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どこまでもモブだけど主人公になりたい佐藤くんがかっこいいことを私だけが知っている【青春】  作者: 大山小水


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第三話 ようこそ!(歓迎)

少し主人公パート

入学してからはや三日。


少し登下校の道にも慣れ、校門前の桜も散り始めている。


今日も私は少し気合を入れて教室へと踏み出す。


そして、昨日話した真衣と里奈を見つけたので話しかけようと思ったが、どうやら何か話しているようだ。


「ねえねえ、昨日の話、聞いてよ」


「いや、その話何度も聞いたわよ。例の子がスパイクもシュートした話でしょ」


「そうそう。グラウンドの人全員の視線がこうギュッと集まって、すごい空気だっただよ」


そう言って、里奈は手を握って、その時の様子を表現しようとしていた。


「そしてさ、すごい厳しそうな野球部の監督も、あっ、おはよう」


私もすかさず「おはよう」と返す。こういう時、すぐに返事をしたほうがいい。様子見ではいつまで経っても距離は詰まることはない。


「あ〜、そういえば、昨日どこに部活動見学に行った?ちなみに、私は陸上部ね」


「どこにも行ってないわ。あなたほど元気じゃなくてね」


「私は昨日どこにも見学に行かなかったな。図書室に行きたかったから」


そう私が答えると、里奈が興味深そうに「図書室?」と聞き返してきた。


「この学校に図書室なんてあったんだ。よく二日目で見つけたね」


「いや、(ライトノベル)が好きだから…」


ここで重要なのは好きなものを聞かれた時はまず本と言っておくことだ。ライトノベルと直接的に言ってはいけない。


ライトノベルに対する世間の評価もとい高校生内の評価は非常にややこしい。


そういうものに寛容な人や理解のある人が多いのは確かだ。


しかし、そうでない人ももちろんいる。そしてそういう人に限ってオタクがどうとか言ってくるのである(幸いにもまだそこまで直接的に非難する人間には出会ったことがないが)。


だから、情報の開示は徐々にしていくのがいい。


そして、相手の反応を見ながら『同好の士』をこの教室から探し出すのも高校生活のミッションである。


「私はあんまり本は読まないからなぁ。本読むより体動かすほうが好きだし。そんな私でもなんか読める本ないかな?」


なるほど、真衣は初心者と来たか。


しかも体育会系のようだ。


そうすると、あまり設定の深すぎると最初は楽しめないし、感動ものもある程度ライトノベルを読んでからの方が味わい深い。


となるとおすすめはギャグ系とかアニメ化されてるやつかな。


「じゃあ、『この素晴らしい世界に祝⚪︎を!』っていう本がおすすめだよ。図書室にもあったし、非常に読みやすいし、結構ギャグが多いから今までの本と違って結構読みやすいと思うよ。確か図書室にもシリーズがあったから、せっかくなら借りてみるといいよ」


「わかった。じゃあ、今日の放課後借りに行ってみるね!」


じわじわとこちらに引き込んでいくのだ。


同好の士を見つけ出すのがミッションと言ったが、作り出す方が手っ取り早いのだ。


「私はお勧めしなくていいわよ。ある程度本を読むのが好きだし。ちなみに、結構そういう本も読むから気にしなくていいわよ」


ほう。これまた里奈も同好の士であったようだ。


「明日、この三人で学食に行ってみない?少し気になっていたんだよね、学食」


「まあ、いいよ」「構わないわ」


「じゃあ、決まりだね。明日はお弁当持ってこないようにね!」


早速、親に明日学食で食べる旨のメッセージを送った。


◇◇◇◇


放課後になった。


隣の席の彼は、相変わらず授業中は活発に発言していた。


でも、グループ活動の時、積極的にクラスの前でグループで発表しようとするのはやめてほしい。


また休み時間、彼はシンデレラと呼ばれていたが、それに気に留める様子もなくむしろ「フッ、主人公はどうしても目立ってしまうようだな。物語は俺を中心に回っているようだ」と呟いていた。


彼が昨日の朝に先輩にモルモットにされかけていた時はあんなに精神的にないっていたのに、今回はどうしてそこまでダメージを受けていないのか、少し不思議だった。


まあ、そんな彼のことはさておき、今日は私は仮入部に行くことにする。


どのような部活に行くのか?


まず、私は運動系ではなく、文化系がいい(継続できるから)。


そして、適度に活動しているところがいい(がそんなガツガツしていないところがいい)。


最後に重要なのだが、同好の士が見つかる部活であることである。


これらの条件に合う部活が一つだけある。


そう、『漫画研究部』だ。


私は、それなりに(と言っても初歩的な)イラストを描くことができる。


まあ、ライトノベルを嗜む者だ。誰しも、一度は絵に憧れることだ。


中学の頃、何も書けない状態で入ってからそれなりに部活へ行き、それなりにイラストを描き続けてきたのだ。


ぜひとも、高校でも入った方がいい。


適度な緩さがあり、適度な人の集まりがある。それが非常に居心地がいいのだ。


そして、あの部活には、だいたいがこちら側の人間なので、ライトノベルの会話がオープンにできる。まさに理想郷だ。



漫画研究部と書かれた教室の前にやってきた。


そこには、アニメ調のキャラクター(たしかこの学校のマスコット的存在だった)が『ようこそ漫研へ! 自由に入っていいポン』と言っていた。


少し立ち止まって、どうして鳩なのに語尾はポンなのか?とふと考え込んでしまったが、こうして廊下にいるのも変だと思われると思い、ノックをしてはいることにする。


コンコンコン。ガチャ。


「あのう、漫画研究部はここであっていますか?」


そう私が声をかけても、返事はなかった。


「ここは漫画研究部ですよね!」


そう私が声を張り上げると、ガタガタッという音がした。


「どなたかいらっしゃるんですか?」


私がそう言うと何かこもった音が聞こえてきた。


「どなたかいらっしゃるんでしたら、返事をお願いします!」


先ほどより大きくガタッと音がすると、突然、ロッカーが開いた。



「ようこそ、漫画、研究、部へ、がくり」


出てきた女性が、自ら「がくり」と言う擬音を自分でつけながら部室にあった長机に突っ伏した。


変人二人目……。


7月24日 修正

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