表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しい世界に悪の種を蒔く  作者: 混沌魔獸
開幕

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/4

2. 澄んだ水に落ちた一滴の汚れ

人の「善」と「悪」は、たいてい環境が魂に刻みつけたのみの痕みたいなものだ。けれど――たとえいちばん柔らかな産着に包まれてこの世に落ち、善意も富も浴びるほど与えられて育ったとしても、それでも光の手招きに背を向け、迷いなく昏いほうへ歩いていく魂が、確かにいる。

それはいったい、創世神が生命のコードを書き込むときにやらかした拙いミスなのか。あるいは宇宙が、ある種の絶対的なエネルギーの均衡を保つために仕込んだ、底の底のロジックなのか。

悪意がもはや生き延びるための足掻きではなく、自ら選び取るものになったとき――私たちはようやく、混じりけのない、深淵のように純粋な「原初の悪」に、指先で触れてしまうのかもしれない。

「なんて殺風景なんだ。想像してた天国とはまるで違うな」


 声が空間に長くこだまし、残響は風に乗って漂い、やがて、ある吹き抜けの回廊の一角に、あるかないかの気配で絡みついた。男ははっと振り返り、虚無みたいな空気の中から、その声が落としていった糸口を探るように視線を走らせる。動きが大きすぎて、深海みたいな真夜中の藍色のポニーテールが、空を裂くようにひと振りされた。


 声の方へ目を向けると、そこには黒髪黒瞳の青年と、金髪碧眼の少女が言葉を交わす光景があった。


「あれは……ベネレース?」


 青年は見覚えがない。だが少女は知っている。知り合いが見知らぬ相手と話している――それだけで男の関心は黒髪の青年へと燃え移った。


 男は灰色な身体を回廊の手すりに預け、二人のやり取りを眺め始める。


 そのとき、耳元に、何の前触れもなく声が鳴り、せっかくの風情をぶち折った。


「おい、バウド! てめえ、どこでサボってやがる?!」


「うんこ。」


「神がうんこするわけないだろ——」


 言い終わる前に、バウドと呼ばれた男は、蚊でも潰すみたいに、その声をがしっと掴み取った。瞬間、掌の周囲の空間が感電したみたいにびりびりと瞬き、次の刹那、その声は虚無へと還り、空気は空気の仕事に戻る。


 耳元の「ハエ」を捻り潰して、バウドはようやく遠くの会話に神経を澄ませた。


 ——転生。


 ベネレースと青年の会話から、その単語が耳に落ちた。滅多に出ない筋の話だ。もともと濃かった興味が、一気に歯止めを失う。


(あの小僧、いったい何者だ?)


 疑問が頭の中を埋め尽くす。


 バウドは人差し指と中指を右目に当て、すると左目が金色に滲んだ。金の光は青年をなぞるように走査し、魂に刻まれた情報を結果として使用者へ送り返してくる。


 そんな「魂の覗き見」という高雅な遊びに興じていたその最中、少女がふいにある仕草を取り、同時に青年が光に包まれた。


「おいおいおい、もう話は終わりかよ、おまえら?! くそっ……まだあいつの素性と——」


 青年の周りの光が収束して光柱となる。彼の身体はゆっくりと浮かび上がり、最後にはその柱の中で、存在そのものを拭い取られた。


 青年の消失はバウドの言葉を途中で断ち切り、胸に走った一瞬の焦りさえも、あっさり途切れさせた。すぐに彼は、怠惰で余裕ぶった姿勢へ戻り、顔には愉悦が浮かぶ。


「こいつは面白くなってきた。はははは……」


 ミッドナイトブルーの髪の男は、底意地の悪い笑みを漏らす——青年が消える直前、欲しかった情報はすでに手に入れていたからだ。ベネレースがあの青年をあれほどまでに可愛がる理由も、腑に落ちた。二人はよく似ている。同じように執念を抱いている。


 これは美しい勘違いであり、青年が内側から外側まで塗り固めた欺瞞でもある——彼は少女を騙し、そして自分自身すら騙した。少女は青年を「沼の中で咲いた花」だと思い込み、青年もまた、それを信じ切っていた——







 世界はまるで深い水底に沈んでいるみたいだった。万物が激しく揺らぎ、溶け、視界に残るのはピントの合わない色の塊だけ。喧噪は分厚い海の帳の向こうへ隔てられ、耳に届くころには、ぷつぷつと途切れて判別もつかない泡音に砕けていた。


 魂と世界が接続され、データが生まれたばかりの肉体へ書き込まれていく。意識が、ゆっくりと目を覚まし始める。


 荒れ果てた感覚がじわじわと温もりを取り戻す。最初に戻ってきたのは音だった。細い針が鈍い繭をこじ開けるように、遠くから近づき、意識へ突き刺さる。次いで、視界を漂っていた色の塊が中心へと集まり、世界の輪郭が虚ろから確かなものへ変わる――神の手が金の縁取りで描き直したみたいに。


