第四十九話
いつも通りに進んでいく、懇談。
普段と、ひとつだけ違うのは、母さんの代わりに父さんが来ていること。
進路の話は父さんに聞いてほしい、という名目で、車を持つ父さんを使って小夜を回避したかっただけだ。
「では志望校は、第一希望が青藍高校、第二希望が__」
その言葉にそっと頷く。
「もし倍率を見て変えることになりましたらまたご連絡ください。」
そんな言葉で、懇談は締めくくられる。
ありがとうございました、というひとことと共に教室から出ていく。
俺達の次に懇談がある三神さんにぺこりと頭を下げてから、父さんの方を向いて話す。
「父さん…ごめん、わざわざ会社抜けてまで来てもらっちゃって。」
懇談や進路の話は、だいたいのとき母さんは怒るから、父さんの方が良いのだ。
「いいんだよ、大事な息子の頼みなんだから。何より、進路に関する話は母さんより父さんの方が向いてるだろうしな。」
今からちょうど一年くらい前、つまり中学二年生の今頃の面談で、母さんは、なんでこんなに低いんですか?と言った。
母さんは、おれに対してではなく、先生に対して怒った。
おれが怒られる分にはまだいい。けれど、先生に対して怒って迷惑をかけた、となると流石に父さんも動かなければいけない。
だからこそ、それ以降、つまり中学三年生になってからの面談は全て父さんが来ていた。
一度怒ると止まらない母さんの対応は疲れるから、正直助かっている。
「ごめんな」
突然、父さんが言った。
父さんは、おれの返事を聞くことなく続ける。
「いつも、家のこと、いや、母さんのこと、お前と夜那に任せっきりになって」
確かに、父さんがいれば助かりはする。
けど結局は母さんの問題であって、おれや姉さん、そして父さんのせいじゃない。
「謝らなくていいよ。別に、父さんのせいじゃないから」
父さんがなるべく家にいるようにしてくれているのは知っている。
だからこそ、おれは、いや、おれたちは、父さんのことを嫌いになれない。
父さんの努力が、わかってしまうから。
「そうだとしても、負担をかけてるのは事実だ。ごめんな、母さんのせいで」
母さんのせいで、父さんが謝る。
その違和感に、なんとなく胸が重たくなった。
7日に毎回投稿するこだわりクリア
次は14日か…月先輩投稿できなかったらがちごめんなさい




