第三十話
ふと、目を開く。
起きたときには、もうお風呂なんかにはいなくて。
昨日の服装のままで寝ていた。
そして横を見ると、帰って来ていないはずの姉さんが帰って来ていた。
「姉さん、おはよう。」
幻覚なのでは、と思いながらも声をかける。
無反応。寝ているのか、あるいはおれの幻覚かの2択。
夢…なんてことはないだろう。夢だとしたら夢を見る夢を見たことになる。
そんな夢、聞いたことも見たこともない。
といっても、覚えていないだけなのかもしれないが。
そんなことを考えながら、窓の方を見ると、満天の星空と満月以下下弦以上、という名前を知らない月が窓越しに広がっていた。
その景色に見惚れていると、突如大音量で音楽が鳴り響く。
曲名のわからないボカロ曲。
姉さんが好みそうな曲だな、なんて思っている間に姉さんが起きた。
「アラーム?!やば、もうこんな時間!!」
慌てふためく姉さんに、聞こえるかはわからないものの話しかける。
「おはよう、姉さん」
姉さんにおれの声は聞こえたようで、
「おはよう、星。って星?!やっと起きた!!」
やっとも何も今は朝じゃ…と不思議に思いながらも、姉さんに話しかける。
「おはよう。おれがどうかした?」
「あんた2日も寝てたんだよ?!2日!!」
まだおれが起きている、という事実を信じていないのか、自分の頬をつねったり瞬きを繰り返す姉さん。
姉さんがこれ以上自分を痛めつけないように、夢の話題を出す。占い大好き姉さんなら食いつくだろう。
「そういえば、姉さん。寝てるときにさ、妙な夢を見たんだよね。」
その読みは当たっていたようで、1秒足らずで食いついた。
「え、なにそれ!詳しく聞かせてっ!!」
時間は大丈夫なのかよ、と思いつつも、また騒がれるのも面倒なので、簡単に答える。
「お風呂で寝る夢と、金縛りに遭う夢。」
それまた物騒な、と言う姉さんの指は、既に文字を打ち始めていた。
「えーっと、星。一回心療内科か精神科行かない?」
そういって姉さんはまたスマホで何かをしだす。
姉さんがスマホを動かす指を止めたとき、ピロン、と間抜けな音が鳴る。
音を鳴らしたのはおれのスマホ。恐らく姉さんが診断結果でも送ったのだろう。
そう考えたおれは、枕元に置かれたスマホをベッドから拾い上げる。
チャットには、2枚の画像が送られていた。
ご丁寧に赤線つきで。
一枚目の赤線には、過度な心労のサイン、精神的疾患の可能性もあり、と書かれていた。
どうせ二枚目も似たようなことが書いてあるのだろう。
そうでもなければ病院嫌いを公言しているようなおれに姉さんが病院の話をするはずがない。
「やだよ。病院なんか。」
「そっかー。でも気をつけなね?」
そんなことを言う姉さんは遠い目をしていて。
その瞳には、にーちゃんを映しているように見えた。
遠くを見つめていた姉さんは、時計を見ると、
「あ、私時間やばいから行くねっ!じゃあまたっ!」
と、それだけ言った姉さんは、部屋のドアを開けたまま姿を消した。
有言実行。無事に夜那を出せた。セーフ(?)
そういえば、昨日が今年最後の満月だったらしいですね!!
私は雪のせいで見えませんでした。悲しい。
見てくださりありがとうございます!
ではまたっ!!




