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『灯台荘』   作者: 浮世雲のジュン


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22話「制度の向こう側」

22話「制度の向こう側」


数日後。


小さな会議室。


灯台荘のメンバーと、

地域の行政担当者、支援センターの職員たち。


少しだけ硬い空気。


宙が小声で言う。


「風がね、“ちょっとピリッとしてる〜”って」


ジュンが資料を置く。


「今日は、“形にする”話です」


行政の担当者が言う。


「……非常に興味深い取り組みです」


「ただ、制度として考える場合——」


少し間。


「基準が必要になります」


透が静かに聞く。


「例えば、どのような?」


担当者


「利用対象、支援内容、責任範囲、評価指標……」


言葉が並ぶ。


少しだけ、空気が固くなる。


雫が小さくつぶやく。


「……難しいね」


真昼(手話)


「縛り」


ジュンはゆっくり答える。


「……必要なのはわかります」


「でも」


少し間。


「灯台荘は、“固定された形”にすると、たぶん機能しなくなります」


担当者が眉を動かす。


「……と、言いますと?」


絵凛がやさしく言う。


「ここはね、“変わり続ける場所”なんです」


透が補足する。


「個々に合わせて調整される環境ですので、標準化は難しい」


担当者は腕を組む。


「……しかし、それでは制度として扱えません」


沈黙。


そのとき、


湊がぽつりと言う。


「……制度に入らないと、届かない人もいます」


みんなが見る。


湊は少し緊張しながら続ける。


「……でも、制度に合わせると、来られなくなる人もいます」


静かな言葉。


でも、重い。


担当者も少し黙る。


ジュンがゆっくり言う。


「……だから」


「“制度の中に入れる”じゃなくて」


「“制度と並べる”ことはできませんか」


担当者


「……並べる?」



「補完関係ですね」


真昼(手話)


「外側」



「……逃げ場、みたいな」


絵凛が微笑む。


「制度の外にも、“灯り”があるっていう形」


担当者は少し考え込む。


「……新しい考え方ですね」


完全な合意ではない。


でも——


対話は続いている。


宙が言う。


「風がね、“ぶつかってるけど、いい感じ〜”って」

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