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猫と少女と原子炉と宙と  作者: ぽんた7
第三部 決戦
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第六節 代行者

 契約者もキャストも動きを止めた中、同期の光を失っていないのはタマとシェンだけだった。


 イーシャが現象を分析してタマ(と私)に共有する。通り過ぎたのは因子のプログラミング言語による停止命令。これにより元々地球の生物を改造した脳と因子を持つキャストは停止。人間との神経系結合によって命令への抵抗力を持っていた契約猫だが、長時間の戦闘で弱っていた所に来た命令までは拒否できなかった。代行者はこれを狙って消耗戦をしかけていたのか。


 以前、タマがごく弱い衝撃波でキャストを一時停止させた事があった。あれはこういう仕組みだったんだ。今起こったのはそれの逆。代行者が猫に停止命令を出した。


 シェンが抵抗できたのは、その12才という高齢とイーシャさんによる因子言語への介入で神経系が当初の設計から変異し始めていたため停止命令にも容易く抵抗できたから。そしてタマに至ってはその変異がイレギュラーにまで到達していて、もはや停止命令のデコードを自動的に拒否して命令が素通りしていたためだ。


 代行者が埋立地から静かに上陸した。全く重量が感じられない差し渡し5メートルほどの空気の歪みが原子炉建屋に移動してくる。

 横を通るそれを誰も直視できない。進路上から退避するので精一杯だ。目から入った情報を捉えようとすると脳が歪んで軋む。こんなのが敵の本体なのか。


 しずしずと敷地を横切り原子炉建屋に到着した代行者だが、扉や壁などないもののように素通りした。物理的な存在ではなかったのだ。こんなの、どうやって攻撃すればいい? 戦える訳がない。絶望が契約者に広がっていく。


 格納容器まであっさり到達した代行者。その前にイーシャさんとシェンが立ちふさがる。シェンの空間因子が代行者との間に展開。進行を阻む空間障壁が形成される。単なる障壁ではなく、空間の構造にまで食い込む強固な壁。


 代行者が障壁に触れる。透過はできないようで進行は停止した。しかし次第に障壁が侵食され始める。イーシャさんは融合同期の最深部に入り、シェンと一体化してすべての出力を障壁に注ぐ。イーシャさんの目が完全に銀色に変わり、体の輪郭がぼやけ始める。同期第3段階の最も深い領域。融合の危険域。長くは持たない両刃の力だ。


「I'll hold them off. Do something while you can.(時間を稼ぐ。その間になんとかして。)」──イーシャさんの声が、同期を通じてユキに届く。



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