第二十五話
姉さんのことだ。家族のグループチャットに何か送っているか、置き手紙でもしているだろう。
そんなおれの宛は見事に外れ、姉さんの帰宅か連絡を待つ、もしくは探しに行く、ということ以外にできることがなくなってしまった。
一連の行動のやその結果のせいか、母さんの心配は増す一方だ。
母さんの表情には心配を通り越して焦りが滲んでいる。まさにこの世の終わり、という言葉がよく似合う表情だ。
ふと、姉さんの友達に連絡を取れればな、と思った。その途端、ひとりの顔が思い浮かぶ。
「ちょっと自分の部屋行ってるわ。なんかあったら呼んで。」
その人に連絡を取るために、自室に籠もる。
本当に連絡がつくのかはわからないが、それでもまだ望みはある。
今は、母さんの安定、そして家庭の崩壊阻止のためにも、多少の賭けをしたいと思った。
電話のコール音が部屋中に響いている。正しくは、響いているように聞こえるだけだろうが。
1コール、2コール、3コール、4コール。
出ないかもしれない、と思った5コール目で、コール音が途切れた。
「はい、橘です。」
そのひとは、おれの想像する名字を名乗った。
「えと、如月です。いつも姉の夜那がお世話になっております。」
なるべく丁寧な口調で返す。姉さんの所在について聞く前に悪印象でも持たれて、聞けないなんてことになったら最悪だから。
「あぁ、確か…星さん、だったかしら?こちらこそ、夜那にはお世話になりっぱなしよ。で、弟くんがこんな時間にかけてくるなんてどうかしたの?何かあった?」
流石オタ友、というだけあり、相手のことを考えない、有無を言わさぬような勢いで話す。
そんな話し方は、姉さんにそっくりだ。
「えと、姉さんがいなくて…どこに行ってるかわかりませんか?」
無理矢理に繋がされた連絡先。それがまさか、こんな形で役に立つとは。そう思いながら、橘さんの返答を待つ。
「夜那ならうちにいるけど…どうかしたの?」
まさか、こんな早くに所在が掴めるとは、と思わず拍子抜けする。
そして、急いで母さんに知らせなければ、と思ったおれは、先程の橘さんのように、有無を言わさぬ速度で話し出す。
「そうですか。それなら姉さんに、家族に連絡しろ、って伝言お願いします。要件はそれだけです。ありがとうございました。」
それだけ言ったおれは、慌ただしく通話を切った。
今回の話で一番悩んだ&時間をかけたのは橘さんの名前です。
絶対悩む所違う(((
さて、無事に毎日投稿は続いております。というより今日から12月ですって。早すぎる。
あ、いつも見てくれている皆様ありがとうございます。そして相変わらずのタイトル詐欺でごめんなさい。
ではまた次回。もしくは別作品で。