 丸天井には、丹念に彫り込まれた瑠璃ガラスの宮廷ランプが数灯吊られている。部屋の中央には巨大な四柱ベッド。その上に夫婦が腰かけ、妻は赤ん坊を抱き、傍らには小さな女の子が身を寄せていた。


 赤ん坊が目を開けると、周囲は喜びでわっと沸いた。


「目を開けたぞ、ミリア!」


「あなたにそっくりな瞳ね、あなた!」


「弟くん、こっち見て! お姉ちゃんだよ! アナスタシアっていうの!」


 母も父も姉も、愛を言葉に編み、珠を連ねるように赤ん坊へ降り注がせる。彼が理解できるかどうかなんて、誰も気にしていなかった。


 赤ん坊は言葉を解さない。けれど、認識と思考だけはすでにあった。どうやら現状と自分の無力さを呑み込み、瞼を閉じて外界を相手にしなくなる。心の窓を完全に閉ざす、その直前――言葉の世界へ通じる一枚の入場券が、風に乗って舞い込んだ。


「決めたわ。この子の名前はアナンケオン――アナンケオン・アイトレヤ。」


 その瞬間、母は彼に名を授けた。


 長い牢獄生活が始まった。


 アナンケオンの背骨はまだ、か細い若蔦のように柔い。尊厳を支える支点など見つかるはずもなく、一日じゅう寝台と寄り添い、重力に押さえつけられたまま同じ場所にいるしかない。呼吸と感覚以外、この物質世界に干渉する術はなかった――まるで数か月にも及ぶ、『存在』をめぐる座り込み抗議のように——







 アイトレヤ家の長男が誕生してから、八年の歳月が流れた。


 いまや少年の背丈は大人の腰ほどに届き、顔立ちも少しずつ輪郭を帯びてきている。


 荘重で気品ある書斎に、幼い声色なのに、なぜか妙に大人びた口調が反響していた。部屋には教師然とした、褐色の内巻きショートヘアの淑女が立っている。その正面に、八歳のアナンケオンが端然と座っていた。


 アナンケオンは淑女をまっすぐ見上げる。窓から差し込む陽光を映した金の瞳はきらめき、黒い短い三つ編みは、顔を上げたぶん普段より低く垂れていた。


「――女神ベネレースの導きのもと、汎人族を脅かしていた魔族は完全に滅ぼされ、人類の悪も根こそぎ取り除かれ、世界は永遠の平和を迎えた」


 少年が語っているのは、この世界における二百年前最大の歴史的事件――『浄化戦争』である。その後、女神はエルゼアスを去り、人々はその偉業を讃えて、世界各地に彼女の像を建てた。以降、世界は二百年ものあいだ一度も争いが起きていない。おそらくそのせいで、この二百年、魔法も技術も目立った進歩はなかった。


 ――魔法。


 中世に似たこの世界に存在する、生まれ持った資質のひとつ。魔法はなんらかの超常現象を引き起こせるが、無から有を生み出すような万能ではない。そこには厳格な等価交換とエネルギー保存の法則がある。魔法を一度発動するたび、術者の生命エネルギーは激しく消耗するか、あるいは周囲の環境要素を奪い取ることになる。


 アナンケオンは史書の知を噛み砕いて飲み込み、余計な感情を一切混ぜずに吐き出す――ただそれだけ。


「うん、とても良いわ。今日の授業はここまで。アナン様は遊んでいらして」


「遊ぶ……のですか?」


 予想外の返しに、赴任したばかりの教師は一瞬、言葉に詰まった。


 その疑問の裏にある本当の意図を探ろうとしても、どうにも掴めない。結局、字面どおりに答えるしかなかった。


「えっと……自分の好きなこととか、やってて楽しくなることをする、って意味よ」


 アナンケオンは「遊ぶ」という言葉が分からないわけではない。ただ、遊びというものの景色が、どうしても頭の中に結べなかった。


 彼はわずかに首を垂れ、意識の奥底を探って、自分の嗜好や夢や理想を掘り起こそうとする。けれど、しばらく考えて返ってきたのは、真っ白な解答用紙だけだった。諦めかけた、そのとき――封印していた断片が脳裏を走る。前世の母の遺言。魂とともにこの世へ持ち越してしまった「呪い」。


 刹那の記憶が、少年の空虚な答えを断ち切り、沈黙だけが長く伸びた。


 その反応に、もともと彼を案じていた女教師はますます不安を募らせる。だが、彼女の立場でできることはもうない。教師としての務めは、ここで終わりだった。







 回廊はどこまでも続いているみたいで、大理石の床は氷のように冷えきり、アナンケオンの影を切り絵みたいに映し返していた。先ほど教師に勧められたとおり、彼は人で賑わう通りへ向かい、自分の「興味」を探してみるつもりだった。


