魔女の呪い
掲示板を作るにしても、毒を持っている生物を全ては書くことができない。
つまり危険な生物の中でも特に危険度が高い生物を厳選して書かなければならない。
マムシやスズメバチ、ツチハンミョウ、トリカブト、カエンタケなどの猛毒を持つもの達だ。
「この絵どうかな……?トリカブトってパッと見てわかる?」
エマが不安そうにイツキに聞く。
「いいじゃないか。ニリンソウとトリカブトの葉の違いがすごく分かりやすく書けている。これなら、誤食も防げそうだ」
「俺も書けました。」
ノアもそう言いながら完璧なスズメバチの絵を見せてきた。
「2人のお陰で思ったよりも早く掲示板ができた。ありがとう」
出来上がった掲示板を広場に設置し、診療所に帰った。
するとそこには、レオンがいた。
「お父様!なんで診療所にいらっしゃるのですか!?何処か体調が悪いのですか?」
エマが驚いたように聞く。
「いや、体調不良できた訳ではない。イツキ殿に用があって来たんだ」
「僕にですか?また何か面倒事ですか?」
「捉え方によってはそうなるのかもしれないな。」
イツキはレオンを奥の部屋にお連れした。
「僕に用って言うのは?」
「イツキ殿は隣町のクロン村は知っておられるか」
「はい。名前は知っています。足を踏み入れた事は無いですが」
「そこの領主アルフレッドから文が届いてなまぁこれを読んでくれ」
「拝見します」
レオンから渡された手紙は、かなり焦りがみえる文字で書かれていた。
「魔女ですか……」
イツキは、ぽつりと呟き考えに耽る。
手紙に書かれていたことを要約すると、クロン村では、「手足を火で焼かれたような激痛」を訴える者や存在しない物が見える幻が見える幻覚。幻聴に苛まれる者が急増しているらしい。
そこで、手紙を出した領主アルフレッドはこれを「魔女の放った呪い」だと思い込んでいるらしい。
魔女狩りを行うべきかどうかを友人であるレオンに意見を求めて来ていた。
「これは、本当に魔女の仕業なんでしょうか?前までのワシなら魔女の呪いと信じていたかもしれんが。だが、これまでイツキ殿の素晴らしい成果を見てみると到底そうとは思えんのです。」
「えぇ、魔女の呪いなどではありません。いくつか心当たりのある病気や中毒はありますが……詳しい事はクロン村に行ってみないと分かりません」
「行ったら分かるのだな!!では、向かってやってくれアルフレッドはワシの古い友なんだ。誤った方向に進んで欲しくない」
「そうと決まれば俺達も用意してきますね」
ノアが言う。
「いや、ノアはグレン村に残っていてくれ」
「な……何故ですか?」
「何日間かクロン村に残らないと行けない。その間グレン村の医療が止まるのは避けたい。」
「その理由なら仕方ありません。イツキさんがいない間は、俺に任せてください」
「あぁ信頼しているよ」
イツキとエマは、パッと支度を済まして馬車に乗り込んだ。
隣村と言ってもクロン村とグレン村はかなり距離が離れている。
馬車で急いで行って半日もかかる距離だ。
「ねぇイツキ、手紙を読んだ時ある程度予想が着いたって言っていたけどどんな病気なの?」
「手足が燃えるように痛む、幻覚、幻聴から考えられるのはかなり絞られる。その中でも時代的にカビ毒だと思ってる」
「カビ毒?」
「あぁまだ予想の段階だがな」
2人は長い間馬車に揺られ、日が綺麗に上がって来た頃クロン村についた。




