海鮮!
「巨大な焼きホタテぇーーー⁈」一同騒然
「ホタテじゃない、ハマグリだ!」
かなり重大なミスをイケおじが指摘した
「ハマグリ!」
よく見ると、確かにお祝い膳のお吸い物などによく入ってる
ハマグリ
だった
ハマグリとアサリは似てるので、
「巨大アサリ」
の線も捨て切れなかったが、ここは「ハマグリ」で統一することにする
バリバリガシャーン!
巨大ハマグリは、ホテルの大きなガラス扉をその硬い殻で体当たりして破壊した
「なっ…!あのガラス、いくらすると思ってるのよ!許せない!」
喫茶店経営、梨乃さんは値段の見当が付く分怒りをあらわにする
以前酔った客に店の1番大きな窓のガラスを割られて、酷い目にあったのだ
キャーワーギャー
驚きから我に帰り、
ロビーにいた人間たちが慌て始める
いくらハマグリといえども、このサイズ感(目測10メートル✖️8メートル)はかなり怖い
しかも中から
ピコっ
と中身(塩をピュッと吐き出すところ)が見えた時には、
なかなかの気持ち悪さに悲鳴の音程が変わった
ピュッと吐き出された何かがホテルの赤絨毯に落ちると、
なんと
煙とジュッという音を出しながら繊維を溶かしたのだ!
酸性だ!!
「ぎゃーーー」
思ったより化け物の本気を感じた一同
「なあ、アイツはスキーマーか⁈」
半蔵さんがイケおじに聞く
「ええ、間違えありません!
アイツは
宇宙怪物スキーマー、
そしてただいま16時21分をもちまして名前が確定しました!
巨大ホターテーヤーキーです!」
「ハマグリゆーてたやん!」
みんな口に出したり心の中で突っ込んだ
「間違えました!
16時22分改名
宇宙怪物ヤンキーハマグレーです!」
「やっぱりなんか違くない⁈」
そんな2度目のツッコミをする間もなく、
ヤンキーハマグレーはホテルのロビーにゴロゴロゴロゴロと入り込んだ!
ロビーに磯風味焼き醤油みたいないい香りがただよう
夕飯前なので三郎さんはちょっとヨダレが出た
「やるな、ヤンキーハマグレー…」
右手の袖口でヨダレを拭う
三郎さんの右手の袖口はいつもちょっと汚い…
「こうなったら、変身です!みなさん!
しかし一般市民にその姿を見られるのもナンですから、
そこの屏風の後ろに来て下さい!」
変身?
他の客と従業員が訝しんで還暦たちに注目する
イケおじはほぼほぼネタバレみたいなことを言い放ったが、還暦たちはとりあえず従った
昭和のホテルにありがちな、
デッカいキンキラの虎と龍を描いた屏風は、還暦4人と売れない漫画家さん、こまちちゃん、イケおじを隠すにはまあ十分であった
「センス古っ!
このホテルは近いうちに大手チェーン店系ホテルに買収されそうですね!」←イケおじ
「そんなことはいいから!」←梨乃
「はい、タスキです!!!」
イケおじはスーツの内ポケットからタスキを取り出し4人に配った
イケおじの体温で少し温められたタスキを皆はモタモタしながら体に掛ける
ピカーー!
屏風の面からは、眩しい四色の光が漏れてくるのが見えた
「変身!」←半蔵さん
「コウレイジャー!!」←4人
「コウレイジャー赤!」←半蔵さん
「コウレイジャー青!」←秀治さん
「コウレイジャー黄色!」←三郎さん
「コウレイジャー、どピンク!」←梨乃さん
「4人合わせて!」
「地球機密!還暦戦隊コウレイジャー!!」
熱海行きの電車の中で、ノリノリで考えた変身シーンが炸裂!
(さっき聞いたばかりの「地球機密」は半蔵さんがアドリブで付けました)
みんな「ヨシッ」みたいなキメ顔をする
次は1人1人「決め台詞」も考えなきゃ…!秀治さんは心にメモした
『ギュルルー』
ハマグレーはけったいな雄叫びをあげ、人間たちを震え上がらせる!
そしていい匂いを撒き散らす!
焼いた魚貝と醤油のアレ!絶対美味いやつ!
「く、卑怯な…!
ここはおいどんがやっつけるでごわす!」
別に薩摩出身でもないが、自分のキャラを分かっているのか三郎さんがごわすごわすと言い出した
多分カレーも好きなタイプであろう
「必殺!スモークandスメル!!」
「まて、やめろっ」
秀治さんの制止は届かず、三郎さんはお尻から強力なオナラをくり出した!いや、ひねり出した!
「クサッーー!」
怪物より三郎さんのそばにいるその他のコウレイジャーたちが弱る
しかし…すぐに、その匂いは美味しそうな海鮮の香りにかき消された
「攻撃無効化⁈」
「三郎さんのオナラが混ざっていると思うと複雑だけど、ハマグレーのいい匂いが勝った…」
ガクッと膝をつく三郎さん
「もはやこれまでか…」
「早いわっ」
今度は秀治さんが怪物に相対する
「今度はオレが相手だ!(言ってみたかった)
必殺!ボイル!!」
「そ、それは…っ」
漫画家さんが何かに気がつく
いや、その辺の人間の8割くらいが気がついた
ボイル攻撃を受けても、ハマグレーはぜーんぜんヘッチャラな顔をしている(顔?)
「もうヤツはいい感じでボイルされてんですよ!」←売れない漫画家さん
「またしても無効化か…!!!」
頭脳派秀治さんも敗れ去ったてしまった
(てか本当に頭脳派を名乗っていいのか怪しくなった感じだ)
だが大丈夫、年の功が幸いしてコウレイジャーたちはそこまで焦っていない
そんな謎の余裕なのか、どピンク梨乃さんはチラリと不倫一同様を見た
「あちゃー」
思わず声が漏れる
この非常事態の中、
夫は妻を守らず、愛人の肩を庇うように抱いていたのだ
悲しそうな妻の顔を見ると心が傷んだ
「戦いが終わったら、きっと離婚ね…!」
梨乃は言う
「私が、倒す!
宇宙怪物も、不倫夫もね!」
文学フリマにコウレイジャー熱海編文庫本頒布予定です(^人^)
ひとつよろしくお願いします…!




