第十八話 図書室にて
翌日の朝。
いつものように登校していると、校門付近で誰かが、何か宣伝しているのが見えた。
生徒会選挙の候補者たちだ。
「おはようございます。私は会長候補の福井です。元気で明るい学校づくりを目指して頑張ります!よろしくお願いします」
「皆さん、おはようございます。会長候補の斉藤奏です。これまでの伝統に、新しいメロディを。斉藤奏が新しい学校を奏でます!よろしくお願いします」
「ええっと、副会長候補の……」
候補者が立ち並ぶ中、一番校舎に近い方で、先日の外国人観光客に向かって話しかけていた時と同じように、笑顔で、声を張り上げている佐藤くんの姿があった。
「こんにちは。佐藤裕樹です。学校を楽しくしていきたいと考えています。よろしくお願いします」
佐藤くんは二年生ばかりいる中に、物怖じすることなく、懸命に声を張り上げていた。
でも、やっぱりちょっと何か物足りないような気がする。
私の前にいた先輩たちもそう感じたのか、候補者たちが並んでいるところから十分離れた校舎の階段に差し掛かったタイミングで、呟いていた。
『なーんか、あの一年、ちょっと場違いな感じがしちゃうよね』
『あー。そうだよね。ちょっと実力不相応な感じがねぇ』
『まあ、誰がなっても変わらないしねぇ、生徒会なんて』
『ほんとほんと。別に何か変わるわけでもないし。でも、一年がなるのはちょっとねぇ』
そんな呟きにちょっとムッとなりながら、早足で自分のホーム教室に向かった。
◇◇◇◇
放課後。
今日は図書委員のシフトがある。
図書委員の仕事といっても、そこまで大変な仕事もなく、ただ本を借りにきた人がいたら、貸し出し処理するだけで、ずっと座っていればいいだけだ。
その時間は「受付に座ってさえいれば、本を読んでいても、勉強していてもなんでもいいわよ」と司書さんがいっていたので、言われた通り、一冊だけ本を取ってきて、読み始める。
ライトノベルは、読んでいて非常に楽しい。
途中で絵があるから、使われている言葉がそこまで難しくないからと言うこともあるが、何より気楽に読める。
文学作品などはやはり読んでいると少し疲れるし、たまに表現がわかりづらく、前後に返ったりして何度も繰り返し読んでいるうちに物語が像を結び、楽しむことができる。
しかし、やっとのことで結ばれた像があまり合わなかったりすることもある。
一方でライトノベルは気をぬいて、流し読みをしていても、像がしっかりと頭に結ばれ、簡単に楽しむことができる。
そんなことも考えながら、ページを繰っていく。
ーー
ちょうど読み終えたと言うタイミングでちょうどシフトの一時間が過ぎた。
司書さんには「今日はここまででいいよ。あとは本をここで読んでもいいし、家に帰っちゃってもいいし、好きにしていいよ」と言われたので、しばらく図書館でライトノベルの続きを読もうと思い、次の本を取りに席を立った。
私がライトノベルの本棚の近くにいく途中、図書室の机に向かっている佐藤くんがいた。
そして、おもむろに立ち上がり、図書室の外に行ってしまった。
彼が、図書室に来ているのは私が来ている時では見たことがなく、なんで彼がここにいるのだろうかと思い、彼の机の方に近づき、ちらっと置かれているものを見た。
そこには、びっしりと書き込まれたノートが広がっていた。
上の方に【生徒会選挙に勝つためには】と書かれていた。
・朝の挨拶活動
→朝に挨拶することが可能であるのでできる限り、周知する必要あり。
朝からしっかり挨拶をすることで、明るい、元気といった印象を与えられる。
サッカー部の朝練はこの期間だけ、お休みさせてもらう。
↑(顧問の先生に確認済み!)
出入り口が何個かあるので一日ごとに挨拶する場所を変える
反省
少しキャッチコピーが弱く、あまりいい印象を与えられていなかった(要修正)
先輩方を参考に〇〇と言えば佐藤といった感じフレーズを考える。
・生徒会選挙の公約
より楽しい学校に!(ここが核心)
→明るく挨拶を行なっていく挨拶週間のようなものを
率先して挨拶を行なっていく
何事も応援できる、応援する生徒会
→サッカー部の先輩が、学校対抗戦だけでも応援に来てくれると嬉しいといっていた
生徒会が応援できるようにサポートしていく
ポスター作成?対戦日程をまとめた紙を配布?
↑先生にどのようなことをやっているのか聞いてみる
・昼食時の宣伝活動
〜〜〜〜
少し読み込んでしまい、佐藤くんが帰ってきそうだと感じた私はそそくさと自分の読み終わった本を本棚に戻して、新しい本を手に元の椅子に戻った。
佐藤くん、頑張っているね




