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モリソン

月光がガラスの欠けた窓枠から斜めに差し込み、床の上に惨白さんぱくな傷痕を落としていた。


チャン・ヨウシー(张佑熙 / ユウキ)は三本脚のテーブルの傍らに座り、闘神学院からの通知書をテーブルの上に平らに広げていた。彼の指先は、紙面に書かれた『血紋の短匕けつもんのたんひ』という4つの文字を軽く叩いていた。


向かい側では、アナスタシアの顔色が薄暗がりの中で透明に近いほど白くなっていた。


「これを知っているのか?」とチャン・ヨウシーが言った。


アナスタシアの指は無意識のうちにリネンのロングドレスの裾を固く握りしめ、力が入ったあまり指の関節が青白く浮き出ていた。


彼女は睫毛を伏せていた。濃密な金色の睫毛が、彼女の頬に震える陰影を落とす。


「異端審問所(異端裁判所)……」


彼女の声は非常に軽く、まるで遥か遠くの場所から漂ってきたかのようだった。


「三百年大災厄の後、教廷は『破産神明はさんしんめい』や暴走した聖徒を専門に処理するため、審問所を設立したの。血紋の短匕は、第一世代の執行官(処刑人)の制式装備よ」


彼女はゆっくりと顔を上げた。そのエメラルド色の瞳には、チャン・ヨウシーがこれまで一度も見たことのない感情が渦巻いていた。


「私が神位を剥奪された時……危うくこの短匕の下で命を落とすところだったわ」


チャン・ヨウシーの指がピタリと止まった。


彼はアナスタシアを見つめた。彼女のわずかに震える肩、そして下唇を死ぬほど強く噛み締めている歯を。


かつて遥か高みに君臨していた豊穣と生命の女神が、今この瞬間は、悪夢から目覚めたばかりのただの凡人のように見えた。


「私の神格は、この短匕によって切り裂かれたのよ」


アナスタシアは言葉を続けた。その声はいくらか平穏を取り戻していた。


「この短匕を持つ執行官は、平均して3年も生きられない。内部の『嗜血回廊しけつかいろう』の回路に精血を吸い尽くされてしまうから」


チャン・ヨウシーはしばらく沈黙した後、口を開いた。「精血を代償コストとして、対象の願力を高レバレッジで抽出するわけか」


彼は心の中でこのメカニズムを翻訳した。「これは自身の命を原資産アンダーライング・アセットとして、高利回り債券(ジャンク債)を発行するようなものだ。表面利率クーポンは異常に高いが、デフォルト(債務不履行)リスクは100%だな」


「何か方法があるの?」アナスタシアが尋ねた。


「いかなる高レバレッジ構造にも、崩壊の閾値(限界値)が存在する」チャン・ヨウシーは立ち上がり、窓辺へと歩いた。「その閾値を見つけ出し、軽く一突きしてやれば、ビル全体が勝手に自壊するさ」


彼は窓辺で足を止め、彼女に背を向けた。「今日も俺は一人で行く。家を守っていてくれ」


アナスタシアは彼の後ろ姿を見つめ、突如としてこう言った。


「ユウキ(佑熙)」


チャン・ヨウシーの身体のラインが、ごくわずかに、判別できないほどに強張った。


彼女が彼の本名を呼んだのは、これが初めてだった。


「凡人」でもなく、「イヴァン」でもなく、「パートナー」でもない。


「死なないで」と彼女は言った。


チャン・ヨウシーは振り返らなかった。ただ軽く手を振っただけだった。まるで空気中に生じた目に見えないさざ波を振り払うかのように。


識海の中にある『太上破産清算法』の玉冊がかすかに震え、一縷の清らかな光が霊台を駆け抜け、名前を呼ばれたことで生じたその奇妙な感情の揺らぎを、無理やり平坦な死水へと押し潰した。


絶対的中立。

無欲無求。


彼はドアを押し開け、朝霧の中へと消えていった。


……


銅の指輪が手のひらの中でかすかに熱を帯びていたが、その温度はもはや以前ほど潤沢(醇厚)ではなかった。


チャン・ヨウシーは競技場へと向かう道を歩きながら、一縷の金青色の功徳の糸を指輪からゆっくりと引き出していた。それはまるで繭から引き出されるシルクの糸のようだった。


糸の長さはわずか2寸ほどで、空気中でかすかに震えた後、「パチッ」と音を立てて千切れ、点々とした光の斑点となって霧散した。


彼は目を開け、眉間の皺をさらに深くした。


「功徳の備蓄が5%(半成)を切っている」


「次の相手は第二階級の聖徒で、未登録の聖遺物を所持している。現在の備蓄では、持ちこたえられる剣気はせいぜい1回きりだ」


……


競技場の雰囲気は、第一回戦よりもさらに狂熱化していた。


青石の観客席は人で埋め尽くされ、昨日よりもさらに2割ほど膨れ上がっていた。


チャン・ヨウシーの「指2本で第一階級の聖徒を廃人にした」という噂は一晩かけて発酵し、すでに様々な荒唐無稽なバージョンへと変貌を遂げていた。


ある者は彼を、隠れ潜む邪神の信徒だと言い、ある者は教廷内部の情報インサイダーを買ったのだと言い、またある者は彼はそもそもイヴァン・ヒューズではなく、どこかの古老家族が試練のために送り込んできた私生児(隠し子)なのだと誓った。


