第五十五話
それから、数日が経った。
オフ会で何を話したか記憶がないのは、小夜のあの告白のせいだろうか。
おれは、いつまでも小夜に振り回されっぱなしだな、と思いながら、小夜の半歩後ろをついて歩く。
小夜、小夜、小夜。
あれだけ関わるのが嫌だ、もう離れたいと思っていたけれど、いざ離れるとなるとやっぱり寂しい。
それが誰のせいなのかもわからないまま、おれは小夜の背中を追っていた。
どれだけ歩いても、その隣に立つことは叶わなくて、それでも必死に追いかけて。
そんなことをしているうちに、おれは小夜の隣を歩けるようになった。
けれどそれは、もう自分のよく知る道になってからだった。
毎日歩いた通学路。それを、黙ったままで歩く。
ふと、小夜が話しかけてくる。
「……あ、そろそろ家つくね」
「そう、だな」
前までなら言わないような言葉に少し戸惑いながらも、小夜に言葉を返す。
「もうこれでお別れかぁ…ちょっと寂しいかも」
また来いよ、と言おうとしてやめた。
簡単に来れる距離だったら、小夜はオフ会来れないかも、なんて言わないだろうから。
「あ!そういえば、私告白したのに返事もらってない!」
「…そういえば、そんなこともあったな」
「思いっきり振っちゃっていいよ〜、私転校しちゃうし?」
振ったほうが、楽だろう。
小夜にとっても、おれにとっても。
遠距離恋愛はしんどい、とよく言うし、何よりおれは小夜のことを好きなわけじゃない。
「…ごめんな、」
なんで、謝っているんだろう。
そう思った。
けれど、それがおれらしいのかもしれない。
いつも謝罪ばかりしていた、おれの。
小夜の方に目を向けると、泣きそうな顔をしていた。
けれど、慰めはしない。
今小夜を慰めたら、前までと変わらなくなるから。
やがて小夜は、おれに向かって笑ってみせた。
涙を流しながら、それでも笑みを浮かべていた。
そんな小夜に、おれは話しかける。
「じゃあ、また」
__ゲームルームで。
次回予告をしようとしたけど同じ時間に公開してるから意味がない、というわけでカット
次回、完結。




