10.リバーシの販売
皇女殿下は次のミッションである第8夫人カロリーネを探しだすことを伝えた。
フランツィスカ伯爵令嬢とヘレーネ子爵令嬢に
「この紙を見なさい。この、男爵令嬢のクララとマリアのどちらかが第8夫人カロリーネの生まれ変わりだと思うのだけど。知らない」
するとヘレーネが
「クララを知っている。一度連絡を取ってみる。うまくいったら、この伯爵邸集合でいいかしら」
(皇女殿下とフランツィスカ)
「それでいい」
「それにしてもさすが、ミリーね。どこかのポンコツとは段違い。ヘレーネは私の助手ね。将来の私の側近にしてあげるわ」
「私を皇女殿下の側近にしてくれるのですか。父や母に言うと喜ぶと思うけど言ってもいい」
「ううん。でも、まだ、お友達として報告しておいて」
「わかりました。ではそのように」
「あのう、お取込み中、悪いのですが、私はどうなるのですか」
「そうね。あなたは忠実なしもべね」
「側近にはならないのですか」
「あなた難しいことできる」
「できない。でも体を動かすことはできる」
「わかったわ、あなたも側近の一人にしてあげる」
こうしてお茶会は終了したのであった。
その後、数日してヘレーネ子爵令嬢から連絡があったが、クララは転生者ではないという報告であった。また、振出である。
そこでまた、伯爵邸に集合して協議である。
「どうしたら、マリア男爵令嬢とコンタクトがとれるかしら」
「セルフホーフェン商会で男爵家に営業にいてもらったら」
「それは難しいと思うわ、私の子爵家でも、あの陶磁器を買うのはずいぶん無理していたから、男爵家では多分買わないと思う。あなたの伯爵家ではどうなの」
「私、お金のことはあまり、わからないから」
「そんなことしていると学院に入れないわよ」
「大丈夫、私が皇女殿下とお友達になったから、お父様がお金で入れてくれるって言ってくれたから」
こんな会話を続けていても、らちがあかないと思い、皇女殿下が
「男爵家で買うようなもので、以前私が作っていたような物って、なんだと思う」
「石鹸は」
「あんな複雑な物、ライムがいたから工場が出来たけど、今の私にはできないわ」
「それじゃリバーシは」
「確かにあれだと、工場で作れるわ。でもこの世界にもあるのじゃないの」
「でも見たことないし」
「それじゃ、セルフホーフェン商会に行って、聞いてみる?あれば諦めるし、なければセルフホーフェン商会で作って販売してもらう」
「その場合、私たちに手数料とかは入るのですか」
「多分入ると思うけど、前世でも公爵家に手数料が入っていたわ」
「それだと嬉しい。子爵家はあまり裕福じゃないから」
善は急げということで、そのままセルフホーフェン商会に行った。前触れも出さずに行ったが皇女殿下の来店ということで、商会長が対応してくれた。
「今日は急な来店にも関わらず対応してくれてありがとうございます」
「滅相もない、皇女殿下の来店は大歓迎です」
「それでお願いなのだけど、リバーシというのだけど、聞いたことないかしら」
「リバーシですか。聞いたことはございません。どのような物ですか」
「ちょっと待ってね、今、作るから」
そう言って、皇女殿下は魔力を込め始めた。そして、きれいなリバーシの盤と石を作り出した。これを見ていた商会長が驚いている。
「これが私が神様からもらったスキル、土魔法ね。でもこれは秘密にしてね」
「わかりました。口外しないようにします。ひょっとして、陶磁器も殿下が作っているのですか」
「これについては秘密」
「わかりました、聞かなったことにしてください」
「これがリバーシ、見たことない」
「ございません。どのような物なのですか」
「これはゲーム。それじゃ、今から私とヘレーネでやっているから見ていてね」
やり方を説明すると商会長は感心して
「これは売れるでしょうな。是非うちの商会で扱わせてほしいのですが、よろしいですか」
「いいわ。ところで、この国には特許のようなものはあるの」
「ございます。商業ギルドに登録しておくと、他の者はかってに作れません」
「すると使用料ももらえるの」
「もらえます。通常製品の価格の3から6%のお金が考案者に支払われます」
「それじゃ6%にして、考案者はフランツィスカ伯爵令嬢とヘレーネ子爵令嬢にしてくれる。それで商業ギルドに登録して。それと生産は工場で作って。私がいちいち魔法で作るのは面倒だから。支払いは商業ギルドにフランツィスカ伯爵令嬢とヘレーネ子爵令嬢の口座を作って、そこにして」
「皇女殿下の名前を出さないのは、なぜですか」
「私、あまり表に出たくないから」
「いいのですか、でも支払いは、3人に2%ずつにします」
「いいわ。フランツィスカもヘレーネもそれでいいわね」
(2人とも)
「それでいいです」
「それと、これも、陶磁器と同様、これを買いに来た人の特徴を知らせしてほしいの。特に私たちと同じ年齢の子供がいるような場合は、その子供の特徴と誕生日を教えてください。また、私たちに伝言を預かった場合も知らせてほしいのです」
「製品は貴族用の高価な物から、平民用の安いものまで各種作って、売ってもらえるかしら」
「貴族用はいいのですが、平民用となると、数が出ます。その購入者の特徴をすべて知らせるとなる、結構手間がかかるのですが」
「だめなの。私たちと同じ年の子供のいる購入者だけでいいのだけれど」
こう言って、皇女殿下がすこし魔力を込めると
商会長は青い顔をして
「いいえ、滅相もございません。皇女殿下の仰せのままに」
「でも、私も鬼じゃないから、その分の手間賃は製品価格に上乗せすればいいわ」
「ありがとうございます」
「それと、購入者の情報はヘレーネ子爵令嬢に伝えてね」
「わかりました」
こうして、リバーシの製造と販売が始まった。これは売れた。特に貴族の令嬢が考案者というところが受けた。
そして、各種雑多な情報が集まった。これを整理するヘレーネ子爵令嬢はてんてこ舞いであった。そして、フランツィスカ伯爵令嬢に愚痴を言うのであった。すると、こういう時だけ知恵の回るフランツィスカ伯爵令嬢は
「姫様に言わせると私はポンコツだから、難しいことは任せられないって」
これを聞いたヘレーネ子爵令嬢は当たっているだけに反論できないのであった。
しかし、これにより子爵家にはかなりの金額の使用料が入ってきたので、子爵家の財政を助けるのに役立った。また、同様に伯爵家にもお金が入ってきたが、これについては頭の悪いフランツィスカが考えたとはだれも思っていなかった。姫様のおかげと思っていた。




