その3 「M4 (M720/M920)」
いや、コレ間に合うんじゃないのか!?
山神はロッカー室で必死な顔で服を引っ張り、脱ぎながら意気揚々としていた
「えっと、暗証番号は2026っと」
自身のロッカーについているタッチパネル式の暗証番号機を人差し指で素早くなれた手つきで押すと、最後に〈指紋の提示をお願いします〉と機械音が流れ山神はいつものように押した
ガチャッ!
ロッカーからロックが解除された音が出た。山神が自身の手の大きさに合っていない小さい取っ手に手をかけた
「は~~~ふぅうう~~~」
山神は目を瞑り大きく息を吸い大きく息を吐いた。そして、ロッカーの取っ手を引っ張り開けた
山神の目に映るのはいつもの光景
最初に目に入るのは狭いロッカーの中で目線の先の真ん中のいつもの位置ある、黒いタクティカルフルフェイスのヘルメット。そして、目線を横にしたときに時に映り込む山神の愛用火器:M4 (M720/M920)通称M4。米軍が愛用している代表的な銃火器の一つだ。
「よし、着替えるか」
ロッカールームに山神の重装備を着替える音だけが響く。黒色の迷彩の服の上からプレートキャリアを首を通して被るこすれる音、M4のマガジンをプレートキャリアのポケットに入れる独特の音、膝にニーパットを程よく締める音、そういう独特の作業音。手慣れてる。それが分かるように音が次々と変わっていく
「よし、問題なし。装備に異常もなし」
M4を両手で持ち狙いを定め確認しそう言った
それはそうと黒い。山神の姿は全部が黒い。
そして
「間に合うはず」
つーか間に合わないと本当に困る。こんな装備をしてまで「魔獣討伐されました」とか出口で言われたら溜まったもんじゃない。いや、それだと被害が多くなっちゃうか・・・。う~ん、まぁどっちでもいいか。余ってたら倒せばいいか
山神は装備を装着した体で足を踏み出した
重い。音が重い。一歩一歩が重い。音だけで分かるこの重厚感。
なぜ、その音が鳴るのか?、理由は簡単だ。山神の装備が重装備だからだ。
その上、予め準備された20キロのバックをも背負う
山神の通常体重は90キロジャスト、そして、銃火器含めた装備が20キロ、バックで20キロ、合計体重ジャスト130キロ。
この重装備で山神はロッカー室を出て綺麗な青空の元、太陽で照らされている野外を歩いた。そして、基地内にある車中スペースを遠めに眺めた。やっぱないか、山神は当たり前の様に鼻で息を吐きそう思った。やっぱ常駐組が車は全部使うよな~。
山神は遠くを見ても見えない入り口の門の方を見た
「仕方ないか」
山神は目線を斜め上に向けそういうと前傾姿勢になり走った。
人っ子一人いない基地内を横にデカい全身黒い装備をした者が一定のスペースで走っている。これが基地内じゃなかったらただの不審者だ
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
独特の息ずかい、1秒息を止め、息を吸い、息を吐く山神が開発した疲れない息の吸い方だ。少しキモイ。だが、その効果は絶大(山神の意見では)らしい。
装備のなしの時よりかは遅いが思ったより速い、一定のスピードを常に保っている。130キロになった重さで一定のスピードを保っている、39歳の万年平隊員のもうすぐアラフォーの男ができるものなのだろうか、そういう疑問が出るほどのできてる感がある。
10分ほど走っていると入り口の門が見えてきた。山神は無表情でそれを確認すると一定のスピードを崩さず走り続けた。山神曰く走ってるときは無感情で走っている、そうすると疲れにくいから、らしい。
―――山神が入り口の門に向かって走っている時、ロッカー室のドアがゆっくりと開いた
「山神さ~~ん?」
かわいらしい女性の声だ。女性は現に可愛かった。サイドの前髪はぱっつん髪で両サイドを肩まで下した髪型、丸く大きい目にぷっくらとした小さい唇。そして小柄、身長は160あるかないくらいだ。服装は黒のスーツの長ズボンに白の長シャツに青いスーツを着ている、腕の方には見たこともないバッチが何個もある。そして、貧乳
その女性が山神の名前を細い声で呼んでいた。山神には悪いが点と点が0、1㎜の近さでも合わなそうな接点が全くないはずの女性が山神の名を何度も何度も呼んでいた
「あれぇ~?いないのかな?、でもさっき窓から見えてたんだけどな~?」
女は下唇に指を添え首を傾げた
「車両はもう魔獣反応があった時に在中の人達が全部使っちゃったから、ないはずなんだけどな~?」
