その5 魔獣クラス
コンビニに突如として現れた姿が見えない魔獣。大の大人に何もさせずに大人を殺した透明な巨大な蛇の様な魔獣。そんな魔獣からコンビニの奥の角の隅に息を殺し隠れる少女。
その時、不運にも少女が持っていたスマホに母からの心配のLinnの通知がピコンッと静寂のコンビニの中で響いた。
透明な魔獣が殺した人の血液を体に滴らせ、少女の方をクネッとゆっくり向いた
物が落ちる音が、少女の耳に入ってきた
商品棚にあるカップ麺が地面に落ちる軽い音、その音が前方の商品棚から後方の商品棚へと音が次々と聞こえる。
ゆっくりとどこにいるか確認するように近づいてきている。少女は震える手でスマホの通知をオフした。
少女は心の中で叫んだ
誰か助けて!!
少女の声が届いたのか、コンビニの外から声が聞こえた。若い男の声だ。
「あぁ~あ!、俺は一体しか魔獣を狩れなかったぜ」
人も車も通っていないビルとビルの間の大きな通りを二人の男が歩いていた。
腰にドラクエのゲームに出てきそうな剣をさし、上下に自衛隊の様な緑の迷彩服を着た短髪の男が両手を頭の後ろに回し不機嫌そうにしていた
「そういう事言うのは、マジでやめろ!」
その隣で歩いている、同じく緑の迷彩を着ている青髪の男が怒った表情でそう言った
「おぉ、わりぃわりぃ・・・そんなに怒らないでおくれよ~」
短髪の男が後ろに組んでいた両手を前に戻し、ごめんというポーズで手を合わせ、困った顔をしていた。
青髪の男は目も合わせず顔をぷいっとした
「今日の西地区Bは、俺の地元なんだぞ!。被害も出ているんだ!。なのになんでそんな他人事なんだ!」
青髪の男が声を荒げそう言うと、短髪の男は驚いた顔をし「(こりゃマジなヤツだ)」と理解し冷や汗を額からだした。
「本当に悪かったって!、ちょっと討伐のボーナスに目がくらんだだけなんだ、本当に悪かったって。失言だったよ~」
短髪の男は焦りながら謝っていたが、青髪の男が黙々と怒った顔をしながらズンズンと止まらずに前に進んで行くので、短髪の男は必死にごますりをしながら青髪の男の後を追った
「ごめんって、許して下さいお願いします!!この通りです」
短髪の男は自分を無視し前に進んで行く青髪の男の目の前に自身のスマホを突き出した
「ナニコレ?」
「俺のおすすめの女優」
「・・・・」
「気に入った?」
「・・・おい」
「え・・・なんか、怒ってます?」
青髪の男はブチッと何かが頭の中の切れたように血管をおでこに浮かばしていた。
「あ、ああぁぁ・・」
短髪の男の顔がみるみると青ざめていく
「ごめんなさ~いい!!!」
「待て!このクソサル!!!」
「クソはひどいって!!」
短髪の男は血相を変えて青髪の男から走って逃げていった
「もう、本当に悪かったって~!!」
「許してほしかったらそこに止まって俺に殺されるのを待ってろ!!」
「それもダメじゃ~ん!!!」
待ってよ
「クソザル待てよ!!!」
ねぇ!!私はここにいるよ!!
「い~や~!!」
助けてよ!!!行かないでよ!!!
少女は遠ざかっていく足音に涙を流しながら手を伸ばしていた
足音はどんどんと、どんどんと、遠ざかっていった
「ウソ・・・」
少女はポツリと呟いた。その顔は子供がしてはいけない表情だった。絶望顔、それしか当てはまらいほどの絶望した顔を少女はしていた。
店内の白い照明、それに照らし出される白いキレイな床に信じられない臭いを放つ死体、そして、その死体を作った姿が見えない魔獣。そして、そこにいる私、と少女は無意識に状況を整理していた。
この状況からは逃げれないと少女は理解した
その時、透明な魔獣が動きを止めている事に少女は気づいた。どうして、襲ってこないの?、少女は心の中で小さく呟いた
「・・・・・」
もしかして、どこかに行った?
少女の脳裏に希望の二文字が浮かび上がる。
考えてみればそうだ。この魔獣は音で反応している。先ほどの男たちの会話に釣られ、外に出たかもしれない。
「」ゴクッ
少女は唾をのんだ
そして、隅に座っていた腰を上げた。
少女の目が漆黒の絶望から小さな希望を宿した目に変わっていく
カランッ
「え・・・・」
その時、物が落ちる音が静寂のコンビニ内に響いた
少女の体が固まる
たまたまだ、たまたまに決まっている。少女は音が聞こえた方に顔を向きそう思った。
割れた窓から風が入ってきたんだ・・・・。そうに決まっている。
少女は無音のコンビ二内でそう思い、足を踏み出した
少女は横にある、弁当やおにぎりが置かれているところに手を置き、ゆっくりとそっと出口を目指した
「(このまま真っすぐ行って右に曲がればもう出口だ)」
少女は張り付けたような笑みを見せた。
少女は目前にあるレジカウンターの方にゆっくりと歩いた
ガタンッ
気のせい。少女は心の中でそう呟く
カタッ
気のせい。少女は心の中でそう呟く
ガタンッ!!