 道すがら、アナンケオンは四つ下の妹――アリスタフィアと鉢合わせる。短く切りそろえた髪は兄と同じ色で、瞳の緋だけが母親譲りだった。


 アリスタフィアは身を躍らせて兄に飛びつき、甘えるように言う。


「アナン兄ちゃん、遊ぼ~」


「アリス……」


 妹のお願いに、兄は困ったような顔をした。妹が嫌いなわけじゃない。普段なら喜んで付き合って、言われるがままに動いただろう――たとえ遊びそのものに楽しさを感じられなくても。けれど今は、それどころじゃなかった。


 趣味探しなんて、そんなに急ぐ必要あるのか。先に妹と遊んでやれないのか。そう思う人もいるかもしれない。だが今のアナンケオンには、そんなことを考える余裕すらなかった。


 この八年間、アナンケオンはほとんど幸福そのものみたいに暮らしてきた。裕福な環境も、愛に満ちた家族も、趙幸( ジャオ・シン)として生きた頃には味わえなかったものだ。心は満たされ、傷跡も癒えていて当然なのに、胸の奥には正体の知れない空洞が残ったままで、ここ数年、繰り返し彼を苛んできた。先ほど教師の言葉を聞いて、ようやく少しだけ腑に落ちたのだ。


 アナンケオンには、やりたいことがない。人生から「意味」が抜け落ちていた。前世を思い返せば、あの頃の彼は苦しかった。それでも確かに、「意味」だけは握っていた。


 だから今のアナンケオンは、できるだけ早くその意味を取り戻したかった。生ける屍みたいな自分を、そこから救い上げるために。


「ごめん、アリス。今日はやることがあるんだ。ほかの人と遊んでおいで」


「やだ! 今アナスタシアお姉ちゃんは家にいないし、アリオン兄ちゃんはあんまりしゃべらないし、退屈なの。お願い、アナン兄ちゃん、遊んでよ~」


 アナスタシア――アナンケオンより六つ上の姉は、夢を追いかけて先月騎士学院へ入った。学院はアイトレヤ家の屋敷からそう遠くなく、日帰りだって難しくない距離だ。けれど勉強に集中するため、姉は寮に入ることを選び、しばらく顔を合わせるのは難しそうだった。


 アリオンは、アナンケオンより二つ下の弟だ。内向的な性格で普段から口数が少なく、妹に誘われてもたいてい断る。


 妹の猛攻に、アナンケオンの心は少しずつほどけていく。妥協の淵へ、じりじり押しやられ――降参しかけたそのとき、身なりの整った女性が近づいてきた。アリスタフィアと同じ緋の瞳。ワインレッドの髪をまとめ上げたその人は、朝露とジャスミンの香りをまとっているようだった。


「どうしたの、アリス? またお兄ちゃんを困らせてるの?」


 女性は背後から妹を抱き上げ、やさしく宥める。


「おはようございます、母上」


 アナンケオンは目の前の女性に挨拶し、口元をわずかに上げた。それは笑みというより、礼のかたちを借りた感謝だった。


「お出かけ? アナン」


「はい。少しやりたいことがありまして。では、失礼します」


 アナンケオンはいつも今みたいに、さらりと取り繕った別れの言葉だけを投げる――表紙だけ見せて、中身は固く閉じたままの本みたいに。実の母を嫌っているわけではない。ただ、どうしようもなく噛み合わないのだ。母はその短い余韻の中に、空気ごと凍りついたような見えない壁を感じ取った。前世に置き去りにした未練。魂の奥で癒えることを拒むへその緒。彼は「母」と呼びかけるたび、時の中で風化してしまったもうひとつの名が、同じ息の中に紛れ込む。母の前で彼はいつだって冷静で、礼儀正しく、決して甘えようとしなかった。


 母は何も言わない。ただ、口にしかけた問いを静かに胸へしまい込んだ。







 鋳銅の両開きの大門が押し開かれ、アイトレヤ家の長男が自邸から姿を現した。


 やわらかな陽光が彼の視線を誘う。果てしなく広がる空は透明な深淵みたいに、彼の目を奪っていった。瞳の底には、どこまでも続く虚無が湛えられていて――まるで心臓まで、この真空と同じものに変わってしまったかのようだった。


