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どこまでもモブだけど主人公になりたい佐藤くんがかっこいいことを私だけが知っている【青春】  作者: 大山小水


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第十九話 改善

数日後の朝、私は彼を見かけた。


少し小雨が降っていて、校門から校舎に伸びる道は少し水たまりができていて、彼以外に立っている選挙の候補者はいなかった。


彼はビニール傘で、いつにも増して声を張り上げて、挨拶をしていた。


「こんにちは。佐藤裕樹です。勇気が取り柄。元気が取り柄の佐藤です。学校を元気に明るくしていきますので、よろしくお願いします」


先日聞いた時よりも挨拶は洗練されていて、何か成し遂げたいという意思がひしひしと伝わってくる。


でも、彼に目を向けるものはいない。


みな、まるで彼を避けるようにそそくさと駆け足で彼の目の前を通り過ぎていく。


私は雨だから仕方ないかと思いながらも少し残念に思い、ゆっくりと校舎へと向かっていった。


◇◇◇◇


「おっはよう!今日は天気が悪いね!私は少しこのジメジメ感が好きだから元気だけどね」


「まあ、まだ春だからすぐにこの雨雲たちも流れちゃうわよ」


「え〜、なんとかしてよ」


「いや、雨で濡れると困るしさっさと雨は病んでくれるに限るわよ」


「そんなこと言わずにさぁ」


そんな真依と里奈が話しているのが聞こえてきた。


「二人ともおはよう、今日も雨だね」


「おはよう、ねえ聞いてよ、里奈ったらひどいんだよ。雨が終わって欲しいって」


「いや終わって欲しいよ、降らないに限るよ…」


「え〜、そんなことある?」


「もう諦めなさいよ。ここでは二体一であなたに分が悪いんだから、引き下がりなさいよ」


「え〜、う〜ん。まあ、とりあえず違う話しよっか」


「あら、露骨に話題を変えてきたわね」「あはは」


「まあ、いいじゃん!そうそう、校門で今日も佐藤くん挨拶してたね」


「雨なのによくやるわよね」


「そうだね。ほんとよくやると思うよ。私も」


私がそう言うと、雨音が強くなったように感じた。

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