第二十三話
おれが本当に避けたかったのは、
罪悪感。そして…
「大切な誰かを、失うこと」
その言葉と共に、封印していた自分の記憶が思い出される。
『れいにーちゃん!』
『おー、なんだ、星?次は何で遊ぶ?ブロックか?パズルか?』
そういって明るく笑うれいにーちゃん。
『こら、零!星を甘やかしすぎるなって言ったでしょ!』
あとアンタはブカツ!と不思議な単語を使うママの言葉に、にーちゃんが焦り出す。
『あ、やべ。いってきます』
ご飯も食べないでいいのかな?と思いつつも家を出ようとするにーちゃんを、少し前に起きてきたねーちゃんとぼくのふたりでにーちゃんを送り出す。
『にいちゃん、いってらっしゃい!』
たまたま起きてきたねーちゃんと、ふたりでにーちゃんを送り出す。
送り出したときには、思ってもなかったんだ。
にーちゃんがいなくなるだなんて。
このときが、起きたにーちゃんを見られる最後の時だなんて。
にーちゃんは、突然いなくなった。
〝おれは遠くに行きます。きっと二度と会えないです。ごめんなさい。〟
って手紙があった。
ぼくは泣いた。
ママも、パパも泣いてた。
ねーちゃんは、すぐに部屋に戻っていたからわかんないけど、多分泣いてた。
きっと、わかったんだろうな。遠くに行く、の意味が。
父さんも、母さんも、そして、そのときはまだ小学生だったはずの姉さんも。
おれたち家族は、家の長男である兄、もしくは息子のれいを失った。
どんなに思い出そうとしても思い出せない、にいちゃんの名前の漢字。
それは忘れただけか、あるいはそもそも知らないのか。
人はみな、忘れていく。おれがにいちゃんを忘れていたように。
だからおれは、恐れていたのだ。
誰かを失うことを。そして、そのひとを忘れることを。
いつの間にか、雪が降っていた。
その雪はまるで、過去のぼくたちの、そして、今までのおれたちが兄ちゃんに向けて流した涙かのように思えた。
※今星はだいたい11月中頃の北海道を生きています。
まさかの新キャラ登場。
零、ごめんよ。
見てくれた皆様ありがとうございます〜
ではまた次回。




