14.包囲網第2弾
セルフホーフェン商会に前世の公爵家で食べていた食品の販売を依頼してから1か月がたったが、「今回は工場の新設からなので、販売までは時間がかかる」と言われた。そこで、ライムとその妻たちの生まれ変わりを探す方策の第2弾を練ることになった。集合場所は前回と同じ伯爵邸である。
出席者は皇女殿下、フランツィスカ伯爵令嬢、ヘレーネ子爵令嬢、マリア伯爵令嬢である。
「ライムの生まれ変わりが農家だったら、新しい食品といっても、目にかかることがないのじゃないかな」
「そうね。農家だと普通自給自足、外食なんてしないし。それに、そもそもセルフホーフェン商会のお店がそんな田舎にあるわけがないし」
「口コミで、だんだんと噂が広がるのを待つしかないのかな」
「時間がかかるわね」
「なんか新たな方策を検討しないといけないのじゃないかな」
「そうね、何かないかしら」
「もし、冒険者になっていたらマジックバッグを買うのじゃない」
「でもライムなら自分で作れるし」
「そうでもないわよ、マジックバッグを作れるとなると目立つから、いくつか買ってごまかすと思うわ」
「そうね、それはいい考えだわ」
「皇女殿下はマジックバッグ作れるのよね」
「容量の小さい物なら作れるわ」
「それじゃそれを作ってセルフホーフェン商会に売ってもらう。条件は買った人の特徴を知らせること」
「それじゃ、今からセルフホーフェン商会に行こうか」
「まってよマジックバッグは作るの大変なのだから、5日待ってよ、そうしたら100個ぐらい作るから」
「それじゃ、5日後の午前中に行くとセルフホーフェン商会に伝えとくね」
「お願い」
5日後の午前中、いつもの4人組がセルフホーフェン商会に行くと応接室に通された。今回はいつものぶっつけ本番でなく、あらかじめ予定を入れたため、部屋を取っていたようである。普通のビジネスマンならこれが普通である。
皇女殿下が
「今日は時間を取ってい頂いてありがとうございます。今日は、また売ってほしいものがありまして寄せてもらいました。今回は、このマジックバッグを売ってほしいのです。このマジックバッグは商会長にお貸ししている物と同じです。容量はあまり大きくなくて小さな荷馬車1台分ぐらいです。しかし、時間停止機能も付いていますので重宝できると思います」
「マジックバッグとはまた貴重なものを、これをいかほどの値段でお売りすればいいのですか」
「私はマジックバッグを買ったことがないので、いくらぐらいするのかよくわからないのです。値段は商会長にお任せします」
「買ったことがないということは、これを皇女殿下がご自分で作ったということですか」
「その件についてはノーコメント。だだし作成者は内密に願います」
「わかりました。詮索しないようにします。ということは、値段は他のマジックバッグと同様でいいということですね」
「はい、構いません。これで儲けようとは思っていませんので。ただし、これまで販売をお願いしている商品と同様購入者の名前、年齢、特徴をお知らせ願います。そのための費用は、販売経費に上乗せしてもらって結構です」
「わかりました。これくらいのマジックバッグだと買うとすれば、金貨100枚ぐらいだと思います。税金が10%、ただし、マジックバッグを買うのは冒険者が多いので、冒険者ギルドに販売を委託すると手数料が2割取られます。それにセルフホーフェン商会の手数料を1割とすると、皇女殿下にお渡しする金額は金貨60枚となりますが、いいですか」
「購入者の情報を知らせる手数料は要らないのですか」
「これくらいの金額になるとその費用はほとんど、影響ないです」
「今ここに、このマジックバッグが100個あります。足らないと5日ほど待ってもらうともう100個作ってきます」
「多分追加をお願いすると思います。それと私どもの商会でもこのマジックバッグを購入してもよろしいですか」
「かまいませんが。どうしてですか」
「いや、皇女殿下にお借りしているマジックバッグがとても便利なんですよ。時間経過はないし。出来た食品をマジックバッグに収納しておけば、作った製品をそのまま提供できますから」
「それでは、私どもの商会で購入する分も含めて120個お願いします」
「わかりました。6日後に120個持ってきます。それと、くれぐれも製造元は内密に願います」
「わかりました。皇女殿下とは今後ともよい取引相手になることを願っています」
「こちらこそ」
このようにしてライムとその妻たちの生まれ変わりを探す方策の第2弾は実行に移されたのであった。