 虚しさはその勢いのまま膨らみ、持ち主に「動け」と急き立てる。解毒剤がどこにあるのか、本人がまるで知らなくても。


 アナンケオンは迷いを引きずる足取りで、とりあえず市の中心広場へ向かうことにした。あとは――行ってから考えればいい。


 出かける直前、庭で養蜂人が忙しく働いているのが目に入った。珍しくほんの少しだけ興味が湧いて、目的地へ向かう前にひとまず覗いてみることにする。


 近づこうとした矢先、養蜂人のほうが先に声をかけてきた。


「ダメですよ、坊っちゃん。ここは危ないんで、近寄らないでください」


 忠告を聞いて、アナンケオンはその場で足を止めた。距離を保ったまま、問いかける。


「何をしてるんです、ボブ爺?」


「ん? 坊っちゃん、興味がおありで?」


「まあ……ほんのちょっと」


 実際、その「ほんのちょっと」だけだった。


 坊っちゃんが食いついたのを見て、ボブという名の養蜂人は説明を始めた。


「『悪い』蜂を始末してるんです」


「『悪い』蜂?」


『悪い』という言葉に、アナンケオンは反射的に『悪人』を思い浮かべた。


 悪人――この世界では、滅多に口にされない言葉だ。ここエルゼアスでは、そう呼べる存在がほとんど見当たらないから。女神さまの言うとおり、この世界から悪は二百年前に消えた。エルゼアス大地の諸国における年平均の犯罪率は、人口十万人につき法に触れる者が一人いるかいないか。その大半も取るに足らない小さなものだ。暴力事件に至っては、十年に一度あるかどうかだった。その証拠のひとつが、貴族の子弟である彼に、両親が一切の従者も付けず街へ出ることを許していた、という事実だった。


「好人」がもはや稀有ではなくなったとき、アナンケオンが「倒影」として在る意義もまた、それに連れて消え失せた。


 ボブは続ける。


「蜂にもいろいろいてね。やけに攻撃的なのもいりゃ、サボるのもいる。中には蜂蜜をくすねて食うやつまでいるんです。そういう『悪い』蜂を放っておくと、養蜂はもっと難しくなる」


「女神さまも、蜂までは浄化してくれなかったみたいだね」


 軽口のつもりだったのに、返ってきたのは意外な答えだった。


「それが、そうとも言い切れません。群れに『蜜泥棒』や『はぐれ者』が一匹もいなくなると、全体が鈍くなるんです。蜜源が急に変わったとき、対応できずに飢え死にしやすい。けど、少しばかりのルール違反者がいることで、より敏感な防衛の仕組みや偵察のルートが鍛えられる。……もっとも――人間の都合から言えば、そういう異質者は、いても困るだけですがね」


 アナンケオンは思わず息をのんだ。気づけば、聞き入っていた。

 あの一言は醍醐灌頂みたいに、彼の考えを揺さぶった――はずなのに、まだうまく飲み込めない。


 思考が、獲れたての魚みたいに頭の中を跳ね回る。過負荷の脳の箍が外れたみたいで、まとまりきっていない考えが、濾されないまま口をついて出た。


「その理屈……人間にも、当てはまるのかな……?」


「はは、そうかもしれませんな」







 この場所の匂いは、いろいろとごちゃ混ぜだ――片側からは焼きたてのパンの甘い香りがふわりと漂い、もう片側からはどこから紛れ込んできたのか生臭さが鼻を突く。近くの馬小屋か、魚屋の屋台あたりだろうか。色とりどりの布屋根がずらりと並び、香辛料屋、靴の修理屋、そして空き地では曲芸師がくるりと宙返りまでしている。


 アナンケオンが広場にやって来て、視線は中央に突っ立つ女神像をさらりと撫でた。だがその顔は、彼の記憶にある面影と少し違う――目の下には、くっきりとした隈が刻まれている。


 それには訳がある。かつての国王が、女神が万民のために力を尽くし、疲れ果てて目の下まで黒くした――あの無私の瞬間を後世に残そうとして、わざわざ職人に「疲れた神の表情」を写し取らせたのだ。


 アナンケオンは像に向かって、胸の内で感謝を唱えるつもりだった。自分は幸せに暮らしている、と伝えようとして――途中で言葉が途切れる。


(ごめんなさい。今の私は、幸福まであとほんの少しだけ足りない。)


 女神像を見上げ、謝るみたいな苦笑いを浮かべた。


 アナンケオンは一歩踏み出し、人生の意味探しを始めようとした。


 そのとき、ふっと酒の匂いが鼻を刺す。匂いの先に目をやると、噴水の縁に、無精髭面の男が座り込み、手に酒瓶を握っていた。


 男は上を向いて猛然とあおり、喉仏が大きく上下する。アルコールが表情をやけに不安定に煽るのか、あるときは歯を食いしばり、眼の奥に凶刃みたいな冷たい光を走らせ――かと思えば、またあるときは眉を落として、神経質な哀しみに沈み込む。今にも崩れそうなところまで追い詰められた獣のようだ。


 アナンケオンはつい意識を割いて目で追ってしまう。嫌な予感がして、何か起きないかと身構えた。


 まるでその不安に応えるように、酔漢は突然、酒瓶を高く掲げ――足元の石畳へ叩きつけた。


 ガシャーン!


