その3 好きな女性のタイプはなんですか?
「はぁ~~、やだなー。」
山神は畳んだタオルを頭に乗せ銭湯の大風呂につかりながら、大きめのため息を吐いていた。
「どうしたんだ?、何かあったのか?」
隣で使っている身長の高い金髪の男が山神にそう軽く訊いた。
「天馬上官に怒られて、なんか執務室に呼ばれた」
「え、なんで?。てか、お前今日、非番だったろ?。なんで基地にいるん?」
山神はわざとらしくカッコいいイケボ声を発し「平和が一番だからね。善意で魔獣討伐の手伝いをしたんだ」と言った。
「へぇ~。絶対嘘だと思うからスルーするけど。なんで天馬上官に呼ばれたん?」
「なんか適当に「はい、はい」言っていたら執務室に呼ばれた。」
金髪の男は浴槽から体を出すと、壁に描かれている富士山を眺めながら「終わったな」とガチのトーンで言った。
「」
浴槽に浸かっている山神の金玉が縮んだ。
「まぁ、そういう事にならんように、一応、マジでやばかったら俺からなんか言っとくから安心しとけよ」
「た、田中~~」
山神は長身の金髪の男〈田中〉を見上げるようにし、涙でウルウルした目を向けた
「じゃ、俺は書類再作があるからまたな」
「また、ご飯食べに行こう!」
「お前が酒飲めるようになったらな」
田中はそう言い、湯から体を出し、引き締まった細マッチョの体を堂々と見せつけながら銭湯の入り口を開け出ていった。
「俺が酒とタバコと悪い系はしない主義なの知ってるくせに意地悪だな~~」
山神はそう言い、浴槽に頭をつけ天井を見上げた。
田中正、俺と同期だったが凄い快進撃を見せ、今や防衛隊の重役。実戦を経験しているから平防衛隊の気持ちも意見も分かり、現場の意見を優先するから魔獣防衛隊の中では、どの基地に行っても顔を知っている人がいて、しかも、人気もある。
対して、俺は39の年になっても万年平隊員のランク4。
まぁ、全然不満はないのだかね、本当に。
田中と大学からの付き合いのおかげで色々と助けてもらってるし、美味いごはんも奢ってくれるし、本当に不満はないんだよなぁ。
あと、普通に防衛隊の仕事は楽しい。
山神はそんな事を考えていると、突如として館内放送の音が基地中に響いた
〈ピンポン~パンポン~~〉
「こんな時間に放送って珍しいな」
山神は首まで気持ちよさそうに湯に浸かりながら、そう呟いた。
〈ゲホン、ゲホン〉
わざとらしい咳払いだな~、と思いながら山神はボケ~としていた
〈・・・・山神さん~~~~~~?〉
「!!!!」
山神は体をビクッと震えさせ、湯から体を出し、館内放送が聞こえる銭湯内にあるスピーカーに目を向けた。
〈は・や・く・して下さい。〉
そうスピーカーから聞こえる天馬の声はひどく棒読みだったが、それからは怒りを感じた
「山神~。あの女は怒らせたらこえ~ぞ~」
田中はパソコンを情報部屋で打ちながらニヤけた顔でそう呟いた。
銭湯にいる山神は、血の気が引いたような顔をしながら、急いで銭湯内を走り、急いで着替え、急いで天馬がいる執務室へと走った。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・遅れました。申し訳ございません」
山神は後ろで手を組み、背筋をピンとしながら息を切らしたまま立っている。その向かいにいる、照明がかっこよく反射する黒い高いであろう椅子に座っている天馬。その表情は笑顔そのもの。
ひえ~~~怒ってる!!。
誰が見てもウソと分かる程の笑顔を天馬はしていた。
「山神さん?。お風呂に40分もかかるってどういう事です?」
天馬は笑顔のままだ
「あ、風呂自体は10分ほどで終わったんですけど、執務室の場所が分からなくて~~~・・・はははっ」
山神は目をキョロキョロとさせながら、髭ずらに似合わない早口で嘘交じりの弁解をした。
「・・・・私がいるから、ここは天馬基地って言われてるのって分かってますか~?」
「・・・・・・」
山神の顔は冷や汗でびっしりだ
「監視カメラの一つや二つ見るのも造作もないんですよ」
天馬は目だけ笑顔を止め、口は笑顔のままそう言った
「・・・・す、すみませんでした」
「本当にそうですよ。風呂に39分もかかるなんて女の子ですか?」
天馬は机に肘をつけ手で頭を支えながらため息をした
「まぁいいですよ。」
天馬は両腕を机に乗せ、背筋を伸ばし、山神を見ながら口を開いた
山神は腕を後ろで組んだまま、唾をのんだ。
「山神さんって、好きな人とかいます?」
「はい?」
山神は想像していたよりも、あっけらかんとした質問にずっこけそうになった。
「あ、好きなタイプでもいいですよ?。ロングヘア―が好き~とか、貧乳が好き~~とか」
「え、貧乳が好きな男っていな―――「なにか言いましたか?」
山神は天馬の作り笑顔を見ると顔をそっぽを向け「なんでもありません!!」と大声で言った。
え?なんで、いきなり好きな人とか俺に聞いたんだ?、しかも、好きなタイプも・・・、はッ!!!
山神は天馬の顔を凝視した。
天馬は首を傾げた。
まさか、天馬さんは「おじ専」なのか!?、俺はどっちかって言うと獣って感じだが、年は39歳だし筋肉ムキムキだ・・・・。嘘だろ…、天馬さんは俺の事が好きなのか!?
この年になって初めてのモテ気が来たぞ!!!
山神は「ぐへへへ」という気持ち悪い笑い声が口から漏れ出ていた。
天馬さん…、俺は、俺は・・・ロリ専じゃないから無理です。すいません。
山神は目を食いしばりながらそう心のなかで呟いた
天馬さんは23歳で、俺は39歳・・・ロリすぎるし、天馬さんは体格が小学生すぎて、あれだ、キモイ図になってしまう。
「あの?山神さん?どうしました?」
「え!いや、なんでも」
告られたら断ろう…、39にして人生初の告白を人生初の告白断りで返す・・・俺ってば、罪な男だぜ。
「なんか、聞いてないみたいなんでもう一度言いますけど、好きなタイプとか教えてもらったら、こちらで用意するので、教えてくれません?」
「・・・・ん?」
「ん?」
告白じゃなくね?
「え、なんでです?」
山神は首を前に出し訊いた
「えっ?。山神さんがあの時に「はい」って返事したからじゃないですか」
なんだろう・・・、身に覚えがない。
だけど、分かったことがある。
・・・・これからは適当に返事をするのは辞めよう・・・。
「それよりも、山神さんって、魔獣が発生したのはなんでか知ってます?」
天馬は机の上に置いた両肘を立て、両手の指を組み、口元を隠すようにし、山神に質問をした。その顔は真剣そのもの。
「あぁ、一応は」
山神はその問いに平然と答えた。
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




