第五十一話
いつも通りに、試合が始まる。
いつもと違うのは、ユリがいないこと。
ついでに言うとしたら、月先輩がいることも。
今日もいつも通りフルパじゃないので、野良さんとの連携を意識しながら、ぐいぐいと進む先輩を追いかけるようにしてキルレを上げていく。
ユリがいないから、いつもより少しだけキルレが上がっていてもバレない、という所が、ユリ抜きパーティーの最大の利点だ。
月先輩はキルレより勝ち負けを見るし、夜半は気づいても黙っていてくれる。
だから、少しばかり本気でやっても、誰も何も言わない。
ユリなら気づくだろうし、何か言うだろうけど。
そう思いながら、全力、とまでは行かないものの、いつもよりは本気でやっていた。
何戦やっただろうか。10は越えた、というときに、先輩が言った。
「ねぇ、セイ。いつも本気出してなかったりしない、?」
気のせいだったらごめんね、と付け足してはいたものの、その言葉はどこか、確信を持って言っているように見えた。
そしてその指摘は、確かに的を射ていた。
どう応えようか、と思っていたとき、夜半が言った。
「多分、ユリより弱くなるように調整してたんじゃないか?ユリが休んでる日とかその直後は、ランキングとかレベルが上がってる気がする。違うか?セイ」
その言葉は、助け舟のようにも聞こえるし、余計なひとことにも聞こえる。
ただひとつわかるのは、夜半の分析力の強さだけだった。
「確かに、夜半の言うとおりだ。おれは、あえてユリより弱い演技をしている。『自分より弱い人がいないの嫌!』ってかんしゃく起こされても困るからな。それにしても、よくわかりましたね。一応バレないように、気をつけてはいたんですけど…」
月先輩は、笑って言った。
「疲れてたんじゃない?今日のセイ、全然加減できてなかったよ」
キルレ見返してみたら?と言われて、昨日と今日のキルレを比較する。
確かに、いつもより、デス数が少なかった。
「確かに、あまり加減できてなさそうです」
でしょ〜?と言った先輩は続けて、
「そんな強いなんて初めて知った〜!今度1vs1しようね!
その言葉は、まるで悪魔の囁きのように聞こえた。
3月23日は誕生日です。
誰/何の誕生日でしょうか?
正解はあらすじを見てください。
たんおめっっっ!




