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特定非営利活動法人 アマツキツネ 「ルナティックハウンド」  作者: 涼城 鈴那
肥前化け猫騒動

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少年たち


放課後の地方都市の繁華街の大型書店で速水ハヤミ 蒼麻ソウマは友人たちといつもの放課後の暇を潰していた。

特にこれと言った特徴の無い公立の普通科の高校に通うソウマは将来にこれと言った目標もないまま日々を過ごしている。


学校の成績は可もなく不可もなく、運動にはある程度自信はあるが運動部程の何かに特化した能力がある訳でもない。このまま行けば世間ではFランと呼ばれる適当な大学に潜り込んで、在学中の内に目標を見つけて何処かに就職をするのだろう、と漠然と考えていた。


梶原カジワラ 光樹コウキは180cmの長身と相応の体格が自慢で趣味の筋トレに力を入れてはいるが、不良から絡まれない様にするための自衛の手段であったりする。将来はソウマと同じく目標は未定となっている。 


吉岡ヨシオカ イツキはイラストレーター志望のアニオタだ。高校卒業後は専門学校に行く予定なので学校の勉強は適当に済ませている為、仲間内ではその点で羨まれている。しかし、イラストレーターとして食っていけるかは全くの別問題の為、生暖かく見守られている。


古谷フルヤ 雄星ユウセイは公務員の両親の勧めで地方公務員を目指している。それなりにコネがあるらしく大学を出て試験にさえ合格すれば良いと公言している。安定した生活はそれなりに魅力はあるが、平凡過ぎる生き方は未だ若い彼らにとってとても退屈な物にしか見えていなかった。 


皆、何かアルバイトをする訳でもなく親から貰った小遣いでやり繰りをしてはいるが、日々の付き合いにも必要な金は足りるはずもなく、常に金欠状態である。


その金欠を補うのにたまに行うのが所謂「万引き」だった。本屋等で人気コミックスを店員に見つからない様に所持品に隠して入手し、それを売る事で相応の代価を手に入れるのであった。


今日も「それ」を目的に本屋へ4人で来ていた。今日は幾つかの人気コミックスの最新刊が発売される日でもある為か、店内にはそれなりに客が多く店員は各種業務で忙しく、店内に目を配る暇もなく働いている。


ユウセイが肩から下げたカバンに目的のブツを隠す準備をし、残りの3人がさりげなく周囲を伺い周りの目が離れる瞬間を待つ。しかし近くに立ってコミックを物色している男子高校生が居り、チャンスはなかなか訪れない。


ソウマ達と同じ制服の男子高校生がスマホを取り出し、何やらを操作し始めた。

『くそ、こんな所でスマホ弄ってんじゃねーよ。』ソウマは苦々しく思い高校生を横目で見ていると、相手はこちらにスマホの画面を向けて意味ありげに指で画面を叩いた。ソウマが意味が解らず戸惑っているとやはり画面を叩く仕草を繰り返す。


『?・・・何か共有しようって言うのか?』

ソウマがスマホを取り出し共有の設定を変えると、データが送られてきた。


『この店、私服警備員がいるよ、向こうのパーカーの女の人。』

『!?』

ソウマはその内容に驚き、さりげなく小声でユウセイに中止を告げる。


4人は万引きを諦め、コミックスを物色する振りをしつつ一人ずつ外へ出る。

最後にソウマが店の外に出た時、すぐ後ろを先程の男子高校生が付いて来た。


「あぶない所でしたね、警備のお姉さんにマークされてましたよ?」

その言葉にソウマが窓越しに店内の様子を伺うと、パーカーの女性警備員が書棚に隠れるようにして別の人物の様子を探っていた。その姿に、思わず背筋が凍った。


「・・・確かに危なかったみたいだな、助かったよ。」

ソウマはそう言って安どのため息を漏らし、他の仲間もゆっくりと息を吐いた。

改めて目の前の救世主を見てみると、真新しい制服を着ていて2年生の自分達より幼く見える。身長も170cmも無いだろう、入学したばかりの一年生なのか?


「僕、一年の上杉ウエスギ 達希タツキです。入学したばかりだけど、学校にはほとんど行ってません。」

「は?入学したばかりでもう不登校かよ?そんなんで大丈夫なのか?」

コウキが呆れたようにタツキに聞く、タツキは笑いながら


「なんかクラスの連中、みんな馬鹿みたいに見えて面白くないんですよ。」

その発言にソウマは『こいつ、中二病なんじゃないのか?』と思わず考えた。


『中二病』、中学生によくある自分は特別だと思い込む不治の病の事だ。

中二病を拗らせて、入学早々に虐められたか揶揄われたかで不登校になったのではないか?ソウマはそう思った。


「『万引き』って立派な窃盗罪で10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科せられる犯罪で、凄くハイリスクローリターンなんですよ?」

「おいおい、俺達に説教する気か?助けられた事に感謝はするけどあんまりいい気分じゃないな。」

ソウマが不機嫌そうに言うや、タツキは人懐こい笑みを浮かべながら首を振る。


「そんなんじゃないですよ?どうせならノーリスクなお金稼ぎしませんか?」

「ノーリスクな金稼ぎ?なんだそりゃ?」

ソウマは思わず聞き返すと同時に他の仲間たちと顔を見合わせた。


「じゃ、立ち話も何ですからそこのファミレス行きませんか?」


タツキはそう言うとすぐ傍のファミレスへ向けて歩き出した。ソウマ達も困惑しつつ、「ノーリスク」の言葉に釣られてその後に続く。





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