気のせい。少女は心の中でそう呟く
突き当りまで来た、あとは右を向き自動ドアはまで歩くだけだ。と少女は心の中で身体に命令するようにそう呟いた
少女はゆっくりと視線を下から弧を描くように動かした
当たり前にある自動ドア、その向かいにある当たり前の町中。少女は枯れていた涙を再び流した
「お母ぁぁあさん!!!」
少女は大粒の涙を流しながら走った。その顔は緊張がほぐれた安堵の表情だった。
少女は自動ドアまで走った、が、すぐに足取りが止まった
バンッ!
ナニカにぶつかったのだ。見えないナニカに。
少女は全力で走っていたのでぶつかった反動で鼻血を出し地面に尻もちをついた。そして、顔をあげ、目の目の光景を見た
「何もない・・・」
少女はそう呟くと、全身が震え、下半身が濡れるのを感じた。
無意識に後ずさりをした、だが、それもすぐにやめた。
「!?」
後ろに行けないのだ。まるで、透明な壁でも在るかのように。
「ははっ、そういう事ね」
少女は引きつった笑みを見せた、まるで壊れた人形の様に。
大人びていた。妙にとろんっとした渇いた虚ろな甘い目、だらんと力抜けた手足、そういう動作が子供らしく見えなかった。
少女は今までの事を整理した。
「蛇かミミズの様な魔獣」「音に反応する」「あの汚い大人の死に方」
あぁ、そうか、この魔獣はドクロを巻いて私を囲っているんだ。だから、逃げても無駄だ、そうに決まっている。そして、この魔獣は楽しんでいたんだ。いつでも食えたのに、あえて遊ぶように私を逃がしたんだ。
希望なんて最初からなかったんだ
♪テレ~テ~レ~♪テレッレレレ~♪
その時、自動ドアの扉が開き、あの聞き心地の良いリズムを奏でた
「」
少女は虚ろな目で自動ドアの方に目線を向けた
「・・・ゴリラ?」
少女は小さいゴリラだと山神の事を錯覚した
山神の目は黒いフルフェイスマスクをしていたので少女からは見えなかった。
それが、逆に良かった
山神はM4銃カービンを抱えたまま、首だけを動かしコンビニ内の現状を把握した
大量の血痕がある床。散乱した商品棚。疲弊しきった少女。
そして、割れたコンビニの一面の大きなガラス窓
山神は口を開いた
「――を――ふさいで」
「?」
「――をふさいで」
「?」
山神の声が小さく少女の耳には全然聞こえていなかった
まぁ・・・仕方ないか。山神は心の中で少女に謝った
山神はトリガーに指をかけ、割れた窓ガラスの方に銃口を向けトリガーを引いた。
M4カービンの1秒に15発撃つ弾丸の発砲音が店内中に響いた。山神はそこを重点的に撃った
「キャーーー!!!!」
少女は大きな銃声に思わず体を縮め叫んだ
大量の赤い血が窓ガラスに付き、コンビニの店内の色が少し暗くなると思ったのもつかの間
「ギギィガガガッガガアアアアアアアアア!!!!!!」
コンビニの店内全体が地震のように揺れ、明らかに人間じゃない叫び声が響いた
山神はM4を声が聞こえる方に向けた
「キャ!」
少女は反射的に耳を塞ぎ、地面に頭をつけうつ伏せの状態で体を縮こませた
それが逆に良かった
魔獣はM4に撃たれた痛みで店内をのたうち回った。先程までのゆっくりと人間を遊びの様に捕食しようとしていた魔獣はコンビ二の店内の上や横や下に当たり天井に当たり、天井が崩れ、中の塗装やレジまでも壊し店内の明るい照明が全部消えた。
そして、姿を現した。
体長はもちろんのことデカい、まるでネッシーの首の様だ。蛇の様なデカい大口、顔は正しく蛇、だが、色が違う。紫色だ。まるで神話のゴルゴーンを彷彿とさせる
その魔獣が山神の方をギロッと向き空気が震える叫び声を上げながら牙を向けた
「やっぱり、血が赤い。クラスは「4」か。もしくはクラス4にもっとも近い固体かのどっちかだな。」
山神は横目で窓に付いた血を見ると、フルフェイスのマスクの下に汗を滴らせた
だが、ここはより危機的に伝えるか
山神はマスクに付属している通信機を起動させた
「『能力』確認。暫定クラス4の魔獣出現を確認。応援求む、応援求む」
その時、後ろで壊れた天井に埋もれた少女がその隙間からほこりを被った顔を出した
「・・・・」
少女は無表情だった。疲れて声が出ないという感じだった
だが、少女は口をかすかに震えさせた
「――――けて」
山神はその言葉を聞くと淡々とした言葉を返した
「分かった」
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




