第十三話 彼と英語と
土曜日は小柳先輩に貸してもらった洋書を読み進めているうちにあっという間に時間が過ぎていき、例の真衣と里奈と一緒にショッピングする日がやってきた。
洋書は、非常に面白かった。
一番印象に残っているシーンはスティファニーがみんなの前に出て発表をするシーンでのジョージのセリフで。
『|Blushing isn't a defeat.《赤面するのは負けじゃない》|It's proof you were brave enough to try.《お前が十分に挑む勇気があった証拠だろ》』
あがり症だったスティファニーを励まし、結果、スティファニー発表を成功させ、物語が続いていくものだ。
私はまだスティファニーのようにみんなの前に出て発表を一人でしたことはないし、きっとしたとしても、あまり上手にできないかもしれない。
でも、その時には、頑張ってこの言葉を元に自分を奮い立たせようと思う。
さて、家を出る時間だ。
カバンを持って、忘れ物なしと。身だしなみもOK。
「じゃあ、お父さん、お母さん。行ってきます!」
「行ってらっしゃい」「気をつけていくのよ」
家の扉の鍵を閉め、私はいつも通りヘルメットを被り、自転車に乗った。
自転車で最寄りの駅まで向かう。
……それにしても今日は暑い。
信号待ちをしている時、日光が私を刺すように特に光り輝いているように思えた。
そんな時、普段隣の席で聞いているような声が聞こえた。
ふと声がする方に向いてみると、普段教室で見かける佐藤くんがいた。
「Hello.|I'm a high school student, and I'm practicing my English today.《私は高校生で今日は英語の練習をしています》|Can I help you with directions?《道案内してもいいですか》」
「|It's great!《素晴らしいね》|Sure, you can practice with me.《もちろん練習してくれていいよ|I want to go to...《私が行きたいのは…》」
彼は英語を使いながら1人で外国から来た観光客たちを相手に話していた。
私はふと、先々週の授業での先生の「英語を実際に喋れるようになるには旅行客に道案内するのがいい」という言葉を思い出した。
彼が少しカッコつけていたのは覚えていたが、まさか本当にやるとは思っていなかった。
私も、他のみんなも、話しかけるのは少し怖いし、自分が上手に喋れないとどうなるかと考えると、話しかけるハードルが高いと感じてしまう。
でも、彼は少し違うのかもしれない。
彼は愚直に言われたことを信じて、自分の目標を定め、着実に、努力をできるのかもしれない。
そう考えて、私はすごいな、と思った。
信号が青になったので、私は自転車を漕ぎ始めた。
('Д')彼、すごいね。