 耳を裂くような音が周囲の視線を奪い、同時に「事故」まで連れてくる。


「きゃああっ!!」


 瓶は地面で爆ぜ、飛んだ破片の一つが、近くにいた小さな女の子の頬を不運にも掠めた。皮膚がぱっと裂け、細い傷口から血がにじむ。痛みに突き上げられ、彼女は声を上げる。


 不幸を目の当たりにしたアナンケオンは、ほとんど本能的で被害者へ駆け寄りかけ――いや、それは本能じゃない。後天的に叩き込まれた条件反射だ。前世から持ち越した、彼の中の「起動スイッチ」。


 けれど、この世界では当たり前の光景が、彼の足を無理やり止めた――そう、ここではそれこそが常態なのだ。


 事件の張本人で、さっきまで酒をあおっていた酔漢が、なんと誰より先に負傷した子のもとへ駆け寄り、片膝をつくと、詫びながら容体を確かめ始めた。


 酔漢だけじゃない。周りの無関係な人々まで次々と集まり、口々に心配を寄せる。


 その美しい光景を眺めるうちに、アナンケオンの落日のような瞳から、少しずつ光が抜けていった。胸の奥で、「帰れる」と思っていた居場所の扉が、ふいに鍵を掛けられる。魂は休める場所を失い、行き先もなく、ただ彷徨い続けるしかない。


 彼はまた思い知る。自分はもう、この世界で希少な役者ではない――「お前でなければ」なんて役はなく、この世界もまた、彼を必要としていないのだ。


「ね……()()()……私は、何をすべきなんだろう……?」


 こぼれ落ちた言葉は息よりも軽く、水面に書いた日記みたいに、ただ自分の心にだけ届けばいいと願って――すぐに空気へ溶けた。


 そこへ一人の男が、泣く少女の周りにできた人垣を押し分けて入り込み、事態の流れがふっと変わる。


「ニア、どうした!? 何があったんだ!?」


 男の広い肩は、空さえ背負えそうなのに、今は緊張でわずかにすぼまって見えた。彼は何度も少女の傷口を拭いながら、繰り返し彼女の名を呼ぶ――血のつながった身内だと見て間違いない。


 頬を切った少女は涙にくれて、説明する余裕もない。そこで見物していた一人が代わりに口を開き、傷の元凶を指さしながら、さっきの一部始終を語った。


 少女の守り手は酔漢へ振り向き――なぜか、一瞬だけ固まった。


「お前は……エリック?」


 どうやら、あの身なりのだらしない男に心当たりがあるらしい。


「……っ!」酔漢は電撃を食らったみたいにびくりと硬直し、首筋にすぐ汗がにじんだ。「ちが……あっ……お、俺はエリックじゃない。人違いだ……」


 視線は相手の靴先と肩口のあいだをふわふわ彷徨うばかりで、その目をどうしても正面から見返せない。


「とぼけるな! お前……お前ってやつは、また人を傷つけたのか」


 屈強な男は両手で酔漢の襟首を掴み、怒りをそのまま叩きつける。


 この突発的な騒ぎが、再びアナンケオンの意識をさらっていった。


「う……わざとじゃない!」


「今度こそお前を牢にぶち込む」


「いい加減にしろ! 放せ。さもないと――」


 酔漢の顔には苛立ちと怒りと、そして理不尽さへの悔しさが渦巻いていた。負の感情に引きずられるように右腕が持ち上がり、拳を握りしめ、襟を掴む男へ振り抜かれる。


 振りは容赦なく――それなのに止まり方はみっともなかった。吐き出すはずの怒りが途中で急に向きを変え、見えない枷が手首をかちりと締め上げたかのように。


 彼は宙で止まった拳を、呆然と見つめる。力が入りすぎて関節は白く、けれどそれは彼の目に、いちばん見覚えのない「罪の証拠」として映った。正気が戻った瞬間、さっき胸をよぎった殺意に、自分自身がぞっとする。誰かに向けて振り下ろそうとしたその手が、今度は震えの根っこになっていた。彼は力なく腕を下ろし、指先を地面へ垂らす。握りしめていた怒りは冷たい空気の中にほどけて、残ったのは荒涼と、後から追いついてくる恐怖だけだった。


 無精髭の男は手を引いた。だが恐怖は、もう場に染み出している。


 あたりはどよめきに包まれた。黒髪に金の瞳を持つ少年を除き、誰もが顔色を失い、口を開けたまま、今しがた手を上げかけた男を凝視する。中には悲鳴を上げて逃げ出す者までいた。その反応が、この手の光景がいかに珍しいかを物語っていた。


