第二十八話
ピピピッ、ピピピッ。
アラームの音が鳴る。
アラームなんかかけたっけ、と思いつつ、眠たい身体をどうにか叩き起こす。
そして、アラームを止める。
アラームを止めた途端に聞こえるのは、小夜の声。
「…繋がった?もしもし、星?あれどういうこと?ねぇ、どうしてあんなこと言ったの?ねぇ、ねぇってば!」
小夜に言われるものの、何も言葉が出ない。
おれがアラームだと思っていたものは、どうやら電話だったらしい。
「いきなりどうしたんだよ、小夜。おれ眠いから寝たいんだけど…」
あまりに眠かったからだろうか。
ふわぁ、というあくびが出る。
「トーク見て?そして寝たい?ふざけんじゃないわよ。」
今日の小夜は随分とご機嫌ななめなようだ。これ以上怒らせる行動を取ると面倒なことになるだろうな、と思い、パスワード、そしてチームの結成日でもある、0323、という数字を打つ。ロック解除成功。
メッセージを開く。
トークは、おれの放っておいてくれ、という発言以降、おれが寝ていて出られなかった通話だらけだ。
ときどき、なんで出ないの?や、電話出てよ、といった発言が入っていたが、それ以外は全てが通話。
それに恐怖しつつ、小夜へ言う。
「グループでも言っただろ。今日は休む、って。」
「は?そんなこと言ってないじゃん。」
言ってたのになぁ、と思いつつ、おれが送りきれていない可能性も考え、確認する。
数あるチャットの中から、目的のチャットを選び取り、タップする。
そこにあったのは、送信が上手くいかなかったことを表す記号と、送られたように見えるトークだった。
「ごめん。送信上手くいってなかったみたいだわ。」
こんなこともあるのか、と面倒に思いながらも、どうにか小夜へ言葉を紡ぐ。
「それなら仕方ない、かもね。でもびっくりしたんだから!今度お詫びしてよね。」
受け入れたら、無条件に小夜の、もしくはユリの我儘をひとつ聞くことになる。
それでいいのか、と考えながらも、
「小夜は相変わらずだね」
と、曖昧な返答を返す。
楽しそうに笑う小夜。
その笑い声は、母さんと対照的で。
「少しは変わったもん。身長とか。」
一体いつとの比較なのだろう。
そう思いつつ、「確かに変わっただろうね、」と返す。
そう言うと、小夜は調子に乗ったように、でっしょ〜?と明るく返す。
その明るさに耐えられそうにないおれは、逃げることにした。
「おれ、もう寝ていい?あんまり体調も良くないし、」
「そっか、おやすみ、星」
自分が卑怯なだけかもしれないが、素直すぎないか?と思ってしまう。
今はその好意に甘えて、寝させてもらうことにする。
「おやすみ。」
それだけ言うと、通話を切ることもしないうちに、全身が限界を迎え、すっかり寝てしまった。
「なんでそんなにできるの?」
手先の器用さや実務能力に対して言われたこと。
可愛いとか、主観に当てはまる部分はさておき、他の、客観的に見た事柄に対する質問と仮定したとき、私はこう答えることしか出来ない。
「文字通り死ぬ気で努力したからだよ」と。
見てくださりありがとうございました!!
そしてではまた次回でっ!




