第十一話 洋書
そして、時は流れて、三週目の水曜日。
月曜日は、小柳先輩も委員会だったのと私も里奈も図書委員会があって、真衣は陸上部に行っており、佐々木先輩は普段顔を出さないので、全員が見事に行かないことになり、部活がなかったため、五日ぶりに漫研に行くこととなった。
ちなみに、月曜日の図書委員会はそれぞれの役割分担であった。
新書選定係、書庫管理係、書架整理係の三つに分かれた。
新書選定係は、字面の通り新しく本棚に加えるために購入する本を選ぶ係だ。
書庫管理係は、閉架図書と呼ばれる、図書室に裏側の本を整理する係だ。
そして書架整理係は、出ている本の損傷具合や利用頻度などをみて閉架図書とするもの、処分するものなどを整理し、本棚のレイアウトなどを考案する係だ。
どの係も、一年に二三回活動することになっており、私は個人的に閉架図書が気になっていたので、書庫管理係になった。
ちなみに、漫画研究部は新書への推薦の権利を二十冊分ほど持っているらしい。
もちろん、学校の図書室に置けないものを拒否するために推薦という形になっているが、毎年そのまま推薦がそのまま購入されるらしい。
漫研の特権はすごい。
そして、各図書委員は係とは別で月に一二回貸し出しと返却を行う受付を行わなければいけないらしい。
昼休みと放課後にあって、人が来なければ、ずっと本を読んでいてもいいらしい(素晴らしいことだ)。
そんなことを考えているとあっという間に教室から漫画研究部の部室の扉の前にやってきた。
扉には、先週金曜日に先輩が描いた『芸術は爆発だポン』とクルッポンが吹き出しで喋っているイラストが貼られていた。
先週完成した直後にはなかった、爆発した背景が手書きで描かれていた。
少しまじまじとそのイラストを見つめた後、ノックをして、部室へと入る。
今日も先輩は変なことをしているのかなと恐る恐る覗いてみると、珍しく先輩が、普通に、本を読んでいた。
「先輩、こんにちは」
そう私が声をかけると、先輩は目線をチラリと上げ「こんにちは」と返した。
「今日はなんかしたりしないんですね」
「そうだね」
先輩は短く返すと、読んでいた本に目を向けて、黙々と読み続ける。
珍しくなんともない先輩の様子から始まる漫画研究部はどこかおかしいと、周りを見渡したが、なんの違和感もない。
そこで、先輩が読んでいる本をチラリと見ると、そこには英語で全ての文章が書かれていた。
いわゆる洋書と呼ばれているものだ。
なるほど、先輩が集中して読んでいるのであれば、邪魔をしまいと考え、私はカバンから本を取り出して読もうとした時、先輩は急に何かを思い出したかのように慌てた様子で時計を確認して、いろいろ荷物を持って、立ち上がった。
「これから、ちょっと小一時間ぐらい生徒会室と職員室に行ったりしているから、なんかあったら連絡して。あと、私の本、勝手に読んでいいからね。その本大体一時間ぐらいで読み終わるから。おすすめだよ」
そう言って、バタバタと部室から出ていってしまった。
私と先輩の洋書だけが、机の上で向かい合っている。
読んでくださいと訴えかけてくる感じがしたので、少し手にとってパラパラとめくってみる。
するとついつい文字を追ってしまい、結局読むこととなってしまった。
◇◇◇◇
先輩がちょうど一時間経った頃に戻ってきた。
「おやおや、読んでくれたようだね。あっ、でもまだ途中かな?」
「はい。割と知っている単語も多くて、意外と読めて楽しくなってきたんですけど、一時間じゃ全然読めなくて」
「それもそうだよね。英語の文章って読み慣れないうちはかなり読みづらいし、慣用的な表現はなんとなくわかるけど、一瞬考え直さなきゃいけなかったりするからね」
「スティファニーが街に出ていくジョージを送るシーンまで読めました。スティファニーがドキドキしているシーンが割と情景の描写が多く出てきていて表現的に面白かったですよ」
「そうだよね。ちなみに、その物語はイギリスのコッツウォルズ地方をモデルにした架空の田舎町が舞台なんだ。作者が発表していてね。ちょっと検索させて……ちなみにコッツウォルズ地方っていうのはこんな感じでさ、ザ・中世っていう感じの街並みが残っているところがあって、そこから作者はこの物語を連想したんだろうね」
先輩は、スマホでコッツウォルズ地方の写真を示した。
そこには物語の中で描かれていた石造りの家々の様子やなだらかな丘が広がっており、まさにスティファニーが暮らした農村のイメージそっくりだった。
「一応架空の物語だからしっかりと描写されていて意外と読みやすいんじゃないかな?そうだ、私はすでに何回も読んでいるから、その本しばらく貸してあげようか?」
「えっ、いいんですか」
「うん。読み始めるように勧めたのは私だし、途中で終わっちゃうと気持ち悪いでしょ」
「ありがとうございます」
「全然いいよ。それじゃあ、今日もイラスト描く練習しよっか」
そうして、その日の残りの時間は液晶でイラストを描く練習をして過ごした。
【簡単に注意(''◇'')ゞ】
英語の物語はなんとなく、筆者が思い描いた物語です。
洋書を登場させるために作った話なので、多分検索しても何も出てきません。




