第八話 おやおやおや?
英語の授業のシーンは軽く読み流してください。m(__)m
少し描きたかったので描いただけで、ストーリー進行的には少ししか重要度がないですから……。
彼が伝説となって数日。
学校生活にかなり慣れてきた。
隣の席の佐藤くんもクラスでかなり人気になっていた。
やはり最初の三日間は初日の自己紹介やシンデレラ事件もあって、単にやばそうなやつといった印象が強かったが委員会決めでかなり印象がガラリと変わり、すごい奴となった。
しかし、彼のつぶやきは相変わらずで「フッ、何か主人公っぽいことはないか?うーん、英語が喋れれば主人公っぽいか。でもどうすればいいのか」などと呟いているのは割と日常茶飯事だ。
そして、たまにであるが、彼に話しかけることもある。
授業中、少しだけわからないことや提出物についてなどだ。
そうして一日、一日が過ぎていく。
◇◇◇◇
ある英語の授業。
「先生はどうしてそんなに英語が話せるようになったんですか?」
ある生徒が尋ねた。
「う〜ん。まずよく聴いてよく読むことかな。英語っていうのは日本語にない音がたくさんあるからまずその音をある程度聞き分けるためにたくさんの英語の音声を聴いて、単語や内容を取れるようになるのがまずは第一歩」
先生は黒板の前を端から端へゆっくり歩きながら、生徒たちの顔を見渡した。真剣な表情で聞き入る生徒も少なくない。
「次にたくさん読むこと。受験英語じゃなくて日常レベルの会話なら聴いて話せればいいと言っている人もいるけど案外そうじゃないんだよ。日本語だってそうでしょう?ある程度、文章を読んでいないと瞬時に言葉が出てこないんだよ。そりゃ、片言で良ければ、聴いてそのまま何回か話していたらそれなりに勢いとジェスチャーで伝わるけど……。例えば」
先生が首を傾げ、手を横に広げて、無言で何か伝えようとした。
「これ何が言いたいかわかる?わからないでしょう?ちなみに、『あなたたちは昨日の夕食何食べたの?』って意味だけどわかった人いたかな?手を挙げてみて」
先生が促すが、もちろん誰も手をあげるものはいない。
「そう、これなんだよ。少し複雑な意思だと相手に伝えることができない。だから『What did you have for dinner yesterday?』という感じで言葉を口にしないといけないんだけど、これって聴いているだけだと正確に組み立てられないんだよ。だからある程度の基本的な文法能力を養うためにも、たくさん文章を読んだ方がいい。そして、いいなって思った文章があったらどんどん覚えていくとどんどん喋れるようになるよ」
先生は少し笑みを浮かべ、話を続けた。
「そして、これだけだと実は自然に喋れるようにならないんだよ。そう、実際にネイティブに向かって話さないとね。英語の授業でもある程度スピーキングのアクティビティを行うけど、それだけで自然に喋れるかと言うとそうでもないんだよ。だって、思考スピードや発音スピードが同じ相手と第二言語で喋れるのは当たり前でしょう?だから、ネイティブ相手に実際に話してみると案外自分の発音が遅いなとか次の文章がすぐに出てこないなって言うのがわかって非常に有意義なんだよ」
少し隣で息を呑む声が聞こえた気がする。
「じゃあ、ネイティブと話すにはどうすればいいのか。これに尽きるよね。よく言われるのは海外留学すること。でもこれってお金がかかるし、向こうの生活に慣れるのも大変なんだよ。食文化や気候も違うからね。もっと身近な方法があるでしょう?」
先生は、少し考えさせるように間を置いた。
やはり、英会話教室とかかな?
「実は外国人観光客を案内することなんだよ。ここら辺に結構観光客が多いでしょう?彼らはもちろん下調べもして十分に旅行に楽しむ準備もしてきているけど結構私たちが知っていることでもあまり知られていないことがたくさんあるんだよ。だから私が大学生の時は、頑張って話しかけて、通訳まがいのことをして英語力を上げていたな。もちろん向こうの人たちもちょっと強面に見えるけど旅行している人は結構親切な人が多くて『I'm college student and I want to improve my English ability.(私は大学生で英語の力を上げたいんです)So could you let me show you the way?(だから道案内させてもらってもいい) 』ていうと大体の人は『OK.(いいよ) We don't worry about your mistakes.(間違いなんて気にしないし) Keep it up!(がんばれ)』っていう感じで返してくれるからどんどん話しかけてみるのがいいよ」
先生がクラス全体を見渡した。
「まあ、高校生の君たちには難しいか」
先生がそう締めくくると、クラスではどっと笑いが起こった。
◇◇◇◇
放課後。
今日は漫研に行く。
結局、私は漫画研究部に本入部することに決めた。
そして、里奈は週の月金だけ来ることに決め、真衣は普段はあまりこないが一応部員になっておいて暇な日に来るようにしたそうだ。
順調に同好の士が集まっている。
次はどのようにして同好の士を見つけ出そうか考えいるうちに漫研の部室の前にやってきた。
入り口には相変わらずクルッポンが描かれていた。
コンコンコン「入りま〜す」
そう言って入ると、今日もしっかりと小柳先輩は机に座っていた。
うん?机に座っている!?
「ちょっと先輩!机は座るところじゃないんですよ。そしてスカートなんですからちゃんと椅子に座ってください」
「え〜。いいじゃん。男子も来ないし」
「ダメですよ。もし仮に入ってきたら気まずいじゃないですか」
そう言って先輩を椅子に座らせて、一応問い詰める。
「それでどうして今日は机に座っていたんですか?」
「いや〜、このラブコメのシーンの描写が気になってね。机に座って待つ側の気持ちになろうかなって…」
先輩は大体こうだ。部室に来るたびに奇行に走る。
そして私が来て、注意をする。
これが大体お決まりになりつつある。
他の人がくる日、例えば里奈が一緒にくる日だとこんなことはないのに。
「そういえばさ、あなたのクラスってシンデレラくんがいるクラスだよね?」
「はい、そうですけど」
シンデレラくん。それが佐藤くんのあだ名だ。このあだ名は四つの委員会を兼任するものという噂や2年生の間ではヤバい奴(氷室先輩というらしい)に告白した奴という情報とともに広まっているそうだ。
「彼、なかなか面白そうじゃないかな?」
「と言いますと?」
「よくあなたがさ、積極的に勧誘しようとしているじゃない?例えばあの二人とかね。彼を加えたら、面白いんじゃない?聞こえてくる噂は愉快なものが多いし」
「いえ、彼はすでにサッカー部に入っていますし、誘わなくてもいいんじゃないですか?」
「そんなこと関係なんじゃない?真衣って子も陸上部だけど漫研にも入部しているじゃない」
「まあ、でも…………。でも、彼はここにくるような役柄じゃないっていうか………」
「おや。じゃあ、私が直接会って判断してみてもいいのかな?」
「いや、えっと。その……」
「おやおや、あっちゃダメなのかい?少し勧誘させてもらうだけだよ」
「え〜っと。その〜〜〜〜」
「おやおやおや?もしかして?」
「な、なんですか!別にそんなことはないですよ。先輩が想像しているようなことは」
「あれぇ?私は『もしかして』と言っただけだけれども?それとも何かあるんですか」
「先輩のラブコメ脳!!」
「いや、それ悪口じゃないからね」
結局そのあと部活動はオセロになった。
私はオセロが結構強いのだ。
みんなでやった時は少し手を抜いて先輩も勝てるようにしていたが、今日は容赦なく叩き潰した。
決して八つ当たりではないのだ。
そう、八つ当たりじゃない!