女はそう言いながら山神のロッカーの前まで歩き、人差し指をロッカーについている指紋認証にピトッと柔らかく当てると〈指紋を確認しました〉と機械音が流れ、ロッカーのロックが開く音がした。女は小さい手で取っ手を掴みロッカーを開けると首を傾げた
「装備がない~?う~ん?」
ロッカーの中身は綺麗にすっからかんだった
「・・・・」
女は少し悩んだ後、声を出した
「もしかして、走って行っちゃったのかな?」
女は内心それはやらないでしょ、と思っていたが、なんだかやりそうだなぁ~とも再度思った
「ここから、入り口まで25キロぐらい離れてるんだけどなぁ~。一応、確認で私も車出してみないとか~」
女は困った顔をしながらそう言うと、ロッカー室を出た
――その時、山神は入り口の門まで目と鼻の距離までになり、ついには門をくぐり抜けた
さぁて、やりますか~
山神の表情が黒いフルフェイスのヘルメットの中でより一層引き締まる
〈ビービービー!! 魔獣撃退しました!! シェルターにいる市民の皆さんはしばらくお待ちください、すぐに自衛隊が来ますので慌てなずに並んでてください ご協力をお願いします〉 ブチッ
「え!!」
山神が門を出たタイミングピッタリに魔獣撃退のアナウンスが街中に響いた
「まじか~~」
山神は少し悲しい顔をした
「あ、山神さん。もう倒されたらしいですよ」
門の入り口で門番をしている浅く帽子を被った若い男がふぬけた顔をしながら山神の横からそう言う
「そうですね~。一足出遅れてしまいましたよ~」
山神は軽く笑いながらそう言った
「アレ?、車で来た音しなかったけどなぁ~。山神さん、なんの車で門まで来たんです?」
「いや、車両がなかったんで走ってきました」
山神は平然とそう言った
「へぇ~走って・・・走って!?」
門番の男は驚いた顔しながら山神にそう言った、山神は男の声がいきなり大きくなったので少し体をビクッとさせた
「あっ!、あっはい、そうですね。走ってきました、出遅れましたけど」
「あ、そうなんで・・すか。あー・・・膝とか大丈夫なんですか?」
門番の男は少し驚きを隠せないまますっとんきょうな質問も山神に返した
「そうですっね~、大丈夫ですよ。整骨院行ってるんで」
「(整骨院・・・)」
少しの沈黙が流れた。門番の男はハッとし、山神に喋りかけた
「じゃ、じゃあ~。門番室で茶でも飲んどきます?、車が門の前まで来たら教えますよ」
門番の男がそう言うと、山神は顔を上げ「う~~ん」とうなり声の様な悩んでいる声をあげ、2~3秒考えたのち、門番の方に顔を向けた
「いや、大丈夫です。一応バックに水と非常食ですけど食べ物もあるので、西地区Bまで行ってみようと思います。もしかしたら市民の人が困ってるかもなんで」
山神は平然とそう言った。門番の男は山神のその言葉を聞くと、自身がつけている帽子に手をかけほくそ笑んだ
「(この人のこういう所が、好きなんだよなぁ~)」
門番の男は帽子を外し、ふねけた顔から真剣な顔になり少し声を張った
「無事の帰還を祈ります。ご武運を」
山神はその門番の男の行動にフルフェイス越しに笑顔を浮かべた
「ありがとう。行ってきます」
山神はM4を片手に持ち替え軽い敬礼をした
二人の間に気持ちがいい時間が流れる
山神はB地区を目指し走った
―――山神が門を通り過ぎたとき、山神がATMを使っていたコンビニ、そこは逃げるときに市民がパニックになり商品が地面に落ちりして散乱していた。だが、そこでケガをしたものはいなかった。
だがしかし、コレはなんだ?
あるじゃないか。赤い血の池がコンビニの中に
「助けて・・・助けてよ、お母さん・・」
赤いランドセルを背負った少女がコンビニの隅に座り込み涙を押し殺しながら体を小さく震えさせながら泣いていた
「ひぎぃ・・いてぇ~~、何がどうなってるんだ」
拘束されていた万引きしようとしていた金髪の男が宙に吊るし上げられるように浮いていた。男の顔半分は無くなっていた、抉られたようにではない消えたように無くなっていた。抉られたのは男の下半身だ。
血を出し大腸、小腸が体から下に飛び出し地面にどす黒い血の池を作っていた
「たっ・・・助けて」
ぐちゃ
男の顔半分が無くなった
「ぐちゃ・・くちゃくちゃぐちゃぐちゃ・・・・」
店内には人のものとは思えない大きな咀嚼音だけが響いていた
そして、小さくすすり泣く声も
「」
咀嚼音が止んだ
次を探しているのだ、少女はそう分かっていた
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




