表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特定非営利活動法人 アマツキツネ 「ルナティックハウンド」  作者: 涼城 鈴那
人狼「メイ」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/83

「飯綱(いづな)」


「まぁまぁ、そんなに慌てるなって。準備とかもあるからな?」


間のローテーブルを乗り越えて迫るメイの迫力に押され、マサキは両手を上げて彼女を制止する。今すぐにでも異世界に行きたい気持ちは解る、もう少し落ち着け?

今すぐの話でないと知り、あからさまに気落ちするメイだったが食欲は落ちない。


「で、その女性だが、彼女にも俺の『飯綱』と同等のモノが憑いているらしい。」


マサキは護衛をする女性の説明を始めた。『飯綱』と聞いてメイはマサキの周辺に飛び回る3匹の透明のイタチの様な存在を改めて確認する。今はテーブルの上のフライドポテトを食べたくてたまらないらしく、その周囲に屯している。


『コレと同じ様なものが憑いている人なのか。」


メイはポテトを1本摘まむと『飯綱』の目の前でゆらゆらと揺らして焦らした挙句に自分の口に放り込む。揶揄われた3匹はメイの周りに飛び回り抗議する。それに構わずメイはポテトをひと掴み頬張る。


その彼女には『飯綱』の様なモノが感知できておらず、操るなどと言う事は出来ないらしい。これは彼女にその能力が無い為ではなく、元々『飯綱』と同じような『管狐』使いの家系に生まれた彼女には類稀な才能が有るのだと言う。


ただ、彼女が生まれた時から彼女に憑いている『飯綱』と同じようなモノの力が強すぎて、幼い彼女の力では制御する事が出来ず、彼女自身の精神に悪影響を与えかねない為、彼女は本能的にその力を封印していると言う事らしい。


その憑いているモノも彼らを操れる者は彼女しかしないと心得ているようで、彼女が彼らを完全に制御できる力を付けるまでなるべく干渉せずに、彼らの主を見守る様な行動を取っているのだという。ただ、彼女が成長するにつれて彼らも相応に成長しており、思いのほか時間がかかってしまっている様だ。


そしてあと数年の内に彼女が彼らを制御できる日が近付いているという、おそらくは彼女が成人する頃だろう。ただ、彼らを制御出来るようになり支配下に置いた時から

彼らを利用しようと企てる者や、彼らを排除しようとする者から狙われる危険が発生し、完全に制御できるようになるまでのタイムラグの間が危険だと言う事らしい。


『そう言えばマサキ様の「飯綱」も成長して覚醒したのだったな。』


今、フライドポテトを食べたそうにうろうろしている、かつてはマサキが『管狐』と認識していた儚い存在から、『飯綱』と呼ばれる実体を持つ存在に自在に変化出来るようになったのだったか。


「お前ら、これ食べても良いよ?」メイが3匹の儚い存在に声を掛けた。

「え?良いのかメイ?お前が足りないんじゃ・・・・」


マサキの声を遮る勢いで3匹の『飯綱』が実体化して3人の美女へと変化した。

「桜」「椿」「桃」と名付けられた和服姿の猫耳少女の姿の『飯綱』だが、その愛らしい姿とは裏腹に3人で大皿を囲んでフライドポテトを両手に鷲掴みして貪るように食べまくる。


「あーあー、追加も来るから!誰も取らないから!少し落ち着け!?」


邪神戦の際も活躍したと言う彼女らだが、子猫が争って餌を奪い合う様なその姿からは想像がつかない。大皿に最後に残った1本に桜と桃が手を出して、桜があっという間に掴み取りそのまま口に放り込む。その瞬間、怒った桃が桜をぶん殴り桜は壁まで吹き飛ばされた。・・・・子猫ではない、虎だったか。


壁に飛ばされた桜が桃に掴みかかろうとする所をアキラが後ろから抑える。


「『桜』様!落ち着いてください!『桃』様も手を出してはなりません!」


『飯綱』達はマサキの使い魔ではあるが、当人たちはマサキを兄や親の様に慕って行動しており、マサキもそう扱っている為、アキラは彼女らをマサキの娘、妹として『様』を付けて扱っていた。


桃の方もマサキに窘められて、ふくれっ面をしている。メイには彼女らをマサキが制御出来ているようには見えなかったが、紅月様が言うには彼女らが完全に人格を持ってしまっているかららしい、マサキの『飯綱』は特別なのだ、と。


「あれ?「椿」が居ない?何処に行った?」

マサキが椿がこの場にいない事に気付いた時、厨房からミアの声がした。


「ちょっと『椿』!そっちに持っていくからつまみ食いしちゃ駄目!」


その声に「桜」と「桃」は顔を見合わせ、部屋を抜け出し厨房へとすっ飛んでいく。

厨房での騒ぎが更に大きく成り、マサキとアキラが部屋を飛び出した。


「おい!お前ら!大事な話してんだから騒ぐな!ってコラ!」


部屋に一人残されたメイは、空になった大皿を見つめ『飯綱』達も奪い合う程のこの料理よりもっと美味しい食べ物があると言う異世界に思いを馳せ、残っていたリンゴジュースを飲み干した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