 どうやらこの出来事は、群衆と少年とでは、重さの感じ方がまるで違うらしい。


 拳を向けられていた側――つまり襟を掴んでいた男は、手をほどき、まだ泣きじゃくる少女の前へと下がって危険から距離を取る。身近な者を守るように、身を張る姿勢を見せた。


「やっぱりお前は、生まれついての悪だ……」


 屈強な男はそう断じると、すぐに声を張り上げた。


「誰か! 衛兵を呼べ!」


 その声を聞いた瞬間、酔漢の顔はさっと青ざめた。怯えは瞳に隠しきれず、足も言うことをきかずにふらりとよろめく。次の瞬間にはもう体裁など放り捨て、驚いた鳥みたいに身を翻して、ひたすら逃げ出した。


 一部始終を見届けたアナンケオンは、なぜか逃げ去った男――エリック――に興味を惹かれていた。理由は自分でもうまく言えない。ただ、ぼんやりとした予感だけがある。あの男を見つけて言葉を交わせば、自分は胸の迷宮から抜け出せる――そんな気がした。







 夕陽が、残酷なほど壮麗に沈み、街をくっきりと明と暗の二つの世界に切り分けていく。壁面は炎のような残照を跳ね返しているのに、その光だけは――どうしても、この忘れ去られた路地には届かなかった。


 路地の奥には、湿ったカビ臭さと、捨てられた金属の錆びた匂いが空気にこびりついていた。男が、積み上げられた段ボール箱の脇で身を縮めている。自分をぐしゃりと揉み潰して、壁際の影に押し込もうとしているみたいに。両腕で膝をきつく抱え、背中は震える弧を描く――豪雨の前触れに厄災を察した虫のようだった。


 角から、ひとつの影が姿を現した。背丈はせいぜい百三十ほど。薄暗さに顔の輪郭はぼやけているのに、光を宿したような両の瞳だけがやけにくっきり見えた。


 男はそれを見るなり反射的に跳ね起き、背を向けて逃げようとした。だが恐怖が、喉の奥で急に引っかかる。――相手の体つきと背丈が目に入ったからだ。


「……ガキ?」


 ひやりとした驚きは引いたのに、今度は疑問が押し寄せてくる。


 ――この子は誰だ。どうしてこんな場所に。俺を探しに来たのか? 何のために?


 男が、何を聞くべきか、どう切り出すべきかを迷っていると、子どものほうが先に口を開いた。


「初めてお目にかかります、エリック殿。わたくしはアイトレヤ家の長子――アナンケオン・アイトレヤにございます。少々、あなたとお話をさせていただきたく参りました」


 幼い声なのに、口調と所作だけが妙に大人びている。そのちぐはぐさが、エリックという名の男に薄気味悪さを覚えさせ、だからこそ『こいつ、俺の名前を知ってる』という事実にすぐ気づけなかった。反応が半拍遅れる。


 アイトレヤという姓なら聞いたことがある。王城ナカリムブに名を連ねる四大貴族家のひとつだ。


 アナンケオンが一歩踏み出し、警戒を解かない男へ近づこうとする。


 少年の纏う空気と、年齢に似合わぬ違和感のある話しぶりが、男に錯覚を生ませた。――路地の出口が、あの小さな体で塞がれてしまった、と。ここを出るには、力づくしかない。


「近寄るな!」


 錯覚のせいで、エリックは無意識に少年を、自分を脅かす大人と同じものとして扱っていた。怒鳴って制止し、その隙に頭を回す時間を稼ぐ。


「どうか恐れなさらぬよう。わたくしはただ、あなたとご交談したいだけでございます」


「貴族のガキが、なんで俺みてぇな酒浸りのおっさんと話したがるんだよ。あぁ? 俺たち、面識もねぇだろ!」


「理由は……わたくしにも分かりかねます。ただ、あなたと言葉を交わせば答えに辿り着ける――そんな予感がいたします」


「何言ってやがるんだ? さっぱり意味がわかんねぇ!」


 アナンケオンの冷静な声色は、少しも男を落ち着かせなかった。


 エリックはなおも拒み、少年が隙を見せた瞬間に突破して逃げるつもりでいる。


 そのとき、空気が窒息しそうな粘ついた塊に変わったかのようだった。アナンケオンは男を見つめ、胸の奥から唐突に、ほとんど滑稽なほどの渇望がせり上がってくる。――相手が暴力を見せてくれることを、彼は望んだ。


 その思いは、暴力嗜好や被虐の快楽から来るものではない。むしろ魂の「照合」に近かった。どこかの歯車が噛み合うのを待っているみたいに、久しく遠ざかっていた鋼鉄じみた冷たい既視感が、再び自分を包み込むのを待っている。あるいは冷え切った実験室で、変化の瞬間を静かに見守る研究者のように。なのに、その理由だけは――いまだ分からない。


