第2話 経験不足な隊員達
「お疲れ様です!!天馬さん!!」
山神は敬礼をした。
山神は自分が若干マイペースな性格だと理解していた。
なぜなら、昔からバイト先の偉い人や学校の先輩や民衆に凄いと言われる人たちが自身の前に現れても、「へぇ~」位しか感想しか思わない、なんなら、目の前にいても気づかない。そんな感じのマイペースだ。
だが、いや、流石に天馬アイが目の前にいると緊張した
なんで!?、なんで、こんな所に超ぉ超ぉ偉い人がいるんだよ~~!!!。山神は心の中でどえらい量の冷や汗を流していた。
「あっ、お疲れ様ですぅ~」
天馬アイは小さい手を頭に触れ、優しい笑みで軽い敬礼をした。背景にピンクの花がある様な、のほほんという感じだ
「OHO~~」
山神が少し、顔が緩んだ
「・・・・?」
天馬が無言で放心している山神の懐に潜り上目遣いで山神の顔を覗いた
「うわッ!!」
山神が驚いて、イヤミの「シェー!!」の様なポーズで後ろに飛び跳ねた
「どうしたんですか?」
天馬が無垢な表情で首をかしげながら、山神に尋ねた。
山神は「なんでもないっす」ともじもじしながら言うだけだった。
その時、山神はふと、殺された魔獣の被害に遭っていたコンビニの方に目がいった。
あれ?、なんかおかしくね?
山神は目の前で天馬がなにかを喋っていたが聞こえずにコンビニの方に集中して見ていた。
「~~~~~ですけど、いいですか?」
「・・・えっ?、はぁ~~じゃ~それで」
山神はボケっとしながらそうなんとなく答えた。天馬はその言葉を聞くと両手を叩き、「じゃあこの車に乗って下さい!!」と嬉しそうに黒いセダンの後部座席を開けた。
「あ~~はい」
山神はあまり聞いていないようだった。山神は後部座席をニコニコの笑顔で開けている上官の天馬を素通りしコンビニの前まで来ていた
「ん?」
天馬は少し目を見開き、訳が分からない様子だった。天馬は自分を無視してコンビニの前に行った山神をぼーっと見ていた。
「アレっ?、山神さ~ん!どうしたんですか??」
天馬は山神の方まで小走りで近づいていった。山神はそんな事は気づかずにコンビニの前に立って少し中の様子を見ていた。
山神は目を見開いた
「まだ・・いるじゃねーかよ」
山神は遠目で殺した魔獣の上で騒いでいる隊員たちを黒いフルフェイスマスクの中から睨むように見た。
俺の相手を奪うには飽き足らず、人命の確認は俺に押し付けか?
天馬は山神の視線の先を見ると、「わ~皆うれしそうですね~」と緊張がない呑気な笑顔で言った、そして、山神の顔を無意識に見上げた。天馬は目を大きく見開いた。
「殺してやる・・・・」
山神はそう小さな声で呟いた。
そして、銃口を隊員の方に向けようとした
「銃はビルの前に置いてきたでしょ?」
天馬は背伸びをし山神の耳の方に手を当て囁いた。
山神の目が黒点からだんだんと光を取り戻していった。
そして、我に返った。
「・・・・あっ、そうですね~。あの魔獣があまりに建物壊すから死体撃ちがしたくなったんですよ~~」
山神は天馬を見ながら後頭部に手を当てながら「えっへ、えっへ」と気持ちが悪いニヤニヤした声をあげるだけだった。
天馬は無音で目を細め、口角を上げているだけだった。
天馬の目は山神を見透かしている様なそんな目だった。
ゾッ!!!
