その4 少女の記憶
時間は10分前に遡る
山神が装備の支度をし基地内の門をくぐり向けた時、先ほどのコンビニでは山神が締め堕とし拘束した金髪の男の隣で少女がちょうど泣き止んだところだった
「グスンゥ、グスン、ふぅ~~~、お母さんはまだなの~」
少女はスカートのポケットからスマホを取り出しlineでのやり取りを震える手で見ていた
「おかぁさん・・」
少女は小さく呟いた
「う?うぅうう、何がどうなったんだ」
倒れていた金髪の男が目を覚ました
「ひっ!」
少女は血相を変え後ずさりした
「俺は強盗をしようとこの。コンビニに来て・・・なんだ、おもいだせねぇ」
金髪の男は自身が拘束されてるのを知ると犯罪で捕まるのかと思い辺りを見渡した
「なんだ。だれもいねぇじゃねぇ・・・・あ、」
少女と目が合う
「ひっ!」
少女の怯えた目を見ると男はにやっと笑った
「お嬢ちゃん~、この拘束といてくれないかなぁ、な~に簡単だよ。小さい赤いボタンがどこかにある筈なんだ。そこを押すだけだよ~。出来たら飴ちゃんあげるよ~」
男は体をくねくねと動かしコンビ二の白い床を這いずりながら少女にニヤニヤしながら近づいていく
「いやッッ、来ないで~!」
少女の目に涙の雫ができる。少女は腰が抜けたように後ずさる。その行動を金髪の男はなめるように見ると口角をさらに上げ叫んだ
「早くしろガキ!!!、じゃねーとお前の母親殺しに行ってやるぞ!!!」
「ひぃぃぃい!!!」
少女は後ずさるのを止め、その場で目を瞑り頭を下に向け涙を流しながら、腕を伸ばし催涙スプレーを男の顔面に噴出した
「ギャー―!!」
男は女の様な悲鳴を上げ床をのたうち回った
「いてぇ~!辛ッ!!てめぇ~!このクソガキ!!!服をひっぺかがして殺してやるぞ!!!」
男は強気な言葉を涙を流しながら大きい怒声で言った
「ひッ!ごめんなさい!!」
少女は頭を抱え震えている
ゴンッゴンッと男がのたうち回り商品の棚にあるカップ麺やチップスお菓子などが床に散乱する
その時だった、男が激しくのたうち回ったせいで足につけていた拘束具がピキッとヒビが割れた音を出し外れてしまった。無理もない、本来この拘束具は犯人を一時的に拘束し上から大人が取り押さえ警察の到着を待つという用途で使う物だ。
「クソがっ!!」
金髪の男は目を腫らし涙を浮かべながら立ち上がった。少女は声が出なかった。仕方がないことだった、少女は心優しき者だったからだ。学校では人数は少ないにしろみんながやりたがらない学級委員長を率先してやり学校内では男女問わずに優しいと評判。そして、両親もいい人達だった。母は時より言葉は強いがそれは自分を思っての事だという事を知っていた、母の口癖はほくそ笑みながらの「心配なのよ」だったからだ。父親も仕事が忙しくあまり帰ってこないがそれは家族を思ってだという事も知っていた。
そんな、人の思いやりが分かる少女は敵意を向けられた事がなかった。だから声を出ずに震えていた。
仕方がない。その言葉が当てはまる。少女に敵意を向けているは身長が頭も何個も違う大の大人だったかだ、しかもその大人は鼻息を荒くし、大きく腫れた瞼の奥から「殺す」という怒りの眼差しを小学生相手にむけている。知能もないのだろう。少女は声を出せずに固まるしかなかった
その時だった
「キャーー!!!!」
「パリィィン!!」という肩を思わずすくめてしまう大きな音が周囲に響きコンビニの窓ガラスが勢いよく割れた
「なんなんだ!今日は!!」
男も思わず体を縮める
幸い、少女と金髪の男が居た位置は窓から離れた奥側の商品棚と商品棚の間だったので窓ガラスが割れた時に起こる無数のガラスが体に刺さるとかの二次被害は起きずにすんだ
「・・・なんだ、音が止んだ?」
男は窓ガラスが割れたのを確認しようと反射的に窓ガラスを見ようと商品棚の間の床を歩き自動ドアの方の前方まで行き腫れた目で割れた窓を見た
