豊穣と生命の主(ロード・オブ・ハーヴェスト)
商行から一歩足を踏み出すと、眩い陽光がチャン・ヨウシーの目を微かに細めさせた。
直後、極度の飢餓と緊張がもたらした低血糖の眩暈が襲いかかる。
その時、チャン・ヨウシーの霊台(心の奥底)の深淵から、不意に蒼茫たる古の道音が響き渡った。
霊海(精神の世界)の中で、大道の法則が凝縮された虚幻の竹簡が、轟音と共に展開される。
「太上清算、因果査録――」
宏大なる道音が彼の脳内に直接木霊した。
「此の間の生霊、虚偽の法を以て劣質な業障を造り、信徒の願力を騙し取る。天道司算は力を借りて力を打ち、不義の財を収繳(没収)す」
「監査結果――合規」
その無悲無喜の宣判と共に、極めて精純な一筋の金色の気流が冥冥たる虚空から垂れ落ち、百会穴を通じてダイレクトにチャン・ヨウシーの天霊蓋(脳天)へと注ぎ込まれた。温潤な暖流が、瞬く間に四肢百骸を駆け巡る。
原主の長期にわたる栄養失調によって枯渇していた肉体は、まるで久旱に降る甘雨を得たかのように、瞬時に極めて精純な生命力を注入された。飢餓と虚弱感は一掃され、手背の細い傷口すらも肉眼で見えるほどの速度で癒えていく。
チャン・ヨウシーは心地よく一吹きの濁気を吐き出した。彼は無意識に懐のずっしりと重い革袋に触れた。利益が確定(落袋為安)した瞬間の快感は、いつだってこれほどまでに人を魅了する。
しかし、彼の口元が猛烈に吊り上がったまさにその瞬間、晴れ渡った天空に突如として耳を聾するほどの地鳴りのような雷鳴が轟いた。
「――轟隆!」
深紫色の雷霆が遥か高空の雲層の合間に見え隠れし、窒息せしめるような天の威圧が、ターゲットをロックオンした利剣のごとく、彼の脳天を完全に狙い定めていた。
霊台の深淵にある古巻の上に、一行の血色の古篆が、彼の魂に焼き付けるかのように刺々しく発光する。
『貪念を生じ、私欲を起こす。暫定的に差し押さえた押収物を私産と見なすは、即ち「同流合污(共犯)」と判定す。神雷の天罰、即刻執行!』
「うわ、クソッ(ふざけんな)!」
チャン・ヨウシーは全身の毛を逆立たせ、この人生で最も速い反応速度で、脳内で狂ったように自己洗脳を開始した。
(この金貨50枚は俺の金じゃない! 俺はただの代理保有機関だ! 俺は感情を持たない監査の堅石だ! お金になんて興味はない!)
(神は世人を愛し、俺は査帳を愛する!)
彼は心の中で、ほとんどこの口癖を咆哮した。
雲層の中の紫雷がピタリと停止した。天の威圧が極めて覇道に彼の手意を掃過し、現在の心境を事細かにスキャンしているようだった。彼が本当に金貨への貪欲を強引に断ち切り、「四大皆空(絶対的ゼロ)」の完全な死水状態に入ったことを確認すると、雷鳴は不承不承といった様子でゆっくりと隠没していった。
チャン・ヨウシーは額の冷汗を拭った。手脚がすっかり冷え切っている。
このクソ法則め、前世のウォール街の資本家よりも搾取がえげつない! 精神的な出張手当すら出しやしない!
他人の転生ならチート能力を引っ提げて四方を蹂躙するハズなのに、自分の転生は天罰という名の爆弾を背負わされ、世界中を査帳して回る借金取りの強盗じゃないか!
彼が心の中で狂ったように毒づいていると、霊台の古巻が再び異動を起こした。
「因果」と「債務」を表す無数の暗色の糸が竹簡の上で激しく交錯し、最終的にすべてが城南(街の南)の方角を指し示した。
『天機顕化:近辺に極めて高品階の、瀕死状態にある神道の基業を探知』
『霊産勘験:豊穣と生命の主』
『気運帳目:本源はほぼ干涸。香火は九割九分以上流散し、その神格は崩壊寸前なり』
チャン・ヨウシーは呆然とし、すぐに顔を上げてスラム街の低い屋根の先、下層地区の最南端へと目を向けた。
そこは、鉄砧会のヤクザすらも足を踏み入れるのを嫌がる廃墟だった。
夕日の残光の中、崩落した一基の時計塔が、まるで枯れ死んだ指骨のように、灰色がかった空を無力に指し示していた。
「この世界、神様も自己破産するのか?」
チャン・ヨウシーは深呼吸をし、天道の禁制に対する無力感を強引に押し殺すと、その瞳に極めて理知的で鋭利な光を取り戻した。
神聖なる財閥に独占されたこの人喰いの世界で、完全な逆転を狙うには、黒帮から巻き上げた数十枚の金貨程度では到底足りない。
彼には支点が必要だった。この巨大なポンジ・スキーム全体をひっくり返せるだけの、強大な『レバレッジ(梃子)』が。
「どうやら、俺の最初の『大口顧客』が現れたようだな」
チャン・ヨウシーは埃のついた衣服の裾を払い、城南の廃墟へと向かって大股で歩き出した。
自身の命を繋ぎ止めるためにも、彼はこの消えかかっている『破産神(倒産寸前の神)』を強引に再生させねばならなかった。