 無数の混乱した疑問が、小さな泡みたいに脳裏から浮かび上がる。それでも焦りはなく、むしろ悟りへ一歩近づいたような気さえした。


「今朝のあの騒ぎは、すべてこの目で拝見いたしました。あなた、以前にも暴力に訴えたことがあるのでしょう?……失礼。厳密に申せば、本日はあなた自身は手を下しておりませんでしたね。わたくしは――その一件の顛末に、たいへん興味を惹かれております。どうか、わたくしの好奇心を満たしていただけませんか」


 言葉には薄い侮りが混じっていた。強くも弱くもない平手打ちみたいに、相手の堪忍袋の緒をそっと探ってくる。


「お前の興味に付き合う義理なんかねぇ。近寄るな!」


「ええ、あなたにわたくしへ語る義務はございません。けれど――国家の良き市民として、指名手配犯の足取りを法執行機関へ通報する義務なら、わたくしにございます」


 脅された。


 衝動。


 それは、パラシュートもなしに身を投げるようなものだ。最初は意志が崖っぷちで縮こまり、恐る恐る足場を探っていた。けれど、ほんの小さな誘因が着火した瞬間、天秤は完全に傾く。――正気のまま堕ちていく。自分が万丈の奈落へ加速して落下していくのを見つめながら、それでも絶望の底で、これまで味わったことのない自由を舐め取る。秤にかける必要もない。折り合う必要もない。名もない火が、かつての面倒な作法やしがらみを灰に焼き尽くし、あとに残るのは、地面いっぱいに散った純粋な狂熱だけ。


 その瞬間、エリックは世間の目という枷も、法という鎖も振りほどき、脅してきた貴族のガキへ飛びかかった。


 間合いに入るより早く、相手が先に動く。


「ご協力に感謝いたします」


 いつの間にか、アナンケオンの手には小石が一つあった。


 小石に魔力を流し込むと、掌の周りの空気が突如、荒々しく流れ出す。次の瞬間、突進してくる男へ向けて、それを投げつけた。


 指を離れた刹那、石は跳ね上がるように加速した。速すぎて、影さえ置き去りにされる。


 石が男の右のふくらはぎを撃ち抜き、激痛に男は右脚を抱え込んだ。バランスを取るため、左脚一本で跳ねるしかない。


 気づけばアナンケオンはエリックの横にいた。唯一の支えになっている脚へ、払うような蹴りを一閃。エリックはあっさりと地面に転がった。


 少年は身を屈め、さきほど投げた小石を拾い上げる。


 今度は魔力を石そのものに流し込むのではない。石の周りの空気を操り、風の力で削り、研ぎ澄ませて――刃のように尖らせた。


 その小さな刃を、倒れた男の首筋に当てる。見下ろしながら、アナンケオンは微笑んだ。まるで勝利を宣言するかのように――







 鉱坑の奥深く、闇は粘つくタールみたいに濃く、時の流れまで凍りつかせていた。エリックは岩壁の脇で身を丸める。腹の奥が空洞みたいに鳴る音が、死んだ静けさの中でやけに耳についた――飢えじゃない。魂の底で、獣が吠えているのだ。


 数日間の切り詰めた暮らしで、彼の意志はもう、いつ折れてもおかしくない枯れ枝の欠片にまで削られていた。仲間の手の中の、固くなった乾パンのひとかけらに目が吸い寄せられた瞬間、最後の文明の一線もぷつりと切れる。彼は飛びかかった。動きは獣じみていて、狂気そのものだった。弱々しい抵抗に、ためらいなく拳を振るう。鈍い衝撃音が重く、闇の空間にぶつかっては沈んだ。


