第7話 女は大変なんだ
宮島 : おつかれー。で、田崎くん、なんだって?
松野 : ああ。田崎も結婚してたんだけど不妊治療が大変って話でさ、男連中がみんな興味深く聞いてた
林 : みんな食いついちゃってな。俺もだけど
宮島 : 具体的には、なにが大変って?
松野 : とりあえず奥さんが一番大変そうだったな。
林 : 自分が一番欲しいけどできない悲しみ、親に期待されてるけど応えられない悲しみ、田崎にも悪い、そのうえ不妊治療って計画立てにくいから、会社を休むのも大変なんだと。
宮島 : 不妊治療って、むしろ計画的にするんだと思ってた
松野 : 計画は立てるんだけど、次の生理が来たら何日以内に病院来てねとかだから、正確な予定は立てられないみたいよ
林 : 会社にも言いにくいだろうしな、なんとなく
松野 : 全社員に伝えるのは、ちっとな
宮島 : なるほど……それは男子が聞き入るのが分かるね。
松野 : ショッピングモールも行きにくいって言ってた
宮島 : なんで?
松野 : 他の家族とか見られなくなるんだって。あとSNSも
宮島 : 嫉妬してしまうから?
松野 : 嫉妬っていうか、劣等感じゃね
林 : SNSは幸せ自慢合戦だからな
宮島 : そうかあ
林 : なんかいろいろ聞いたよな。医師の指示でやるのがきついとか。
宮島 : えっ。医師の前でするの?
松野 : いや、日程ね。この日にやってくださいとか。
宮島 : 想像もしたことない……
林 : だから、プレッシャーでできなくなっちゃうらしい。これが一番響いてたよなみんな。
松野 : 響いてたっていうか、「そらそうなるな……」っていう
林 : 田崎はあんな感じだけど基本真面目だからな。一番辛いのは奥さんだから、自分も頑張らなきゃって思えば思うほど、っていうね
宮島 : 不妊って、男が原因のこともあるんでしょ?
松野 : 無精子症な。田崎も検査したって言ってたよ。大丈夫だったらしいけど
宮島 : こればっかりはどうすることもできないもんね
松野 : 俺も嫁から嫁姉の話は聞いてたけど、よりリアルな話聞いちゃって、ちょっとあれだったな
林 : そうだよ。松野なんかできちゃった婚なんだから、あの場にいること自体が不謹慎だろ
松野 : それはしょうがないだろ! 気まずさは確かにあったけど
林 : だから俺もさ、美人は結婚遅れる説立証とか言ってらんないなと思ったって話で
宮島 : 罪悪感
松野 : そうだそうだ。年齢とかあるんだって。それをあんたは
林 : 大変申し訳ございません
松野 : もっと謝れ。特に俺に。
林 : あんたに迷惑はかけてないわ!
宮島 : 田崎くんの奥さんはいくつなの?
林 : それこそミヤジの彼女くらいじゃなかった?
松野 : だな。二十八かな。
宮島 : 二十代でも、そうなんだね。
松野 : 結局、確率の話らしい。四十代に近づくほどできにくいって話だけど、二十代でも不妊治療する人いるし、四十代でもすんなりできる人はいるし。うちの嫁姉も二十代だったからね。
林 : だから、あんたはなんだったんだって思ったよ。一発一中だろ?
松野 : そうなんだよ
林 : 一撃でできちゃうのもいれば、何年もできない人もいて……。謝れ。特に俺に
松野 : なんで結婚すらしてないあんたに
宮島 : これはもう縁だよね
松野 : だから俺も結婚だなって思ったところあるし。中出ししたらできるとか、そんな簡単な話でもないらしいってくらいの認識はあったからさ
林 : 許してやろう
松野 : うるせえわ
林 : 俺無精子症だから中出しさせてって言ったらしいな
松野 : 言ってねえわ。あんただろそれ
宮島 : そういうシャレも言えなくなる年齢になってきたんですね
松野 : でも林じゃないけど、そんくらい軽い方がいいんだってよ、人によるだろうけど
林 : そうだよ、俺あの場でも結構笑い取ってたんだから
宮島 : さすがリン氏
松野 : 真面目に構えすぎると、そういうことできなくなるって。夫婦関係もギクシャクしてくるし。かと言って、不真面目もだめだし。
宮島 : 「いい加減」だね
松野 : だな。多少は柔らかさがないと、どっちも気が滅入っちゃうからな
林 : だから笑いは必要なわけよ
宮島 : でもいよいよ結婚相手は顔とかじゃなくなってくるね
林 : でもさ、ルックスが好みじゃないと、そういうときとか大変じゃない? 勃たせるのが
宮島 : むむ……
松野 : むむ……
林 : むむ……




