくていいですか」
「外の護衛はお前が手当てしろ」
「私はこの賊をマジックバックに入れる。そして、賊の襲撃はなかった。私もここにいなかった。それでいく。いいなヘレーネ、お前は何も見ていない」
「いいんですか。すごく矛盾していると思うのですが」
「仕方ないだろう、私がヘレーネの危機に駆けつけて賊を倒したと説明する方が矛盾があると思うぞ。私は帝都にいることになっているのだから」
「それはそうと、生きている人間がマジックバッグに入れられるのですか」
「入れられないな。生きていたらの話だ」
「それって、この10人の賊を殺すのですか」
「言い方に気をつけろ。殺すのではない。手加減を間違えたら、死んだのだ。不幸な事故だ。大体、殺すつもりで来たのだから殺される覚悟もあるだろう」
「あちらの賊は1人気づいたみたいですが」
「そうか、それじゃそいつを一番先にするか」
皇女殿下が賊の1人に近付くと、
「ひい、やめて、殺さないで、何でも話すから」
「いや話さなくていい。どうせお前たちはここにいなかったことになるのだから」
「そんなことを言わないで、私の話を聞いてください」
「うっとうしいな。どうするヘレーネ」
「話すというなら、聞いてから判断したら。たとえ賊でも殺すのはいやだから」
「お前はやさしいな。賊だぞ」
「仕方がない。なら話せ。しょうもないない話だったら、お前の命はないぞ」
「私は暗殺ギルドの人間です。私は一応幹部をしています。今回の襲撃は、反国王派の貴族から依頼でこの部屋に残っている娘を殺せという依頼を受けました。
ここからは推論ですが、特使一行に随伴する娘を殺せば、国王の失態として帝国より責めを受けます。すると、国王は退位せざるを得ません。そこで、反国派の人間の推す第2王子を王位につけるという手はずになっているのです」
「しかし、お前の言うことが事実だという証拠がないであろう。やっぱり、お前には死んでもらう。その方があとくされなくていいだろう。私も王国のごたごたに関与したくない」
「ひいい。証拠ならあります。暗殺ギルドに戻れば、依頼した人間との契約書があります」
「契約書だって、貴族本人ではなく、下っ端だろう」
「確かに契約者は下っ端ですが、金の流れの帳簿があります。この帳簿は貴族本人の帳簿です。それに税金のごまかしや、今までの不正なども記載されています。それに、今回王宮に侵入するにあたって手引きした人間やこの王宮の警備体制を記した指示書もあります」
「確かに、それだけあれば、指示した人間の責を問うことはできるな。わかった。今から暗殺ギルドに行く。私はこの足で、こいつらを引き連れて暗殺ギルドに行く。事が済めば、そのまま帝都に帰る。ヘレーネは外の護衛の手当てをしろ。そして、襲撃はなかった。何も見なった。そう言うのだぞ」
こう言って、皇女殿下は10人の暗殺者とともに部屋から一瞬で消えた。その後、私は廊下で気絶している護衛の手当てをした。護衛は
「大変です。襲撃がありました。急に男が現れて、我々2人は一瞬で倒されました」
「そう、変ねえ。部屋には誰も来なったわ」
「え、部屋には誰も入ってこなかったのですか」
「はい、だれも入ってきませんでした。もう着替えは済みましたから、中に入ってください」
そう言って、護衛を部屋の中に入れた。護衛は注意深く部屋の中を観察していたが
「そうですね。部屋は変わった様子は見えませんね」
「では何だったのだろう」
「それを私に言われても」
ヘレーネも皇女殿下と付き合うようになってからは、とぼけるのがうまくなった。
一方、皇女殿下は暗殺ギルドに襲撃者10人とともに転移した。そして、問題の証拠書類を受け取った。そして、今後のことを考えた。
「ねえ、やっぱりあなたたち、死んでもらえる。だって、私の秘密を知ったのだから」
すると暗殺ギルドの男が
「絶対に皇女殿下の秘密は口外しません。皇女殿下は、今日ブレンブルグ王国にいなかった。なあ、お前たちもそうだろう」
「はい、私たちも絶対に言いません」
「しかしなあ」
「それでは、私たちは皇女殿下の配下になります。なんでも言いつけてもらえれば、汚い仕事から明るい仕事まで何でもします」
「ちょっと、考えさせて」
しばらく、皇女殿下は思案していた。そして
「それなら、私に絶対の忠誠をつくしなさい。今から私があなたたちに奴隷紋を刻みます。そしてこの国の情報を私に伝えるのです。私と同じ年の子供がいたら、貴族でも、平民でも、奴隷でもいいです。誕生日を私に連絡してください」
「それだけでいいのですか。誰かを殺せとか。お金とかは要らないのですか」
「誰も殺す必要はない、お金もいらない。情報が欲しい」
「わかりました。皇女殿下に絶対の忠誠を誓います」
その後、10人の暗殺者に奴隷紋を刻んで忠誠を誓わせた。こうして、皇女殿下はブレンブルグ王国で配下を従えたのであった。