 救助されたとき、陽の光が男の眼を刺した。だが、食糧を奪われた同僚は、長い待ち時間の中でほとんど枯れ果て、片足を冥河へ踏み入れていた。


 結局、上司は頬一面の無精ひげと濁った眼をした男を前に、とうとう情けを動かした。本来なら衛兵に回すはずだった報告書をそっと閉じ、低い声で言う。

「行け。ここにお前の席はもうない」

 法の鎖は下りなかった。けれど同僚の血に触れたその手は、それ以来、監禁よりも重い枷を背負うことになった。



 王城の、とある路地。黄昏は地平線の下へ沈みきろうとして、憂鬱な残光だけが闇と戦いながら後ずさっていた。


 油ランプの灯りが照らすのは、薄汚れた男と、貴い衣をまとった少年。二人の影は周囲の闇と同じ泥に足を突っ込んだみたいに伸び、まとめて深淵へ引きずり込もうとしている。


 男は、自分の目も当てられない過去を語った。


 少年は静かに腰掛け、重たい過去が空気の中をゆっくり流れていくのに身を任せていた。いつもは冷えたその瞳に、いまは薄い――霧みたいな同情が浮かんでいる。


 エリックは罪を認めながらも、同時に世界の無慈悲さを訴えた。


「俺はただ生きたかっただけだ。それのどこが悪い? なんでみんな、俺を極悪人扱いして、一度のチャンスすらくれねぇんだ!?……俺って、そんなに異物かよ?」


 エリックの声はほとんど泣き声だった。か細い灯りの中、目尻に涙が滲んでいるのが見える。


 アナンケオンはその背中を見つめ、ふと、懐かしい痛みを覚えた。



 二十八年前のある夜。趙幸( ジャオ・シン)という名の子どもが、公園で座り込んで泣いていた。


 少し前、公共の場で、吸い殻をポイ捨てした大人に向かって「ルールを守ってください」と大声で注意した。ただそれだけだ。相手は恥をかかされて逆上し、人前で「親の顔が見てみたいね」と辱めた。周りの見物人も「この子、やたら口出しするな」と言いたげな視線を投げ、連れられた小さな子どもまで便乗して冷やかし、嘲った。人は行き交うのに、誰一人として味方になってくれない。


 その罵声に怯えて目の周りはみるみる薄赤く滲み、孤独のせいで瞳は水気を溜めた。それでも彼は、自分が『()()()()()()()()』のだと分かっていた。


 ――ああ――自分はこんなにも歪で、狂っている。まるで心を自分で痛めつけて悦に入る狂人みたいだ。



「八歳のガキに、自分の悪さを白状して、しかも泣きそうになった……とんだ屈辱だ。もう聞き飽きただろ? 俺はそろそろ帰――……いや、今さらこんなことになって……俺、家に帰れるのか?」


 エリックは地面から立ち上がり、背筋を伸ばして、服についた砂と埃を払った。居場所を探す旅に出るつもりだ。


「礼を言わせてもらおう、エリック。君のおかげで、わたくしはようやく真の自分を知り、新たな理想にも辿り着けた」


 アナンケオンの謝意が、エリックの足を止めた。


「そうかよ。へっ、そりゃおめでとさん。じゃあな」


 無精ひげ面の男の声には、隠しようもない侮りと冷笑が滲んでいた。


 少年はまだ引き留めたいのか、宣告を始める。


「このまま手をこまねいていれば、遅かれ早かれ衛兵に見つけ出され、牢へ引き立てられることになろう。教化官が更生を認めるその日まで、だ」


「そんなこと百も承知だ。でも、だからって俺にどうしろってんだよ」


「理想へ導いてくれた礼として、わたくしの下で働くがいい」


 男はぽかんとし、首をわずかに傾げた。相手の正気を確かめるみたいに。その誘いは、住処を交換しようと言われるのと同じくらい馬鹿げて聞こえた。


「お前……頭、イカれてんのか?」


 少年は両腕を広げたまま、なおも宣告を続ける。


「君は、何ひとつ誤っていない。誤っているのは世界のほうだ。理想だの地上の楽園だのと唱え、人の本性を無視する。だが人には必ず『悪』がある――それは遺伝子という螺旋の設計図が我々に刻みつけた性質であり、そこには意味がある」


「……」


 アナンケオンも分かっている。相手がこの話を理解できるはずがないことを。彼はただ、胸の奥に長いこと沈んでいたしこりを吐き出したかっただけだ。


「わたくしはこの世界を愛している。疑いなく、我が理想に最も近い存在だ。だが……それでもまだ完璧ではない。いや……むしろ、完璧すぎる。完璧であるがゆえに脆い。この美を永らえさせるためには、わたくし自らその純粋さに終止符を打ち、あえて不純物を混ぜ込まねばならない」


 少年の言葉は混濁した洪水みたいに泥と腐臭を巻き上げ、エリックをその場に縫い付けた。エリックは本能的に、その謎めいた屁理屈を拒んだ。なのに不思議と、背を向けて立ち去ろうとするたび、少年の言葉の奥に潜む、底知れず言葉にできない孤独が、鉤のように正確に好奇心を引っかけてくる。息が詰まるような悪寒の中で、彼は病的な共鳴を覚えた。まるでその狂った独白が、自分の心の奥――誰にも見せたことのない暗がりと、ひそかに邪悪な契約を結んでいくかのように。


「今より、わたくしはこの世界の悪となろう。……いや、悪を司る王となる。やがて世人の悪への感度は次第に鈍り、君の罪もそれとともに忘れ去られていくはずだ……」


 アナンケオンはエリックへ手を差し出した。


「エリックよ。君はこれからも善良な羊として、世界が変わるのをじっと待つか? それともわたくしに仕え、世界を変える側の一人となるか?――選ぶがいい――」




改めて思い知らされたよ――自分にはネーミングセンスが本当に欠片もないって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