ついてきちゃった!
女神の言葉を信じるとすると、あの小説の通りならばこの方法で取得できるはずだ。
まずは息を整えて目を瞑り、意識はお臍の下あたりへ集中させるのだけど、これがとても難しい。
この身体はまだまだ小さいため、呼吸はすぐに浅く、速くなってしまう。
それでもなんとか息を整え、目を瞑る。
瞼越しの明るさが消え、やがてドクドクと脈打つ自身の心臓の音だけを感じるようになると、そのまま内へ内へと感覚を深く沈めていった。
ゆっくりでいい。
私は魔法がない世界から来たんだから最初からうまくいくとは思っていない。
ただそこにあると信じてひたすら続ける。
どれくらい時間が経っただろうか。
微かにだが熱を感じたような気がした。
おそらくこれが魔力だ!
その感覚を忘れないようにさらに意識を集中させるが、せっかく掴みかけた熱は指の隙間からこぼれ落ちる砂のように、じわじわと霧散しそうになってしまう。
(大丈夫...諦めなければ必ずものにできる)
焦る気持ちを無理やりに押し込んでそう自分に言い聞かせる。
もう一度、もう一度!
何度も繰り返しているうちにだんだんと熱が大きくなっていくのを感じる。
〔ふふ、頑張っている子は応援しなくちゃね〕
どこからかそんな声が聞こえた気がした。
そうして遂に自身の中にしっかりと熱が灯ったのが実感できた。
まずは、第一歩。
[スキル:魔力感知を取得しました]
っ!!このアナウンスは!?
脳内に響いた無機質な音声に、張り詰めていた意識がハッと現実に引き戻される。
その衝撃に思わず瞳を開けてしまった瞬間。
〔もう一踏ん張りだよ!〕
そんな声と共に目の前にまあるい光が現れた。
「あ...ぶぶっ」
びっくりして声が出そうになったのを慌てて手で押さえる。
しまった、あの精霊さんが飛んでくる...!と焦ったが、なぜか部屋の空気はピタリと止まったように静まり返っていた。
そんな私の様子を見た光は、おかしそうに瞬いた。
〔ふふ、大丈夫。外の人は誰も気づかないようにしてあるから。それより――〕
(...さっきの声もそうだけれど、この光はもしかしてーー)
脳裏にあの時の記憶がよみがえる。
どこまでも続く広い空間の中、優しい風を纏いながら現れた光の玉。
どこか遊んでいるように飛び回り、気づけばどこかへ消えていた。
「あうあー?(君はあの時の光?)」
その問いに応えるように、光は嬉しそうに大きく輝いた。
〔ふふ、正解! ――ほら、せっかく掴んだ魔力なんだから身体中に巡らせなきゃ! 〕




