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熊に殺され異世界に転移したので虫と薬草の知識で生きていきます 〜辺境村の薬師は怪異を医学で解く〜  作者: 猫山 緑
毒キノコ辺

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9/11

笑う者、倒れる者

いつものようにイツキが診療所の薬の整理・調剤をしていたら


「イツキいる?」


エマが元気よく入ってきた。


「どうした?また、薬草採取か」


「違うよ」


ぷくぅーと頬を膨らませる。


「今日村で、キノコ狩りイベントなんだ」


「いいじゃないか。美味しいキノコが取れるといいな」


「イツキも行くんだよ」


エマに手を引っ張られキノコ狩り会場に連れていかれた。


壇上には、トラッシュが立っていた。


イグナスの事件以来あまり会うことはなかった。


「年に一度のキノコ狩り祭り。今年は誰が1番キノコを取れるでしょうか。」


大声でトラッシュは言う。


「制限時間は2時間です。終われば集まってください。」


「2時間か結構かかるな。」


と小さくイツキはエマに言う。


「夜ご飯にここでBBQするからね。ちょうどベストな時間なんだ。」


エマは嬉しそうに言う


「BBQか、久しぶりだ」


「いっぱい取って、みんなで食べようね。」


「あぁ、そうだな。」


大きな声でトラッシュは


「それでは、スタート!!」


と言い鐘を大きく鳴らした。


みんなは一斉に森の方へと向かう。


「この森は、松茸が取れることで有名なの」


「だからここでキノコ狩り祭りをするのか」


「私たちも行こ」


2人も森の中に入っていった。


「この木に生えている座れそうなキノコは食べれるの?」


木の中腹に生えているキノコを指さして言う。


「サルノコシカケか。硬すぎて食べれたものではないが、漢方として飲まれているな。」


「どんな漢方なの?」


「霊芝、抗癌作用があると言われているんだ。」


そんなこんなでキノコを探していた。


タマゴタケやヒラタケ、ホウキタケなどの食べれるキノコを沢山取っていた。


その時


「見て見て!これ綺麗でしょ」


エマが赤いキノコを指さす。


「それは、カエンタケと言って手で持つと炎症を起こし、食べれば最悪死に至る危険なキノコだ」


「こんなに綺麗な赤色をしているのに」


「黄色や赤といった色は警告色と言って毒を持っているものが多いんだ。」


その後も、ベニテングタケやツキヨタケなどの毒キノコも見受けられた。


ベニテングタケやツキヨタケは、食べられるキノコとよく勘違いされる。


ベニテングタケはタマゴタケとツキヨタケはヒラタケと


気づけばあたりは暗くなって来た。


「そろそろ戻るか、エマ」


2人は会場に戻った。


会場には半分くらい戻っていた。


各々、火を起こしたり肉やパンを用意しBBQの準備をしていた。


よく見ると会場にはレオンもいた。


「お父様、来ていたの」


エマはレオンに近づく


「あぁ、一年に一度のキノコ祭りだからな。」


レオンはイツキの背負う籠に目をやる


「沢山取れたようですな。ところで松茸は取れましたかイツキ殿」


「残念ながら見つかりませんでした。アカマツの周りを探したんですけどね」


「それは、残念ですな」


そんなこんな話している間に祭りは始まろうとしていた。


みんな食べたいものを焼きキノコを食べていた。


イツキは久しく忘れていた祭りの楽しさを思い出した。


「やっぱり、みんなでどんちゃん騒ぎをするのは楽しいな。」


「うん、楽しい」


笑顔でエマはこっちに振り向いた。


その時、誰かが嘔吐くと共に吐き出した音がした。


吐いた人の方へ向かうと、腹を抑えオロオロと吐き続ける人がいた。


周りには心配そうに背中をさする人や水を持ってきてあげる人がいた。


「どうしました。」


イツキとエマは駆けつける。最悪の場合が予想できたからだ。


普通は、食べすぎただけや飲みすぎで吐いていると思う。


だが、キノコ祭りではそうとは限らない。


毒キノコを間違えて食してしまう可能性がある。


毒キノコの初期症状


それは、下痢や腹痛それから嘔吐である。


「30分前何を食べていましたか?」


「タマゴタケを食べていた。いつもより旨みが強くてな。」


「…旨みが強い」


指を顎に当て考える。


ベニテングタケに入っているイボテン酸と言う毒


これは旨味成分であるグルタミン酸に非常に構造が似ている。


そのためイボテン酸は旨味が強いのである。


「もしかしてベニテングタケを食べましたか?」


「いや、間違うわけがねぇ。だって白い点々が付いていなかったんだ。あれはタマゴタケだ」


「ベニテングタケの白い点々は雨などにより落ちます。すると、パッと見はタマゴタケと遜色ありません。」


「じゃあ、俺は死んじまうのか」


怯えるように男は言う。


「大丈夫です。」


イツキは大量に水を持ってくる。


「これを飲んでください。」


男はガブガブと水を飲む。


イツキは失礼しますと言い指を男の口の中に入れ、無理やり吐かせる。


次に水と炭を混ぜたものを飲んでもらう。


「とりあえず応急処置は、終わりました。」


「これで、助かったのか」


「まだ、分かりませんが今日は診療所で1泊してください」


「はは……あははは……っ」


急に後ろから笑い声が聞こえてきた。


「何がおかしいんですか」


と言いイツキは笑い声のするほうを向く


瞳孔は散大しており、汗をかいていた。


フラフラと立つ様はまさに悪霊に取り憑かれたようだった。


周りにいた村人は恐怖するように後ずさる。


「何を食べた。」


様子のおかしい男にイツキは聞く。


男は何も聞こえていない様子だった。


「あはは……地面が動いてる。」


男は笑いながら言う。


イツキは男がずっと何かを握っているのに気付き


手の中を見る。


中には、白と黒の混じった小さなキノコを握っていた。


「ワライタケを食べたのか!」


「これは危険なキノコなの?」


エマは少し怯えながら聞く。


もう人の死を目の当たりにするのは嫌だからだろう。


「死にはしない。だが人をおかしくさせてしまう」


マジックマッシュルームは、聞いたことがあるだろう。強い幻覚を引き起こすキノコだ。


ワライタケはこれに分類される。


イツキはベニテングタケを食べた男と同じ処置の仕方をした。


だが、ハイなテンションは治っていなかった。


「護身用にと思っていたがしょうがない」


イツキはタオルに何かを少し垂らした。それからは植物特有の発酵臭がしていた。


「もしかしてそれって」


エマは何かを理解したように言う。


少し躊躇いながらイツキは、男の口元に当てた。


数分もしないうちに男は眠った。


「前、イグナスさんに使った麻酔薬を使ったの」


不安そうにエマが聞く


「大丈夫、前のより効果は下げてある。」


少し疲れた声で言う。


「このままでは自傷行為に走ると思ってね。」


1人の女が走ってこっちに来る。


「あっちで、ひ……人が……痙攣してる」


「痙攣……まずいな」

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