山神は天馬の表情を見ると、後ずさりをした
「どうしたんですか?」
「えっ!?、いや、なんでも」
山神はそう言いながら自身の足元を見た。
魔獣の血がべったりついているから、分かった。俺は無意識に後ずさりをしていた。山神は今、その事に気がついた。
「ヤマガミさん、車に乗ってほしいんですけど」
天馬が苦笑いをし手を合わせながら山神に申し訳なさそうに言った。
山神はハッとし、自身の装備を脱ぎ始めた
「!!!!、な、なにをしているんんですか????」
天馬は驚いて自身の目を手で覆い隠した
「あっ、いや~、ちょっとやることがあるので」
山神は思っていた。良かった、と。
天馬さんのおかげで自分の装備が血だらけだったのに気が付いた、だから良かったと思っていた。
「血って、・・・やっぱ、怖いじゃないですか」
山神は「ふっ」と引きつった笑みをしながら黒いフルフェイスマスクを取った
天馬は顔を赤らめながら手で覆い隠した目を手の指を広げ、山神の姿を覗き見た
「・・・・すね毛」
天馬は一瞬で冷めた。
天馬は顔を赤らめるのを止め、覆い隠した手をダランッと落とした。
「はぁ~~、山神さん、露出狂みたいなマネは辞めて下さいよ、何を期待しているか分かりませんけど~」
天馬は気まずそうな苦笑いを浮かべながらそう言い、目線を足元から山神の顔に向けた
「!!」
山神の背中は異様に発達しており、前からでも背中がデカいと分かる程の筋肉があった。胸ははち切れんばかりにデカい、筋が通っている。前腕に割れ目が無数にあり、二頭筋もデカい、お腹の方は脂肪はついているが、その脂肪から中の腹筋が浮き出ていた。
下半身も凄かった。太ももの前の筋肉、大腿四頭筋がチーターの様に発達しており、お尻はプリっと上がっていた。
見るからに動ける筋肉だ。
「すごい」
天馬はボソッと呟いた
山神はブーツを再度履きなおし、パンツとブーツだけの剛毛な不審者になった。
山神は天馬を素通りし、壊れた自動ドアを自分の手であけた。
山神は歩を進めながら無言で、コンビニの床に落ちていた、一番くじの子供むけアニメのマスクを手で取り、ホコリを軽く手で払い、顔につけた
俺の顔、怖いとか言っていたよな~
山神は軽々と少女の上に覆いかぶさっていた壊れた天井を持ち上げ、横に放り投げた
「ごめんね。俺のせいで」
山神は罪悪感を感じていた。
天井に覆いかぶさった少女は、差し伸べられた手を無意識に取っていた。
少女はざらざらした手だなぁ、と思いながら手を自分から握っていた
山神は少女に手を伸ばしたわけではなかった。
少女が無意識に山神が抱きかかえようとした時に、握ってきたのだ。
山神は少女を抱えながら、苦悶の顔をしながら歯を食いしばっていた。
結局、楽しくても傷ついている人間がどこかしらにはいるんだ。それをみると、凄く、凄く、悲しくなって、虚しくなる。
この、空いた胸の穴はなんなんだろうが、なんで、いつも悲しいのか。
分からない、俺は本当に分からない。
山神は心の中でそう繰り返し自分に説いていた。
コンビニの入り口から山神は少女を抱えながら出てきた。
「!!」
天馬が慌てて駆け寄ってきた。
「子供がいたんですか!?、すぐに応援を要請します!!」
「・・・・よろしくお願いします」
山神の声は先ほどよりも低くなっていた。
「あっ、でも、思ってたよりかは酷くないですよ・・・」
山神は少女の様子を見ながら天馬にそう報告した
「多分、ランドセルを背負っていたので、それほどの傷は負ってないです。でも、鼻は少し切れるかな、血の跡がある。」
「あっ、そうですか?、良かったです~」
天馬は笑顔でそう呟き、少女の前髪をかき上げ手の甲で額を触った。
「熱も無いようですね」
天馬はそう言いながら、笑顔で山神の顔を見上げた。
山神はスッと無言で天馬から顔をそらした。
「どうしたんですか?」
天馬は首を傾け、上目遣いでそう山神に尋ねた。
「・・・別になんでもないですよ」
山神は淡々と答えるだけだった。
天馬も他のバカ隊員と一緒かよ・・・。コイツ位、偉くなっても、強くなっても、結局は頭はワリぃままか。なんか、無性にイライラしてきたな。馬鹿な奴は女でも男でもそれだけでイライラする。
