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猫と少女と原子炉と宙と  作者: ぽんた7
第三部 決戦
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第五節 崩れる外壁

 開戦から8時間。太陽が中天から西に傾き始めている。しかしその輝きを他所に、土壁周辺の消耗戦は限界に近づいていた。


 まずラオフーの出力が目に見えて落ちていた。二人のエネルギー装甲に小さな亀裂が入り始め、衝撃波の威力も射程も短くなっている。トラの圧壊位相は最強の火力だが、長期戦には向かない。クマールさんはそれを知った上で前線に立ち続けている。自分が攻撃を止めたら、後方の契約者たちが持たない。


 レラさんの吹雪も弱まっている。気象制御は広域を長時間維持するほど消耗が激しい。今は海岸線に沿って近距離だけを範囲としているが、それでもエネルギーを使いすぎたヌプリの体温が危険なまでに低下している。レラさんはヌプリを自分のコートの中に入れて体温を分け与えながら、片手で気象を操っている。だがもうキャストの歩みを遅らせる事はほとんど出来ていない。更に範囲を絞って少しでも数を減らそうとしている。


 荒木さんも前線に出てきていた。出てくるしかなかった。壁の補修は最低限にして、岩と壁を落としてキャストを潰していくが明らかに間に合っていない。もともと個別に近距離で戦うような猫ではないのだ。援護にも関わらず攻撃が猫にも人間にも命中してケガが増えて行く。しかしそうせざるを得ない戦況だった。


 ナディムさんも走る速度が落ちている。ただ以前市街地で戦った時に比べて群れの移動パターンを読むようになっていた。タマとの戦闘経験が神経系に残っている。群れの要所をまず叩き、その周囲で混乱する残敵を掃討する。効率的だ。しかし疲労もそうとうなものだった。いつまで戦っていられるか。


 ヒュージやビッグサーチャーのような敵にはタマが遠隔で弱点を示している。そこに近くにいる皆で衝撃波を叩き込む。弱点の場所自体はナディムたちにも分かってはいるが、弱点をレティクルで示してもらえるのは精神的にとても楽だ。消耗の軽減に役立っている。


 それでも土壁を突破するキャストは増え続ける。中央の少し東側の土壁が音を立ててまとめて崩れ落ちた。キャストが群れを成して我先にと侵入する。ラオフーがその後方から攻撃するが範囲が足りない。後方敷地内のイエネコ部隊の処理も追いついていない。このままではイエネコ部隊も飲まれてしまう。


 タービン建屋にも原子炉建屋にもキャストが殺到する。もうダメだ!と誰もが思った。


 ...と思った所で、沖合の代行者から「見えない何か」が送信されて通り抜けた。全てのキャストの前進が突然止まる。


 混乱する契約者たちだが、止まったキャストをこれ幸いと撃破しに行こうとする。が、土壁と敷地内の全ての猫が光を失っていた。同期が解除されてしまう。いたる所で戦闘が停止した。


 タマのサーチは継続していてキャストや契約者の位置はまだ把握できている。しかし契約者たちとの念話は解除されてしまった。


え? いったい何が起こってるの? 何をされた?



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