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猫と少女と原子炉と宙と  作者: ぽんた7
第三部 決戦
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第二節 吹雪と土の防壁

 ヌプリの吹雪は、暴風雪の中に子供の拳大の氷の塊が混ざった凶悪なものだ。上空から風が渦を巻き海面に吹き付ける。暴風と雹が混じった吹雪が上陸したキャストに襲いかかる。

 暴風と吹雪が襲うのはキャストだけだ。レラさんとヌプリによって精密に制御された嵐は味方陣地には届かない。

 

 ただ向こうもそれなりに装甲が厚い。胴体への打撃は進行速度を多少鈍らせる程度の効果しかない。足へ当たった場合はあたりどころが良ければ停止させる事も出来ているが割合はそれほど多くない。しかし敵を後方に漏らせない状況では貴重な戦果だ。


キャストの中身は生体だ。だから寒さには弱いだろうと期待していたが、どうやらそんな事は無いらしい。装甲が熱を通さないのか。考えてみれば宇宙人の兵器だ。宇宙で使うには断熱は必須なんだろう。


 そんな感じでレラさんの当初の目論見は外れ、吹雪によってキャストの視界と体温を奪い行動を妨害するはずだったがキャストは確実に原子炉の方向を目指していた。恐らく代行者が進路を指示しているんだろう。

 それを見てレラさんは吹雪から雪の割合を減らした。味方からの視認性が上がり少しだけ戦いやすくなる。その分雹を増やして攻撃力を嵩上げ。


 そして、レラさんとヌプリの嵐は敵を倒すには至らないが無駄ではない。進軍を遅延させるだけの状態を十分な効果に変換できるペアがいるからだ。大男とトラ。

 土壁の中央にクマールさんとラオフーが立つ。ラオフーの因子が強く発光し、二人の体の周りに赤黒い障壁を生み出した。そのまま300kgを超える巨体がキャストの群れに突っ込む。

 ラオフーの衝撃波が積もった雪とキャストをまとめて円形に吹き飛ばして行く。埋立地にボコボコと円形の穴が開いていく。進路にある大小全てのキャストを区別無くなぎ倒して進む。敵が密集しているほど効率が良くなる。ヌプリとの相性がとても良い。


 クマールさんの戦い方は、タマの真逆だ。戦場の読みもエネルギーの絞り込みもない。目の前の敵を全力で叩き、強固な防壁で攻撃を受け、また叩く。トラの巨体が生み出す膨大なエネルギーと鍛え上げられたクマールさんの体だけが可能にする戦闘方法。何体もまとめて葬って行く。


 そして西に漏れたキャストは、ナディムさんが高速で走り回り、時には飛翔しながら片付けている。進路をレラさんと共有してナディムさんとライムの通り道だけ嵐に穴が開いている。そこを通り抜けながら左右に衝撃波を放ちキャストを仕留めていく。移動しながら確実な攻撃を放つナディムさんも、超高速かつジグザグな進路を先読みして確保し続けているレラさんも超人だ。


 東に漏れたキャストを処理するのは詩織さんとマリン。急造の水路の脇に作られた高台に陣取り、抜けてくるキャストに砂や泥の混ざった超高圧水流を打ち付ける。硬いディフェンダーも一発で穴開きにして撃墜。頭上に形成した巨大な水の玉から、ウニのトゲが打ち出されるかのようにブシュブシュと短く区切って連射している。難点は水路から遠く離れられないので機動性に欠ける事と射程距離が短い事だけど、今のところ水路付近にもキャストは殺到しているので距離の問題はない。


 高台から埋立地を見下ろす荒木さんも即席の落とし穴を生成してキャストを落とし、上から岩石を落下させて数を削っている。ただチビは土壁の補修もしながらだから手数は多くない。高台に攻めてくるサーチャーは、援護のイエネコ1小隊が撃ち落としている。今回何故かサーチャーが少ないので小隊は若干手持ち無沙汰だ。


 そして、ラオフーとライムとマリンが撃ち漏らしたキャストは土壁の後ろに待機しているイエネコ部隊が処理している。ラオフーたちに比べてしまえば弱い攻撃ではあるが、人数も多いし経験も劣っていない。問題なく撃破していく。


 今のところ、タマの感知している範囲ではとりあえず戦況に問題は無さそうだった。少しずつ日が高くなり、気温が上昇しはじめる。暑くなりそうだった。幸い?と言っていいのか、ヌプリの氷嵐が生む低温が海岸沿いから伝わってくるので敷地はひんやりしていたけど。



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