40話 『灯りは、今日も回っている』
40話 『灯りは、今日も回っている』
夜。
灯台荘の食堂には、
柔らかな明かりが広がっていた。
文子さんの湯気。
みかの光。
絵凛のランタン。
そして、
窓の外で回り続ける灯台の光。
住人たちは、それぞれの時間を過ごしている。
透は海の音を聞きながら、
静かに紅茶を飲む。
真昼は手話で今日の出来事を話し、
みかが光で返事を返す。
雫はソファで小さく伸びをして、
「……今日は疲れたけど、悪くなかった」
と呟く。
宙は眠そうにしながらも、
まだ風の話をしている。
「風がね……今日は……えへへ……」
途中で眠ってしまった。
わらわら。
湊は、その光景を少し離れた場所から見つめていた。
静かで。
騒がしくて。
不器用で。
でも、誰も置いていかない。
そんな空気。
ジュンが研究棟のノートを閉じる。
そこには今日も、住人たちの“生きた記録”が並んでいた。
透の音。
真昼の手話。
雫の回復。
宙の風。
湊の呼吸。
そして——
灯台荘の、今日の灯り。
絵凛がランタンを静かに揺らす。
「jun さん。
灯りってね、“消えないこと”じゃないんだよ」
ジュン。
「……うん?」
絵凛。
「ちゃんと、また点くことなんだよ」
その言葉に、
食堂の空気が少しだけ静かになる。
窓の外では、
灯台の光が海を照らしていた。
回って。
消えて。
また回る。
灯台荘も同じ。
少し揺れても。
立ち止まっても。
今日という灯りを、
また静かに灯していく。
そして夜は、
優しく更けていった。