チャン・ヨウシーはそれらすべてに耳を貸さなかった。彼は最も辺鄙な選手待機エリアに座り、冷たい石柱に背を預けて目を閉じ、精神を集中させていた。


「次の一戦、モリソン対エリック・ホフマン!」


裁判官レフェリーのエドモンド・ヴァルクの声が響き渡るやいなや、観客席にどよめきが沸き起こった。


チャン・ヨウシーは目を開けた。


選手通路から、背の高くて痩せた男が歩み出てきた。彼は薄汚れた灰色の革鎧を纏っており、鎧には乾燥した血痕のような暗褐色のシミが無数に付着していた。彼の顔は長く、頬骨が突出し、眼窩は深く落ち込んでいた。薄暗い通路の中で、その両目は人間離れした不気味な怪光を放っている。


彼の右手は身体の脇に垂れ下がり、五指を軽く握り込んでいた。指の隙間からは、暗赤色の金属の一部がかすかに覗いている。


血紋の短匕だ。


モリソンの向かいに立つのは、第二階級の聖徒エリック・ホフマン。


彼は炎系の魔晶石が埋め込まれた長剣を携えており、長剣を胸の前に横たえ、闘気をそこへ注入した。剣身からは赤黒い(赤紅色の)炎が一層、燃え上がった。


「始め!」


エリックが先手を打った。


彼は大喝すると、長剣を炎とともに真横に薙ぎ払った。赤紅色の剣気が空中を半月状の弧を描いて切り裂き、凄まじい威勢を示した。


モリソンは動かなかった。


剣気が彼の喉元からわずか3尺の距離に迫るまで、彼の身体はごくわずかに側方へと傾いた。その動きは幽霊(鬼魅)のように迅速だった。


エリックの剣気は彼の首筋をかすめて通り過ぎ、数筋の髪の毛を断ち切ったものの、彼の革鎧に触れることすらできなかった。


そして、モリソンが動いた(出手した)。


彼の右手はまるで巣穴から飛び出す毒蛇のようだった。暗赤色の短匕が空中でほとんど視認できない残像を描き、エリックの剣を握る手首へと正確に突き刺さった。


「ぎゃあああああ!」


エリックは凄惨な悲鳴を上げた。チャン・ヨウシーの目には、短匕が突き刺さった瞬間、匕首の表面にある暗赤色の紋様が突如として輝き出し、まるで無数の細い血管が蠢いているかのように見えた。


エリックの体内の願力は、強力なウォーターポンプで吸い上げられるかのように、狂ったように短匕へと流れ込んでいった。


エリックの皮膚は肉眼でわかるほどの速度で干からびていき、頬はこけ、眼窩は深く沈んだ。全身の水分をすべて奪い去られた果物のように、わずか3呼吸の間に、彼は精壮な第二階級の聖徒から、皮と骨ばかりの抜け殻(躯殻)へと成り果てた。


モリソンが短匕を引き抜くと、エリックは破れた麻袋のように地面へと倒れ込み、全身を痙攣させ、もはや悲鳴を上げることすらできなくなっていた。


全場が水を打ったように静まり返った。


その直後、耳を聾するほどの歓声と絶叫が爆発した。


「モリソン! モリソン!」


モリソンは擂台リングの中央に立ち、無表情で短匕に残った血痕を舐めとった。彼の底冷えする幽幽たる視線がゆっくりと会場全体を掃射し、最後に待機エリアのチャン・ヨウシーの上で静止した。


彼はニヤリと笑い、2列の森白い歯を覗かせた。


チャン・ヨウシーは石柱に寄りかかったまま、人差し指で太ももを軽く叩いていた。


「法陣が起動する際、匕首の紋様は螺旋状に拡散し、グリップから先端へと収束していく――典型的な吸引式(抽出式)の回路だな。抽出効率は教廷の標準的な触媒の約8倍。そのコストは……」


彼の法目はリング上の空間を透過し、モリソンが短匕を握る右手に焦点を合わせた。


モリソンの右腕の経脈は病的な暗赤色を呈しており、精血が経脈の中で異常な速度で燃焼していた。まるでエンジンの内部に劣悪な燃料を注ぎ込んでいるかのようだ。高回転(高速)は出せるが、シリンダーブロック(缸体)はいつでも爆発(爆発・ブロー)しかねない。


「コストは右腕の経脈が3倍速で衰退することだ。彼はこの短匕を少なくとも2年は使っている。右腕の寿命は長くてあと3ヶ月といったところか」


「典型的なポンジ・スキーム(ポンジ構造)だな。初期に暴利を貪り、後期に強制破綻(崩壊・クローズ)する」

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