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34話「残る灯り」
34話「残る灯り」
深夜。
皆が眠ったあと。
ジュンは一人で灯台を見ていた。
静かな海。
遠い波音。
キーボードを開く。
——灯台荘は、特別な場所ではない
——傷が消える場所でもない
少し止まる。
——それでも
——「ここにいてもいい」が残る場所だ
背後で足音。
絵凛だった。
「また夜更かし?」
ジュンは苦笑する。
「少しだけ」
絵凛は隣に座る。
しばらく、二人で無言。
灯台の光だけが回る。
絵凛がぽつり。
「ねぇ jun さん」
「ん?」
「灯台ってさ、“道を教える”だけじゃないのかもね」
ジュンは静かに聞く。
「どういうこと?」
絵凛は灯りを見る。
「“まだ消えてない”って伝えるものかも」
風。
やわらかな静寂。
ジュンは小さく頷いた。
遠くで船の灯りが揺れる。
海は、今日も完全には穏やかじゃない。
それでも。
灯台荘の灯りは、今夜も残っていた。




