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熊に殺され異世界に転移したので虫と薬草の知識で生きていきます 〜辺境村の薬師は怪異を医学で解く〜  作者: 猫山 緑
毒蟲

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忍び寄る小さき猛毒

『2つの咬み痕』と聞くと真っ先に頭に思い浮かぶのは、マムシやヤマカガシなどの毒ヘビだ。


だが、咬み痕の大きさが明らかにヘビよりも小さい。


急激なアレルギー症状と咬み痕の小ささから考えられる犯人は『クモ』だ。


強い毒をもつクモと言えばセアカゴケグモが有名だ。


でも、ここで1つ問題がある。この異世界の生態系は、前世の『日本』と酷似しているという点だ。


つまり、外来種としてやってきたセアカゴケグモが、この世界にいるとは考えにくい。


ただ、日本には1種だけ在来種で強力な毒をもつクモがいる。


「ダグさんの事を咬んだのはおそらく『カバキコマチグモ』だと思います」


「な、なんなんだ……そのカバキなんたらっていうのは?」


不思議そうに首を傾げながらゴートは聞いてくる。


イツキは棚から1つのガラス瓶を取り出して来た。


透明の液体の中に浸けられているのは、1匹の黄褐色のクモだ。


「これが、カバキコマチグモです」


「こんな小さいクモが……」


少し恐ろしげにゴートは言う。


「このクモはススキやササの葉をちまき状に丸めて巣を作るんですよ。大抵は1匹に咬まれた程度ならここまで深刻化しないのですが、見たところ腕だけでなく足元にも咬み痕がありました。巣を複数潰してしまい、一気に致死量近い毒が体内に流れたことにより、体が激しいアレルギー反応を起こしたんでしょう。」


「そういえば、ダグのやつ背丈より高いササの群生に勢いよく突っ込んで刈払ってた」


ゴートは納得したように頷く。


アナフィラキシーショックという危機は乗り越えたもの腕や足にできた腫れに対して対処がてきていない。


「エマ、これに書いてある物を持ってきてくれ」


イツキは必要なものを素早く書きエマに渡す。


エマは頷きすぐ用意に取り掛かった。


「ところで何を作るんですか?」


ノアは不思議そうに聞いてくる。


「生薬湿布だよ。腫れができている場所に薬を染み込ませた布を貼るんだ」


「飲み薬じゃないんですね!!」


「そうなんだ。カバキコマチグモの毒は皮膚毒だから外側から対処するんだ」


などと話していると用意をし終わったエマが戻ってきた。


「用意できたよー」


「じゃあ始めようか」


黄柏オウバク梔子クチナシを細かくすり潰して粉末状にする。


それに小麦粉を混ぜ合わせる。ここで小麦を混ぜることにより冷感を持続させることができる。


粉を混ぜ合わせたあとに水を入れ練り混ぜる。それを清潔な布に厚く塗る。


これで湿布の完成だ。


これを腫れ上がった患部に当てて包帯で固定する。


「これで、処置は終わりました。念の為ダグさんは今日1日ここで安静にして貰いましょう」


その夜は何事もなく、穏やかに過ぎさっていった。


翌日、症状がすっかり落ち着いたダグに定期的に湿布の張り替えに来るように伝えてから、無事に退院してもらった。


「危険な生物や薬草のことを、村のみんなに知らせるいい方法はないかな?」


イツキはノアとエマに聞く。


「大きな広場に危険な生物の絵と名前、対処法を書いた掲示板を作っておけばいいんじゃないですか?」


ノアが名案を思いついたように言った。


「いいね、それをやってみよう。そうと決まれば早速行動だ」

投稿遅くなってすみません。言い訳はしません夏休みが楽しすぎて書けなかった

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