「え~~本当ですか~??」
天馬は山神の腕に触りながら、笑顔で聞いてきた
「・・・・・チッ・・・・なんでもないですよ」
「え?」
天馬は山神の様子が先ほどと違う事が今わかり少し山神から半歩距離を取った
気まずい沈黙が流れた。
その時、殺された魔獣の近くで女性の声がした
「エミ!!!!、エミはどこにいますか!!!?」
あっ、お母さんかな、と思い、山神は寝ている少女を片手で持ち替え、片手をビシッと上に上げた。
魔獣の近くにいる、隊員達の複数名が山神の方を指さしているのを山神は遠目で見ていた
「エミ~~!!!」
橙色のスーツ姿の女性が髪を掻き乱しながら、山神の方に走ってきていた。
山神はゆっくりと、歩きから、小走りになり、女性に近づいて行った
「エミッ!!」
少女の母親と思われる女性は、目に涙を浮かべながら山神が抱えている少女の頬を確認するように触った
「エミ!!!、大丈夫!??」
少女が寝息を立てているのを母親は知ると、腰を道路の地面に落とした
「良かった・・本当によかった・・・・」
思わず、山神もマスク越し目に涙を浮かべる。
山神は目をパチパチし涙をかき消した
「本当に強いお子さんですよ」
山神はそう言いながら少女を抱えながら腰を落とし、片膝を地面につけた。
「でも、理由が分かりました…。母親の貴女が強いからだ。だから、この子も強いんだ」
山神は少女の母親がヒールを履いているのに気づいていた。そして、そのヒールから微かに血が付着している事に。交通系は魔獣発生の混乱で渋滞だった筈だ。恐らく、ここまでずっと走ってきたんだろう。
「だから、母親の貴女が悪いって事は断じてない」
山神は心の底からそう言った
「・・・・・ぐぅうう」
少女の母親は涙を浮かばせながら山神の顔を見た。
少女の母親は一瞬で涙が引いた。目の前に、パンツと靴しか履いていない、剛毛なムキムキマッチョメンだったからだ。しかも、極めつけは、その男が幼児が見るアニメの仮面をつけていたからだ、しかも、サイズが合っていないから顎の方から武将ひげが飛び出ている。
「キャャ~~~~!!!!!」
少女の母親はそう叫ぶと、山神が抱えてた少女を直ぐに引っこ抜こうとした。
だが、少女が意外にも凄い力で山神の胸毛を掴んでいたので、綱引きの様になってしまっていた。
「そんな汚いの離しなさい!!!」
必死に少女を引っ張る母親
「イテテテテテッッッ!!!!!!」
胸毛を引っ張られて、胸毛を空中に飛び散らせた山神。
少女の母親は少女を抱えながら凄い速さで山神から離れていき、遠くでスタンバっていた救急車に乗り込んだ
「娘さんのカウンセリングはした方が・・いい・・ですよ~~」
山神は胸を押さえながら乙女が捨てられたような体制で道路に尻もちをつきながらそう言った
・・・・え~~~~~~。ま、いっか。
山神は疲れて道路の地面に寝転がり、幼児アニメの仮面を脱ぎ捨て、目を閉じた
「はぁ~~~~疲れた~~~~」
コツ、コツ、コツ、コツ
山神の耳元まで足音が聞こえ、山神は目をあけ見た。
天馬が山神の頭の方でしゃがみこんでいた。スーツのスカートから白いパンツが見えたが、山神は欲情しなかった。
「・・・・・」
「・・・・・・」
気まずい沈黙が流れた
先に口を開いたのは天馬だった。
「じゃあ、車に乗ってもらってもいいですか?」
何の事だ?・・・なんか、適当に返事したときのヤツか?。断るか
「あ~やっぱり、自分はいいです。他の人にやらさせて下さい」
山神は作り笑顔でそう言った
天馬は少し悩んだような「う~ん」を言うと、顎に手を当て山神を無表情で見下ろした。
そして、こう言った。
「乗れ。上官命令だ」
小柄な女性からは発せられないようなやけにドスが効いた声だった。
はぁ~~???、脅してるつもりかよ???
山神は天馬の目を下から睨んだ。
「・・・・」
「・・・・」
そして、山神は口を開いた。
「・・・わ、わかりましたぁ~・・・」
ひどくビビっている声だった。
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