「なにもねーじゃねぇか・・・どっかの馬鹿がパチンコでもしたのか?」
だが、パチンコで窓ガラスを割ったというレベルではないほどに窓ガラスは大きく割れていた。言ってしまえば、仕切りで区切れれている一面の窓ガラスはすべて割れていた。だが、男は馬鹿なのでそれが分からず笑みを浮かべた
「脅かせやがって、なんだよ」
「え・・・」
少女は絶句した
「なんだよ、ガキ!!そんな目で見やがって!!」
金髪の男はそんなことを言いながらある違和感を感じた。なんだぁ?このガキ、小さすぎだろ。明らかに自分の身長175CMと比べると少女は明らかに100CMもないほどに小さかった。ここで違和感が確信に変わった。馬鹿な頭でも理解した。金髪の男は顔を曇らし少女に叫んだ、その声は怒号交じりだったが怯えの方を感じる声だった
「おい、なんだ、なにが起こってるんだ!!ガキ!!」
「う、う、浮いてる・・・う、浮いて消えてて・・・ッッッ」
男はその言葉を聞くと目線を下に落とした
「なっ!、どーなってんだ!!」
男の下半身は綺麗さっぱり無くなっていた、コンビニの白い床が遠くに見える。男は反射的に上を見た、自身の頭が天井スレスレになるほど近づいているのに気づいた。
「ああああ!!!!あああ!!!!!」
男は恐怖した。焦りを隠さずにはいられないほどの事が身に初めて起こったからだ。だが、その焦りは長くは持たなかった。すぐに痛みが来たからだ。
「ぐあああぁぁぁああああ!!!!!」
思わず叫び声をあげるほどの痛みだった。ちょうどヘソの位置、そこに前と後ろからトラバサミの様なナニカで挟まれているのを感じたからだ。しかも、その力だ。大の大人が本能に任せて暴れても一切緩みを感じないほどにびくともしない、万力の力で挟まれていた
「ひっ!!」
びちちゃ
ミニトマトを嚙んだ音を大きくしたらこんな音だろうという破裂音が少女の耳に入ってきた。そして、血が少女の可愛らしい頬に飛んできた
「な、なに・・これ」
少女は目の前で起きたことが信じられなかった。当たり前だ。人が真っ二つにされ地面にその上半身が落ちる様など誰が目にしたことがあるか、そして、意外にも下半身を裂かれてもピクピクと動いている上半身など誰が見たことがあるのか
少女の目が曇る。涙が枯れた。そんな感じだ
少女は目線を床に落ちた男だったものから上に向けた。血が浮かんでいた、いや、血が滴っていた。
「・・あ・・ああ・」
「あ」しか言葉がでなかった。筋肉が固まっているが少女自身分かっていた。だが、それよりも分かっていた事があった。
ー「魔獣が私の目と鼻の先にいる」ー
という事が分かっていた。男の血のおかげで輪郭が見えたのだ、巨大な蛇やミミズの様な魔獣がこの学校よりも小さいコンビニ内にいるということに
「ああぁ」
少女が思わず声を出す
ぴくっと血が動いた。つまり、魔獣が反応したのだ
「!」
少女は本能的に口を両手でふさいだ
だが、宙に浮かんだ血は少女の方に近づいていく
少女の体が震え、下腹部の筋肉が思わず緩む
その時だった
「な、・・なにが、・・・どうなって」
金髪の男が下半身がなにのにも関わず小さい声を出した
宙に浮いた血が男の方に素早く行く
ガシッ!!
男の頭が消えた。おそらく魔獣が男の頭を銜えたんだという事を少女は理解した。
少女はその隙に音を立てずに奥の角のスミまで移動した
少女は口よりも先に耳をふさいだ。嫌な音を二度も聞きたくないからだ
だが、それがまずかった
ピコンッ!
スマホの通知音がなった
〈今どこにいるの!?〉
母からのLineだった
「な、なんで、今!!」
宙に浮いた血が少女にゆっくりと近づいてくる
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




